来るか、内需喚起で「80年代型」景気浮揚 --- 岡本 裕明

2014年04月29日 11:47

「日用品の値上がり目立つ」とある日経の記事には4月は物価が3%程度の上昇になると指摘されています。「デフレ時代よ、さようなら、インフレ時代よ、こんにちは」なのでしょうか? 更に28日の日経トップは「賃上げ15年ぶり2%台」で47%の主要企業がベアを実施したとあります。物価上昇と賃金、このあたりを今日は考えてみます。


まず、物価。あくまでも私の見立てですが、4月の物価上昇は予想できたことです。そして早くから3%という数字は出ていましたし、私も2、3週間前のこのブログで指摘していました。多くの専門家も同様の予想でした。理由はコスト上昇に我慢できずに消費税に便乗の値上げ。

ここから更なる物価上昇の可能性として企業が5月以降も値上げを果敢に行うか、という疑問です。円安により輸入物価が上がったというならそれは一つの理由でしょうけど今年に入って為替水準は割と狭いレンジの動きに留まっています。為替予約の関係で時間がずれ込んだということもありそうですが、私は企業はここから継続的に小売価格を引き上げず、一旦は様子見になるとみています。

3%といった水準の物価上昇は一時的な現象でいずれ1%台に戻るとみています。私の予想はディスインフレと称される2%に届かない低いレベルのインフレがしばらく続くとみています(これについては日を改めて説明します)。ただ、デフレに慣れた者としては物価上昇を如実に感じさせると思います。

次に賃金。企業内のコスト上昇につながる賃金引き上げがこれから本格化するのでしょうか? 今後、賃金上昇が引き続き期待できる分野は業種により限定されるのではないでしょうか? 建設業やシステムエンジニアのようにBtoBの枠で技術者確保が必要な業種は賃金を引き上げざるをえないでしょう。

ところがユニクロのようなSPA、小売業、飲食店のように消費者向けのBtoCの業界における賃金引き上げは従業員確保という意味合いが強く、労働市場のすそ野は外国人を含め広い業種であります。この場合には完全競争の市場の中で小売価格改定がしにくく、体力のある企業は別として賃金上昇は企業の収益圧迫に直結し、一時的な上昇こそあれど、長期的趨勢にはなりにくいと考えられないでしょうか?

つまり、業種により引き合いが強く今後も成長が期待できる分野の労働市場はひっ迫し、結果として人件費上昇分を受注金額に反映させやすくなるでしょう。ところが、例えば飲食業のように代替が可能で価格競争が厳しい一般消費者向け事業は人件費の引き上げはそう簡単に成し得ないだろうとみています。

では、私が考える物価が上昇しても困らないシナリオとは何でしょうか? 私は繁忙状態が残業の増加→実質収入の増加をもたらしたり、副業、アルバイトなどによる副収入、企業の各種手当の増大など付随収入が伴うとみています。給与のベースアップは出来なくてもまさに一時金という名のボーナスで報いるところも多くなります。

更に企業の経費支出の緩みでいわゆる社用族が一部復活してくるとみています。考えてみれば日本の景気が良かった80年代まで、サラリーマンは社費天国でした。私も社費の飲食、ゴルフがほとんどでした。その上、私は出張がちだったため、出張手当が給与の5割ぐらいあってそれが現金でポケットにそのまま入っていた「無税のお手当」も大きかったのです。

景気が良くなればベース賃金とは別次元で世の中にお金が回るようになります。これはベースアップの上昇率という一つのメジャメントだけでは説明しきれない世界であります。そして日本は少なくとも2020年まで大型プロジェクトが目白押しで内需型の景気はかなり良くなるはずです。多分、80年代を彷彿させるぐらいになるとみています。これは時間軸をそっくり30年引き戻した状態だと思ってよいでしょう。つまり、今は1984年と同じぐらいという感覚でよいかと思います。日本の景気については全く心配していません。むしろこなせないかもしれないと思っています。

好景気という言葉が25年もなかったわけですから若い人には無縁な話で想像しにくいかもしれませんが、外から見ていると日本のポジションは圧倒的な強さを持っているとみています。自信を持っていよいと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年4月29日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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