バロンズ誌:米金利の低下継続、狙い目は設備投資関連の銘柄か --- 安田 佐和子

2014年05月18日 18:55

バロンズ誌、今週のアップ・アンド・ダウン・ウォールストリートでは世界景気減速ではなく再び低金利と米株相場に焦点を当てています。

米4月消費者物価指数(CPI)が2%に達したというのに、米10年債利回りは15日に引け値で2013年7月以来の2.5%割れを示現しました。インフレが不気味に上昇のサインを示すも、お構いなし。FedがCPIではなく帰属家賃のシェアが低い個人消費支出(PCE)デフレーターを重視しているのも、一因でしょう。PCEデフレーターが3月に前年比1.2%の上昇とインフレ目標値「2%」を依然として大きく下回っているため、見極めが重要と判断されたのかもしれません。

ビジネス・インサイダーは、米10年債2.5%割れ前に割高を指摘していたんですが……。
business insider

ギリシャ当局が海外投機筋にキャピタルゲイン税を課す提案を行ったのも、ユーロ圏周縁国から米国債への資金流入を招いたとみられます。ひとつ明らかなことは、「砂漠で水は高くつく」。ジャンク債ですら低イールドで利回り追求が困難なら、市場関係者は受け入れるしかないようです。ビアンコ・リサーチのジョン・ビアンコ氏は、米10年債利回りが2%へ低下する可能性を挙げていました。

米債へ資金が流入するもうひとつの要因として、R.J.オブライエンのマネージング・ディレクター、ジョン・ブレイディ氏は「市場は物価より株式ディスインフレを重視している」と説明します。米株はウォルマートの決算後に下り坂に向かいましたが、今後も調整モードが続くのでしょうか。

ルイーズ・ヤマダ・テクニカル・リサーチ・アドバイザーズのルイーズ・ヤマダ氏はナスダックにつき約10%、ダウ平均は16日引け値から約6%安の15500ドル、S&P500も約7%安の1750pまでの下落を見込んでいます。その上で、押し目買いよりストップロスの引き上げを推奨。「5月に売り逃げろ(Sell In May And Go Away)」、今年に限っていうなら適切かもしれないとまとめていました。ただし、あくまで調整の一環でブル相場の終焉を迎えるわけではないとも付け加えています。低水準の米金利こそ、引き続き米株高の屋台骨と見なしているかのようです。

アップ・アンド・ダウン・ウォールストリートが弱気へ傾いていなかったように、ストリートワイズは米企業が「自社株買いから設備投資へ路線変更しつつある」と伝えています。ゴールドマン・サックスによると、2013年に設備投資を積極的に行った約250社の一部が発表した設備投資計画は、前年比7%増。2013年の2%増を上回っていました。

これまで自社株買いで相場を盛り上げて来た上、設備投資が業績に貢献しなかった1990年代の例もあって失望しましたか?ご心配なく。モルガン・スタンレーによると、売上に占める設備投資の割合が高い企業の株価は年初から7%上昇していたんです。自社株買いに重点を置いた企業の1.7%を大幅に上回ります。

少なくとも、投資家は現時点で設備投資拡大に必ずしも悲観的な反応は示していません。高級百貨店ノードストロームは減益ながら予想を上回る決算とともに向こう5年間の設備投資39億ドルを発表し、14.7%も急伸して引けました。米金利が低下する環境では資金調達が容易という追い風もあって、中長期的な視野から設備投資するなら今がチャンスともいえますね。ストリートワイズは、金利上昇前に設備投資を決断する企業こそ狙い目とアドバイスしているかのようでした。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年5月18日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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