バロンズ誌:Fedの第1弾利上げまで、数年待ちか --- 安田 佐和子

2014年05月05日 09:49

バロンズ誌、「ストリートワイズ」では引き続き楽観的な見通しが寄せられています。タイトルは「米株はゆっくりながら安定的に上昇へ(Slow-but-Steady Gains Ahead for Stocks)」。

米4月雇用統計が見通しのカギを握ります。米雇用統計は好結果ながら質的にはさえない内容でしたよね。従ってアリアンツ・グローバル・インベスターズのストラテジスト、スティーブ・メイリン氏はFedが住宅市場の回復とインフレ率2%達成を支援する一環として、Fedが労働市場の回復に時間的余裕を与えると予想。資産買い入れ額の縮小は継続するものの「Fedは賃金上昇の必要性を痛感しているとみられ、低金利’策はしばらく継続する」と考えています。

低金利政策が続くなら、RBCキャピタル・マーケッツの米国市場主席ストラテジストのジョナサン・ゴラブ氏は株価上昇余地が広がると予想します。1966年以降8回に及ぶブル相場の終了に景気後退が後に続かなかった例は1回のみ。しかしFedが利上げを渋れば景気回復ペースは鈍化するものの長続きするため、いずれ投資家は高い株価を支払うことも躊躇しなくなるといいます。株価収益率は(PER)は15倍から向こう1-2年先に17倍となる可能性を指摘し、「景気後退のリスクが払拭すればリターンは平均値を上回りPERは上昇していく」と予想していました。

S&P500の4月までの年初来1日当たり変動率をみると1.1%と、過去50年平均の1.5%以下にとどまっていました。成績はというと年初来で1.9%の上昇と2004年以来の小幅な動きとはいえ、着実にプラス・リターンを挙げています。

ところでバロンズ誌の今週号はインド投資でした。

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(出所 : Barron’s)

その陰で「アップ・アンド・ダウン・ウォールストリート」では、エマージング諸国動向がFedの利上げを遅らせると予想しているんですね。

これまで「アメリカがくしゃみをすると、世界が風邪を引く」と言われてきましたが、世界は変化しつつあります。中国は今年にもGDPで米国を抜いて1位に踊り出るでしょう。エマージング諸国の経済も、世界全体のGDPの半分を占めるようになります。こうした「新世界秩序」を背景に、ジェローム・レヴィ・フォーキャスティング・センターのデビッド・レヴィ会長は、次に米国を景気後退に陥れる要因こそ、近代史上初めて「米国外の世界経済動向」と予想しています。

例えば中国の設備稼働率は一時90%と米国好況期に匹敵するまで上昇し反映を極めた後、今では60%へ低下し米国のリセッション時点を下回る水準にあります。仮に中国がハードランディングを回避しても、エマージング諸国は輸出をテコに成長を遂げ資本支出を拡大してきたため、経済減速は必至。肝心の輸出が減少すれば、政府債務を穴埋めも困難となりえます。

台頭するエマージング諸国の裏で同地域が世界経済に及ぼす影響は甚大となるだけに、Fedは「数年間」利上げできない——レヴィ氏は、こう予想します。利上げ時期を「2015年6月」と見込むマーケットより、ずっと弱気なんですね。

いずれにしても「アップ・アンド・ダウン・ウォールストリート」と「ストリートワイズ」ともに、FF金利が低水準で維持するとの見通し。米株の強気派にとっては、朗報と言えるかもしれません。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年5月4日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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