金融そのものへ

2014年04月22日 11:30

金融の仕組みのなかで、市場化されていないものがあるのかどうか。市場化されていないどころか、金融そのものの仕組みでありながら、金融として独立していないものは沢山ある。掛けによる取引や、前金制など、取引に内包した金融が代表例である。


前金制というのは、お客さんから借り入れる制度だから、うまい話だ。いまどきは、チャージ式のプリペイメントカードで電車に乗るのが普通だ。便利だから仕方ないのであるが、金利がつかないところは気に入らない。昔、テレフォンカードというのがあったとき、確か5%有利になっていたと記憶する。高利な金利だったと思う。いまでこそ、超低金利だが、金利が高くなったときにも付利されないのかどうか、関心がある。

普通の商品は、完成品を取引するので、製造業者からすれば後払いの制度だから、製造過程での資金調達は欠かせない。そこに融資するのが、普通の金融機能である。ところが、前払いの注文生産では、独立した金融の必要はなく、顧客と製造業者の間の取引に内包される。前払いの小規模な注文生産事業を、大量生産、大量販売(消費)の大規模な製造業に転換すると、そこに、製造業者向けの融資という大きな金融事業が生まれる。同時に、消費者側に対する消費者ローンの市場も生まれる。これが経済成長の仕組みである。

こうして、金融業と製造業が両輪となって経済を拡大させてきたのだ。では、今後もこのような成長の図式が有効なのか。もしも、大衆消費社会の成長に図式に転換が生じれば、金融にとっても重大な転換点になるのは避けられない。

掛けの問題も興味深い。日本の流通では、大手の卸売業者や商社の機能が大きい。これらの大手流通業者は、掛けによる取引を通じて、中小零細業者に対する重要な資金の供給者になっていると考えられる。この金融の仕組みを、独立した金融業に転換できないであろうか。つまり、中小零細業者へ直接に融資することで、現金取引に転換させるのだ。可能性としては面白いのだが、おそらく大手流通業者は、単に金融の力だけに支配力の基礎を置いているのではなくて、独自の強固なビジネスの仕組みを築き上げているのであろう。でもやはり、可能性としては面白い。

さて、金融業として独立していない金融の仕組みというのは、他に、どんなものがあるのか。地域金融機関の世界では、預貸率の低さ、即ち、預金量に対する融資需要の相対的低迷が、常に問題になっている。しかし、地域経済の回復というような他力本願では、融資は伸びない。融資を創造する努力が必要である。金融そのものと、業としての金融は違う。業として独立していない金融の仕組みを業に転換することで、産業と金融が並行的に成長してきたことに間違いない。まだまだ、努力の余地があるのではないのか。

森本紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
HC公式ウェブサイト:fromHC
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