バロンズ誌 : 株価下落の一因は、確定申告? --- 安田 佐和子

2014年04月14日 20:00

オープンソース(基本設計情報が無償で公開され、改良や再配布が誰に対しても許可されているソフトウェア)暗号化ソフトOpenSSLに、「ハートブリード(心臓出血、Heartbleed)」呼ばれるバグが前週に発見され、大騒ぎとなりました。バロンズ誌では「アップ・アンド・ダウン・ウォールストリート」にて、足元の相場下落が「ハートブリード」が一因とジョーク交じりに指摘。ハッカーはバグに乗じネット関連企業や連邦政府だけでなく、収集したデータを元に金融機関の取引プラットフォームへの侵入が可能であるためです。今回の相場下落が説明不可能であることの例えとして、「これまでの『買い』から『売り』へスイッチを切り替えたに違いない」と伝えています。

バロンズ誌が「ハートブリード」を急落の一因に引っ張り足したのも、致し方ないんです。ISIグループが11日に発行したデイリー・レポートのタイトル、株安に「明白なファンダメンタルズの理由なし(No Clear Fundamental Reason)」でしたから。米新規失業保険申請件数が2007年5月以来の30万件割れに接近し、株式の投資信託に資金が流入し、配当が引き上げられ、さらには米連邦公開市場委員会(FOMC)のスタンスがハト派と確認していただけに、マーケット関係者も突然襲いかかった下げ相場に疑問を呈しています。

米株安の陰で、米債相場は大賑わい。米10年債利回りは一時3月3日以来の3.60%割れに接近し、米30年債利回りも前年末の4%付近から3.5%まで低下しました。大西洋の向こう側では、ギリシャ債が好調。10日に5年債を発行し、ソブリン危機以来4年ぶりに金融市場への復帰を遂げるなか5年債利回り5%割れで取引を終えたことは記憶に新しい。危機当時は20%超えだったなんて、考えられません。

米株から米債をはじめ債券市場に資金が流出している様子が見受けられる半面、興味深いことに「アップ・アンド・ダウン・ウォールストリート」では4月15日が株価下落の一因と指摘しています。

4月15日といえば、米国では確定申告の最終日。振り返れば2000年序盤、ITバブルが崩壊した当時も似たような動きがあったんです。ナスダックは2000年3月10日に5048.62pの最高値を遂げたものの、4月14日には3321.29pと34%も急落しました。その後、9月1日に4234.33pへ回復するも、2001年4月6日には1720.36pまで落ち込んだんです。

そういえばフェイスブックのシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(CFO)は先日、自身が保有する同社株を過去2年間で半分売却した理由に「税金支払いのため」と説明していましたっけ。

仮に下落の一因が税金対策の売り抜けであれば、バロンズ誌の特集コラムの内容も頷けます。

タイトルこそ「舞い上がり過ぎた銘柄 : リンクトイン、ツィッター、ネットスウィート(Flying Too High: LinkedIn, Twitter, NetSuite)」ですが、ウェルズ・キャピタル・マネジメンツのチーフ・インベストメント・ストラテジストのジム・ポールセン氏による「押し目買いのチャンス」との言葉を引用し強気なんです。

業績に対しリンクトインやツィッターなどのモメンタム銘柄は「買われ過ぎ」で、小型株指数ラッセル2000の株価収益率(PER)が24倍であるのは「行き過ぎ」と断じています。ただしS&P500の構成銘柄についてはPERが16倍で、米10年債利回り2.6%を踏まえると割高ではないと指摘しているんですね。ナスダック・バイオテクノロジー指数が11日に2月25日以来の下落率が21%となって弱気相場入りした一方で、ギリアド・サイエンシズやセルジーンにも「2017年までに1株当たり利益が倍増する見通しの銘柄は他にない」と賞賛を送っていました。

実績のある銘柄は確かに、モメンタム株より強いリターンを挙げています。

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(出所 : Barron’s)

文章の結びも「不吉なヘッドラインにも関わらず、株価市場は依然として健全だ(・・ that despite some ominous headlines, the stock market’s health is still good.)」。2014年の成長率は3%超えとの見方が優勢ななかでは、弱気に傾く理由はないといったところでしょうか。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年4月14日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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