バロンズ誌 : M&Aも輸送株も、ブル相場 --- 安田 佐和子

2014年05月25日 11:40

バロンズ誌、今週の特集は買収・合併(M&A)です。業界再編の波がマーケットを盛り上げるように、ディーロジックによると年初来のM&A額は未完了も含め発表ベースで1.52兆ドル(155兆円)。インドの2012年国内総生産(GDP)の1.8兆ドルに近い規模なもので、インド人もビックリですね。前年同期比では56%増、2007年の2.06兆ドル以来で最高を記録しています。

小規模なものを合わせた件数ベースこそ前年同期比5%減の1万3913件ですが、巨額な案件が復活しているんです。100億ドル以上の案件は年初来で19件と、前年同期比で倍増していました。10億ドル以上100億ドル未満だと前年同期比34%増の215件に達します。

M&Aの増加には、3つの背景があります。

1)うず高く積み上げたキャッシュ、低金利

S&P500構成銘柄の非金融セクターは、キャッシュを1.4兆ドル(142兆円)も溜め込んでいます。一方で88%が投資適格級で社債利回りレンジは2-4%と異例なほどの低金利ですから、使わずにはいられないってワケです。

2)売上頭打ち、成長戦略の必要性

ファクトセットによると、決算発表済みS&P500構成銘柄490社の売上高は平均の伸びが2.7%増。利益になると2.1%増に過ぎません。従って手っ取り早く業績を押し上げる起爆剤が必要なんです。

3)増配・自社株買い以外でキャッシュを使う重要性

ファクトセットによると、S&P500構成銘柄は過去3年間で配当を50%増加させてきました。しかし企業の高い利益率は永遠に続くはずはありません。別の手段である自社株買いは2013年10—12月期に1260億ドルと、配当の810億ドルを大きく上回りました。おかげで株価収益率(P/E)は12倍以下から15倍を超える水準に切り上がり、割安ではなくなっています。

以上の観点から、バロンズ誌は10銘柄を今後のターゲットとして挙げています。

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ストリート・ワイズも楽観的なスタンスへ大きく舵を切りました。米国の景気先行指標と目される輸送株が鼻息荒く強気サインを点灯させているからです。S&P500は23日に最高値で引けましたが、ダウ輸送株は過去3ヵ月間で9.3%も上昇。挙げ句の果てに23日には7986.58pと14回目の史上最高値更新で取引を終えています。なぜ輸送株が好調なのか。

米国で言うなら景気改善だけでなく、トラック輸送はガソリンから安価な燃料へ切り替え中。航空会社もM&Aで競争圧力が後退しただけでなく、座席の足元スペースをはじめ食事などでチケット料金以外での利益確保に努めています。しかも欧州中央銀行(ECB)の追加緩和で成長回復が期待されるなら、配送関連も魅力的というワケ。

アップ・アンド・ダウン・ウォールストリートも、ささやかながらエールを送っています。ウェルズ・キャピタル・マネジメントのジェームス・W・ポールセン主席投資ストラテジストによると、ミシガン大学消費者信頼感指数とS&P500、そしてP/Eには相関関係が深いのだとか。そのミシガン大学消費者信頼感指数は5月の速報値が81.8と9ヵ月ぶり高水準の前月から鈍化してます。上昇にブレーキが掛かるいま、ポールセン氏は23日に最高値で引けたS&P500がさらに上昇するために、企業の設備投資や雇用増加を通じたセンチメント押し上げが必要と指摘。同氏のS&P500の年末見通しが2000pと23日の最高値から約5%とはいえ、ゆるやかながら上昇シナリオを描いていることは確かです。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年5月24日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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