米3月中古住宅販売件数、足踏みな新規需要を確認 --- 安田 佐和子

2014年04月23日 14:00

前日お伝えしたように今週号のバロンズ誌、カバーでは景気回復の勢いに乗ってホーム・デポが最大で25%の上昇を示すと買い推奨を示していました。

ところが米3月中古住宅販売件数をみると、バラ色な展開は期待薄にみえます。以下、レビューをご笑覧下さい。

米3月中古住宅販売件数は459万件となり、市場予想の456万件より強い結果となった。ただ前月の460万件から0.2%減少し、3ヵ月連続でマイナス。金利上昇および寒波と積雪の影響から2013年8月以降、8ヵ月間で6回目のマイナスとなり2012年7月以来の低水準に並んだ。内訳をみると、一戸建てが前月比±0%の404万件だった一方、複合住宅は1.8%減の55万件となヘッドラインを押し下げた。

4大地域別でみると、2地域が上昇。大寒波を受けた北東部が9.1%増の60万件、中西部も4.0%増の104万件とそれぞれ少なくとも6ヵ月ぶりに反発している。反対に厳冬の影響が比較的薄かった南部が3.0%減の192万件、西部も3.7%減の103万件とそろって減少に転じた。

買い手動向の内訳は、以下の通り。

・差し押さえ物件 10%<前月は11%

・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅)4%<前月は5%

・差し押さえとショートセールを合わせた不良債権物件 14%<前月は16%、前年同月は21%

・新規購入者 30%<前月は28%、前年同月の水準に並ぶ

・現金での購入者 33%<前月は35%、前年同月は30%

・住居用ではない投資向けに購入 17%<前月の21%、前年同月は19%

BNPパリバのエコノミストは、結果を受け「寒波の影響で落ち込みが目立った北東部と中西部がけん引した半面、春の到来を受け恩恵を受けるはずの西部や南部が減少した点は気掛かり」と慎重な見方を表明。また「不良債権物件を吸収したせいか、販売件数に占める投資家の割合も低下していた」と指摘した。中古住宅販売件数の先行指標となる中古住宅販売成約件数指数が弱含みとなっているほか、新築住宅販売件数や建設件数などもさえない結果が続いており、「1~3月期住宅投資は横ばいにとどまり、10~12月期の9.8%減から改善しづらい」と予想している。

これだけ住宅市場がさえないなかで、住宅ローン需要が失速しているせいか銀行は住宅ローン基準の緩和を進めています。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、トロント・ドミニオン(TD)バンクは「ライト・ステップ」と題した住宅ローンの最低頭金を従来の住宅価格のうち5%から3%へ引き下げ、新規購入者の住宅ローン需要を喚起。ヴァリー・ナショナル・バンクも、ニュージャージー州、ニューヨーク州、ペンシルベニアで最低頭金を25%から5%へ劇的に引き下げました。住宅ローン最大手ウェルズ・ファーゴは年初から一部借り手に対し住居用の住宅ローン頭金5%のうち、親族からの贈与2%をまかなうことを認めています。適用対象の借り手は信用度が高く、住宅ローン保険に加入しなければなりません。

米連邦公開市場委員会(FOMC)による緩和縮小を背景に金利が上昇しつつあるなか借換需要が頭打ちとなり、銀行は新規住宅ローンに収入の軸をシフトを余儀なくされていることも基準緩和の一因です。米抵当協会(MBA)によると、2013年の住宅ローン組成は1.8兆ドルと、2012年の2兆ドルを下回っていました。

2012年後半にピークをつけ、2013年後半からは金利上昇が重しとなって減少中。

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(出所 : WSJ)

2014年の住宅ローン組成は、1.1兆ドルと一段と減少する見通し。米銀大手の1~3月期決算を振り返ると、確かに落ち込みを確認しています。

・ウェルズ・ファーゴ 前年同期比で67%減の360億ドル

・バンク・オブ・アメリカ 前年同期比65%減の239億ドル

・JPモルガン・チェース 前年同期比68%減の170億ドル

・シティグループ 前年同期比71%減の52億ドル、過去最低を更新

米連邦公開市場委員会(FOMC)を率いるイエレンFRB議長が低金利継続を強調する裏に、住宅市場の減速を阻む決意が見え隠れしますね。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年4月22日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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