4時間以上かけて海自のカレーにありつく

アゴラ編集部

昨日4月19日、気が向いたので神奈川県横須賀市の海上自衛隊横須賀地方総監部で開かれていた「第二回 護衛艦カレーナンバー1グランプリ in よこすか」というイベントに行ってきました。午前9時からということでJR横須賀駅に午前8時40分くらいに着いたわけなんだが、もう駅の構内から大混雑。すでに会場入口から長蛇の列ができ、京急の汐入駅を通り過ぎ、横須賀中央駅付近にまでそれが伸びていました。長さは約1キロといったところでしょうか。

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列をたぐっても最後尾にたどりつけません。もうこの時点で目眩がし、あきらめかけていたところ、ようやく列の最後がみえてきた。海自のスタッフに聴くと、当方で約4000人目だそうです。用意されているカレーは「6000食」ということなんだが、一人で2セットまでの上限を頼む人が圧倒的で、当方の順番がギリギリだろうと予想されました。

並び始めて開場時間の9時を過ぎると列がどんどん前に進みます。これは意外に待たずにカレーにありつけそうだ、と思ったのが甘かった。せっかく来たんだから、というサンクコストの罠にはまってしまったわけです。結局、カレーを食べることができたのは午後1時30分くらい。4時間以上も並び、すでにダブル2セットが完売していたため1セット500円のカレーを食べました。時間コストで考えれば異様に高いカレーです。

そもそもこのイベント、第二回、と銘打っているように2013年12月に長崎県佐世保市で第一回が開かれています。このときには海自の艦艇10隻(あけぼの、いそゆき、くらま、あまぎり、さわぎり、しまかぜ、あしがら、じんつう、はまな、あまくさ)が参加。「牛すじ入りイカ墨カレー」の護衛艦「さわぎり」が優勝しています。二位は「ビーフカレー」の護衛艦「あまぎり」、三位は「ポークカレー」の護衛艦「じんつう」でした。

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会場である海上自衛隊横須賀地方総監部の逸見ふ頭に接岸していたのは、護衛艦「あしがら」「こんごう」「くらま」「ちょうかい」「はるさめ」「あたご」の6隻。隣にはヘリ搭載護衛艦「いせ」、対岸には最新鋭護衛艦「あきづき」級の姿も。今回のイベントは、カレーのためではなく艦隊訓練で護衛艦12隻、補給艦1隻、訓練支援艦1隻と横須賀潜水艦部隊の計15種が初めて集合したため。誤解なきよう。

で、今回の第二回の結果は「濃厚味わいカレー」の「横須賀潜水艦部隊」が優勝し、「シーフードカレー」の護衛艦「ちょうかい」が二位、横須賀市長特別賞を「チキンカレー」の護衛艦「こんごう」が獲得したそうです。

それ以外、参加したカレーと艦艇は、護衛艦「あまぎり」天霧にくにくカレー、護衛艦「はたかぜ」はたかぜ豚カレー、護衛艦「はるさめ」Chicken Soup Curry、護衛艦「むらさめ」昔懐かし「むらさめ」カレー、護衛艦「たかなみ」燃えよ!! スパイシーカレー、護衛艦「おおなみ」おおなみプレミアムカレー、護衛艦「はまぎり」豚角煮と野菜のカレー、訓練支援艦「くろべ」呉代表カレー、護衛艦「くらま」内閣総理大臣喫食カレー、補給艦「ときわ」ローストビーフカレー、護衛艦「あしがら」ビーフカレー、護衛艦「あたご」ビーフカレーとなっています。

ただこれ、当方が食べた時点ですでに「こんごう」のカレーも「くらま」のカレーも完売売り切れでした。さらに1つのプレートに四種類のカレーを入れてもらうんだが、人気カレーも行列ができ、延々と並んで空腹の身には早く食べることのできるカレーの列に並ぶ、ということで、各カレーが同じ条件で食べられていたかどうか、ちょっと疑問。とりあえず、当方が食べた四種類のカレーを紹介します。

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3番「はたかぜ」焦がし豚カレー、4番「はるさめ」チキンスープカレー、6番「たかなみ」燃えよ!! スパイシーカレー14番「あしがら」ビーフカレー。個人的には「たかなみ」に乗船したいです。ご飯の量が少なかったですね。

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こちらはダブルの2セットのプレート。専用のボックスにプレートがはまるようになっている。このボックスだけ持ち帰る人が多かったようです。ちなみに各艦のカレーは、金曜日の定番メニューとして毎回このイベント用レシピで作られるわけではありません。

とにかく大盛況だった今回のイベントなんだが、午前11時過ぎにはすでにカレーが売り切れ、列に並ばずに艦船見学だけですませた人も多かったようです。そうした人を合わせると1万人以上がカレーを求めて横須賀に集合したわけで、日本人がいかにカレー好きか、実感しました。いわゆる「横須賀海軍カレー」と言われるように日本のカレー文化の発祥は旧海軍であり、このサイトでわかるとおり、海自所属の艦船では独自のレシピでカレーが作られているわけです。

