JPモルガンとウェルズ・ファーゴ、米住宅ローン部門の不振示す --- 安田 佐和子

2014年04月14日 06:45

1~3月期決算シーズン入り、銀行 の結果を振り返りました。

▽米JPモルガン1~3月期は19%減益、収入も予想以下

米銀JPモルガン・チェースが11日寄り前に発表した1~3月(第1四半期)決算は、純利益が前年同期比で19%減の52億7000万ドル(約5350億円)となった。1株当たり利益は1.28ドルと、市場予想の1.46ドル下回っている。収入は8%減の230億ドルとなり、市場予想の245億ドルに届かなかった。

部門別の動向は、以下の通り

・コーポレート・投資銀行部門

純利益は25%減の19億3600万ドル。収入は15%減の86億1000万ドルだった。債券トレーディング部門が21%減の38億ドルとなっている。なおダイモン最高経営責任者(CEO)は2月、1~2月だけでトレーディング部門の収入が15%も減少すると警告していた。

・消費者・地銀部門

純利益は25%減の19億4000万ドルだった。収入が10%減の105億ドルとなっており、信用損失による引き当てが49%増の19億4000万ドルに達し利益を圧迫した。住宅ローン貸出部門の収入が42%減の15億7000万ドルとなり、落ち込みが目立つ。金利上昇を背景に、住宅ローン組成が68%減の170億ドルとなっていた。

・資産運用部門は、9%減の4億4100万ドルだった。人材コストの負担増によりコストが11%増加したことが減益の一因となっている。運用資産は11%増の1.6兆ドルだった。

同行は四半期配当を1株当たり40セントと、従来の38セントから引き上げる方針に加え、65億ドル相当の自社株買いを承認したことも明らかにした。米連邦準備制度理事会(FRB)は同行の資本計画を承認していた。

中核自己資本比率(Tier1)は12.1%と、前期の11.9%を上回った。バーゼル3で「7%」と規定されるTier1は、金融安定理事会(FSB)が金融システム上重要とされる「大きくてつぶせない」とする銀行の場合、さらに上乗せが求められる。2013年11月時点で、JPモルガンは2.5%の上乗せを通達された。

決算内容を受け、JPMの株価は急落。

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予想より弱い決算内容を受けながら、アナリストの間で投資判断と目標株価とも据え置きが優勢。

・ドイツ銀行→投資判断は「買い」、目標株価は66ドル

・ジェフリーズ→投資判断は「買い」、目標株価は69ドル

・エバーコア・パートナーズ→投資判断は「オーバーウェイト」、目標株価は62ドル、

・オッペンハイマー→投資判断は「買い」、目標株価は67ドル

・野村→投資判断は「中立」、目標株価は65ドル

各アナリストの投資判断では、「買い」が72.1%、「保有」が23.3%、「売り」が4.7%。平均の目標株価は、65.80ドルとなる。

評価:予想通り債券・為替・商品(FICC)トレーディングに加え、住宅ローン部門の落ち込みが業績の足を引っ張っています。一方でクレジットカードの支出額の伸びは10%増と予想通りで、法定流動性比率(SLR)も5.1%と、最低基準の5.0%を上回っていました。運用資産の増加もあり、アナリストの投資判断引き下げは現時点で免れたといえそうです。

▽米ウェルズ・ファーゴ1~3月期は12期連続で過去最高益も、減収

住宅金融で米最大手ウェルズ・ファーゴが11日寄り前に発表した1~3月(第1四半期)決算は、前年同期比14%増の58億9000万ドル(約5979億円)となった。12四半期連続で、過去最高に達している。1株当たり利益は1.05ドルとなり、市場予想の96セントより強い。一方で、税制優遇・貸し倒れ取り崩し前の利益は2%減だった。

収入は3%減の206億3000万ドルと、市場予想の206億4000万ドルにわずかに及ばなかった。住宅ローン組成の落ち込みが痛手となったかたちだ。注目の住宅ローン組成は前年同期比で58%減、前期比で28%減の360億ドルだった。金利上昇を背景に大幅な落ち込みを確認し、住宅市場の改善の鈍化を裏打ちしている。

部門別の利益をみると、地銀部門の前年同期比31%増、資産運用・仲介・引退部門は41%増だった。ホールセール銀行部門(大企業・機関投資家・政府向け)は15%減だった。

経費率は57.9%と、前期の58.5%から改善した。純金利マージンは3.20%と、前期の3.27%から低下している。

配当は従来の30セントから35セントへ引き上げ、追加として3億5000万ドルの自社株買いを決定した。

株価は75日移動平均線を割り込んだ後、反発。

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決算を受け、アナリストは投資判断と目標株価ともに据え置きが優勢。

・ISIグループ→投資判断「買い」、目標株価52ドル

・ジェフリーズ→投資判断「買い」、目標株価55ドル

・BMOキャピタル→投資判断「市場平均並み」、目標株価53ドル

・クレディ・スイス→投資判断「中立」、目標株価50ドル

ブルームバーグが調べでの各アナリスト評価は、投資判断のうち「買い」が46.3%、「保有」が51.2%、「売り」が2.4%。平均の目標株価は50.82ドルとなる。

住宅ローン市場の先行指標ですら、住宅ローン組成が前年同期比58%減とさえない結果でしたが、消費者・商業ローンの貸出が増加しました。またCNBCによるとウェルズ・ファーゴは住宅ローン貸出を基準を引き下げ(FICOの信用スコア640から600)、テコ入れを計ることもあり、ひとまずアナリストは投資判断・目標株価の修正を控えたのでしょう。

以上の結果を受け、ダウ平均は続落。ただし、終値ベースで2月12日以来の16000ドル割れは回避しました。S&P500とナスダックも続落。S&P500は終値で2月10日以来初めて1820pを割り込んでいます。ナスダックは2013年12月半ば以降の上昇トレンドのうち4回目となる4000p割れを示現。2月5日以来の安値をつけました。

以前に取り上げたETFは名実ともに弱気相場入りを確認しています。ソーシャルネットワークETFの「グローバルX・ソーシャル・メディア・インデックスETF(Global X Social Media Index ETF)」は市場関係者が注目する18ドルを割り込んで引け。ギリアド・サイエンシズは反発したものの、バイオ医薬品銘柄の上場投資信託(ETF)である「ナスダック・iシェアーズ・バイオテクノロジーETF(iShares Nasdaq Biotechnology ETF)」は、弱気相場入りの肝となる220ドルを割り込んで取引を終えました。

強気派には正念場のこの相場、来週の米3月小売売上高やシティグループ決算、中国1-3月期国内総生産(GDP)発表で切り返すタイミングをつかむか、さらに下値を探るのかが試されます。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年4月11日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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