日本経済、さらなる政治的テコ入れが必要 --- 岡本 裕明

2014年05月13日 21:15

2014年3月期の決算発表のピークを過ぎました。過去最高益を記録するところもあればあれっという業績に株式市場での喜怒哀楽も見て取れます。ただ、総じて見て取れるのは今期である15年3月期の予想に関して、売り上げ、利益ともずいぶん健全に見積もっているところが多いということでしょうか?


これを裏返して言えば14年3月期はアベノミクスが最も盛り上がり、2020年のオリンピックも決まり、日本が大きく盛り上がった年として円安の助けもフルに受け、決算はおおむね好調な数字を維持した、ということでしょう。が、2015年3月期に向けた今は為替の「お助け」もなく、労働市場はひっ迫し賃金上昇を見込まなくてはいけないなど、企業が今以上に改善するプラスファクターが圧倒的に少なくなってきたとも言えそうです。

例えばブルームバーグによると日本のメガバンクの決算について「アナリストによる前期連結純利益(=14年3月期)の見込み額は、三菱UFJが9534億円、三井住友フィナンシャルグループが8031億円、みずほフィナンシャルグループ6608億円と高水準。これに対し今期の予想平均はそれぞれ前期見込み比6%減の8966億円、同15%減の6850億円、同16%減の5522億円。株高効果の剥落分を本業の融資などで補えないとみている」としています。

「融資で賄えない」というのは貸し出しが増えていないという意味で「過去17か月で融資額は10兆5000億円増えたがそれでも預金が融資に回らず純利息マージンはアジア太平洋地区で最低」とあります。

例えば新たに店舗を出店したい企業があっても建設は容易ではありません。土地はまだ買えますが、極端な話、その店舗はいつ完成するか分からず、いくらかかるかもわからないという状況なのです。私が東京で施工中の事業用ビルも工事着手に契約から5か月待たされました。価格も契約から5月の施工待ちの間に1割ぐらい上げたいという「ご要望」があり、建設内容を双方ですべて精査し、上昇要因を潰した経緯があります。ただ、これなどもオーナー経営者の強引さで決めたようなもので一般企業では「建設中止」とするところもずいぶんあると聞いています。

これは先の銀行の融資が増えないという理由の一つに繋がってきてしまうのです。建設費の高騰はデフレに慣れきった日本において商品価格へ反映させる勇気がまだ十分でなく、計画倒れとなるということでしょうか? ちなみにゼネコンの今期見通しも押しなべて下押ししています。

つまり、輸出関連産業は円安にもかかわらず輸出は伸びず、国内は材料費、人件費の上昇で次の一手が見つからないということでしょうか?

ただ私は個人的にはまだ楽観視しています。まず、日本企業全般に言えるのは業績予想がいつも堅めで決算期が近づくと「上方修正」をする癖があるということです。確かに下方修正よりも株主にとっては嬉しいですし、「経営陣の努力の成果もあり」という自己評価につながります。また労働市場については労働観の変化と労働参加率の上昇を期待したいと思います。

日本の労働参加率は長期低落の趨勢のトレンドが変わるかどうかというところにあります。1950年代は参加率は70%台にありましたが、その後、見事に下がり続け、2013年平均は59.3%しかないのです。ただ、2000年代初頭から下げ止まりの傾向は見て取れ、女性と高齢者の再就職が実現すればこれは跳ね上がる可能性があるとみています。税制改正を伴う女性の労働参加促進は家計収支の改善、消費の上昇をもたらし、経済活性化にはかなり効果的だとみています。更に年金も選択制で75歳まで繰り下げる検討が始まるならば高齢者の労働市場復活を促す一定効果はあるかもしれません。

企業の努力によりずいぶん回復しつつある日本経済ですが、ここからはやはり政府の対策の効果を期待したいと思います。法人税引き下げ、税制改正、労働市場改革、各種規制緩和などは直接インパクトありますから安倍首相の手腕がモノをいうのではないかと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年5月13日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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