当日は天候も良く気温も低くないゴールデンウィーク前の土曜日ということもあったんだろうが、わりに交通の便のいい横須賀という立地、単純なカレーの魅力に加え、さらに普段は味わうことができない海自艦船の独自カレー、というレアな非日常体験を求める人も多かったように思います。自衛隊も「軍隊」とはいえ、公共機関であることは確かで、護衛艦も基地も運営もすべて税金でまかなわれている。広く一般に活動や存在意義などを知らしめるため、こうしたイベントも効果的でしょう。

ところで、友だちの家でカレーをご馳走になり、自分の「おふくろのカレー」との違いに驚いたことのある人は少なくないと思います。それほどカレーは多種多様であり、味や辛さ、具材の好みも人それぞれ。あらゆる種類のカレーを食べ尽くしたい、というカレーマニアもいます。また、当コーナーでもカレーの全国チェーンが難しい理由について書いたように、特殊なスパイスが独占的に押さえられている業界のため、均一な味をブレなく提供するのは不可能に近い。こうしたことから、海自各艦艇の独自カレー、がみなさんの興味を強く喚起したんじゃないでしょうか。

来場者は広い年齢層の男性が約7割、残りは家族連れとカップル、若い女性の姿もチラホラ見かけました。安く長時間、楽しめる、ということで来た人も多かったんだろうが、列に並んで数時間、というのはさすがに疲れます。子ども連れも大変そうでした。しかし、滅多に体験できないレアなイベントに興味があれば、みなさん、不満も漏らさず延々と並び続ける。時間というコストの意味を考え直す体験でした。

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艦船見学では護衛艦「こんごう」に乗船。海自の隊員たちが懇切丁寧に説明してくれます。船舶ということで、やはり話題が韓国のフェリー海難事故になることも多く、遭難時にどうするのか、といった質問にも的確に答えてくれました。写真は「こんごう」搭載の「ファランクス」近接防御システム。一秒間に50発から75発のガトリング砲弾を発射し、弾幕を張ってミサイルなどを打ち落とすらしい。

ガジェット通信
「護衛艦カレー」グランプリ=独自レシピ、14隻集結─横須賀


Moore’s law gives way to Bezos’s law
GIGAOM
コンピュータの世界には有名な「ムーアの法則」というものがあります。Intel社の創設者の一人、ゴードン・ムーア(Gordon Moore)氏が1965年に提唱した「半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する」という法則。これは当然「集積密度」なので限界があります。原子の単位以下にはどうしてもできない。また「ムーアの法則」は単にコンピュータの性能だけでなく、低コスト化にも影響を与えます。コンピュータの能力ごとの価格は、約3年で50%下がるらしい。この記事では、Amazonの創立者ジェフ・ベゾス氏の考えから「ベゾスの法則」を紹介しています。クラウドコンピューティングとビッグデータといった「ソフトウエア」の進化で、「ムーアの法則」の減退速度を遅くし、低コスト化もより大きく実現することができる、というもの。ただし、クラウドコンピューティングのデータセンターが寡占化し、AmazonやIBM、Googleといった一部の企業だけが恩恵を受けるものになる、という危惧があるようです。

Why You Forget: 5 Strange Facts About Memory
livescience
「忘却とは忘れ去ることなり。忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ」というのは、いにしえのNHKラジオドラマの導入セリフです。ヒトの脳には「短期記憶」と「長期記憶」があることがわかっているんだが、この「短期記憶」が反復されて次第に「長期記憶」が形成されていくらしい。これを「記憶の再固定化」といいます。「短期記憶」はすぐに忘れ、ヒトの脳のメモリを消費しないようになっている。最近では、この「物質・材料研究機構のリリースのように、不必要な情報を忘れるコンピュータもできているようです。映画『ブレードランナー』にもなったフィリップ・K・ディックの小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』では、人工的に作り出されたサイボーグであるレプリカントたちが、自らの「記憶」を取り戻そうとするんだが、ヒトの「記憶」というのはまだまだ未解明の不思議な現象のようです。

Are Oil Companies Cutting Deals With Putin To Undermine US Sanctions?
CROOKS AND LIARS
ウクライナ問題で、米国とEUが主導して、対ロシア経済制裁が発動されているんだが、東部ウクライナの争乱状態がおさまらず、米国は追加制裁を検討しているようです。ただ、米EU政府がいくら制裁をしようとしても、オイル系多国籍企業が言うことを聞くとは限らない。シェルやBP、エクソンモービルといった企業は依然としてロシアで活動を継続しています。むしろ、こうした「危機」をビジネスの僥倖として利用しようとしている節も見え隠れする。対ロシア制裁の効果のほどを疑う、という記事です。

Police called in over drug scandal at major football club in England
the guardian
英国の薬物汚染は有名なんだが、今はサッカークラブが問題になっているようです。名門クラブのスタッフが「クラスA」の薬物を常態的に使用していた疑いがあるらしい。「クラスA」というのは、エクスタシーやLSD、ヘロイン、コカイン、マジックマッシュルーム、アンフェタミンといった種類のドラッグ。英国では持っているだけで懲役7年から最大無期懲役、さらに無制限(!)の罰金まで科せられる重罪です。これがスタッフに限らず、選手にまで波及するか、大スキャンダルの予感がするんだが、これがいったいどのクラブか、というのはまだふせられているようです。


アゴラ編集部:石田 雅彦