米国の起業家精神は変わりつつあるか

アゴラ編集部

米国の起業家精神というのは、フロンティアスピリッツや「アメリカン・ドリーム」などを背景にして、同国のパワーの源泉にもなっています。MicrosoftやAppleは言うに及ばず、AmazonやGoogle、Facebookなど、ごく少数の若者がほとんどゼロから立ち上げ、今では米国産業を支えているような巨大企業が数多くある。彼らはよく「アントレプレナー(entrepreneur)」と呼ばれるんだが、この言葉の原意はフランス語の「仲介人」とか「興行主」という意味です。それがいつしか独創性やリスクを負った果敢な起業家を指すようになった。


しかし人間には、高いリスクを嫌い、起業せずに安穏とした人生を送る、という選択もあります。日本人ほどじゃなくても、米国人にだって新奇探索傾向が高い人はそう多くない。ただ、失敗してもリカバリーが可能な社会であり、投資と融資をはき違えるようなベンチャーキャピタルも淘汰され、米国で起業へチャレンジするのが容易なのは確かでしょう。

ただ、それはいわゆるグローバル化が進みつつある経済体制下でこそ大きなアドバンテージがあったのかもしれません。スタートアップの時代、と喧伝され、シリコンバレーへの投資額が増え続けているのにもかかわらず、表題の記事によれば米国での起業数が減っているらしい。皮肉にもグローバル化が進めば進むほど、国内雇用が地場化し、既存の産業が重要になってくる。米国の起業家精神にもこれが影響し、一種のパラドックスが起きているのではないか、というわけです。

The Atlantic
The Mysterious Death of Entrepreneurship in America


Silicon Valley heading toward another tech bubble, some investors say
PHYS.ORG
米国では1990年代の最後のほうで、いわゆる「ITバブル(ドットコムバブル)」というのがありました。西海岸のシリコンバレーを中心にして、インターネット系のハイテク企業や技術に大量の金が流入し、ハイテク系で起業すれば株価がバカ上がりする、という状況に皆さん踊ったわけです。日本でも渋谷系と呼ばれるようなちょっとしたバブル状態がありました。しかし、2000年に入ったあたりからバブルが崩壊。その後の米国は、金融工学による住宅バブルやリーマンショック前まで長い不況に陥るわけです。凝りもせずに繰り返すのが世のならい、というわけで、この記事ではまたぞろシリコンバレー界隈で新たなバブルが生まれようとしている、と書いている。FacebookによるWhatAppの巨額買収などのように、投資資金がIT系にまわり始め、ベンチャーキャピタルが手にする金の額はITバブル時以降で最大になりつつあるようです。

Minecraft開発者 Notch の最新作は「Drowning in Problems」、制作4時間のテキスト人生シミュレータ
engadget 日本版
Facebookが「Oculus Rift」というヴァーチャルリアリティ用のヘッドギアを開発している企業を20億ドルといわれる金額で買収した際、このMotch氏は『Minecraft』のサポートを止める、と宣言したわけです。この人、Windows8の認証要請も拒否したりして、ちょっとエキセントリックな感じもあるんだが、表題の記事では彼の新作ゲームを紹介。「」というものらしい。やってみたら、なんかうまく動きません。Macだからか。

アトム2世
メカAG
お茶の水博士がアトムを作った、と誤解している人も多いんだが、アトムは天馬博士という人が事故で死んだ自分の息子を再現しようとして作ったロボットです。しかし、ご多分に漏れず、ロボットはしょせんロボットで息子の代わりになるはずもない。なんの罪もないアトムに八つ当たりした天馬博士はサーカスにアトムを売り払ってしまう、というのが最初の話。どこかで見たようだな、というのはハリウッド製の映画『A.I.』とか映画『リアル・スティール』にプロットが引き継がれているからでしょうか。

Turns Out Obamacare Premiums Aren’t More Expensive After All
BUSINESS INSIDER
国民健康保険が広く浸透している日本では、ちょっとピンと来ないんだが、米国の無保険者は約4800万人もいるようです。そんな中、いわゆる「オバマケア」が少しずつ前進しつつあるらしい。2013年10月から今年3月末までの間、登録作業が続けられてきたんだが、目標の700万人をちょっと越える710万人が登録したようです。これは二期目の後半にさしかかっているオバマ大統領の医療保険制度改革という看板政策です。米国民や政治家の中でも与野党を問わず、いまだに肯定否定の意見が出ている。今年秋の中間選挙で争点になるのは必至、ということでいろいろな情報が出始めています。表題記事では、オバマケアの費用が既存の健康保険よりも安い、と書いてる。これまで保険に入っていなかった人たちにとって、こうしたコストの比較は無視できないでしょう。


アゴラ編集部:石田 雅彦