握手会襲撃事件で「AKBビジネスモデル」は崩壊するか

アゴラ編集部

いつか起きるだろう、と誰もが危惧していたことが起きました。5月25日、岩手県滝沢市で開かれていたアイドルグループ「AKB48」の握手会で、ノコギリ状の刃物を持った24歳の男が突然、メンバー二人とスタッフの男性に襲いかかり、三人がケガを負ったわけです。幸い命に別状はないものの、メンバー二人はそれぞれ指の骨を折り、手や頭に裂傷を受けた。この事件を受け、イベントの中止や延期など各方面に影響が出ています。


しかし、刃渡り50センチほどのノコギリ状の凶器を使った、というのはかなり悪質です。単純な刃物より傷が治りにくく、場所によっては芸能活動に支障をきたしかねない傷を負わせられる。さらに、被害者は骨折までしているわけで、ノコギリ状の凶器にしても重量はありそうです。容疑者は「誰でも良かった」と言っているようなんだが、場所や相手を考えればその言葉に信憑性はありません。

この事件については、国内の多種多様なメディアで報じられ、海外メディアでも取り上げられているようです。その中には、握手会やCDに付いている投票券などの「風習」を奇異なものと扱っている記事もある。こうした「AKBビジネスモデル」は、どうやら世界の芸能界でも特殊なもののようです。

人気のある歌手や俳優、タレント、モデルなどは、選ばれたごく一部の人間しかなれません。そうしたスターになる「金の卵」を見つけ出し、育てて売り出し、マネジメントする、というのが本来の芸能事務所の役割でしょう。「金の卵」か「普通の卵」か前からわかっていれば世話はない。いくら精魂込めて育てても「普通の卵」のままで売れなかった、という芸能人は山のようにいます。投資とリターンで言えば、これほど損なビジネスはない。「スターを誕生させる」という夢がないとやっていけないビジネスでしょう。

しかし「AKB」のビジネスモデルは、その中に「金の卵」が混じっているかもしれないんだが最初から「普通の卵」をズラッと並べ、その中から「金の卵」が生まれたら見つけもん、という方法でやってきました。正直な感想を言わせてもらえば、これまでまだ「AKB48」から「金の卵」は見つかっていません。

むしろ、売り出す側は、最初から「『金の卵』なんていない」という開き直りから始めたような気がします。また、この「普通の卵」感がファンの応援心理をくすぐっていた、という側面も否定できないでしょう。「おニャン子クラブ」でアイドルは「デフレ化」して隣人化し、「キャンディーズ」が「普通の女の子」に戻った頃の手の届かないアイドルとは一線を画しています。

「AKB」の握手会というキャンペーン手法も、まさにこの延長線上にあります。大量の「普通の卵」を並べ、手間ヒマかけず「デフレ化」させたビジネスモデルでは、アイドルの安全保守を確保するためにコストをかければ足が出てしまうでしょう。

警察当局は所属事務所などに対し、今後の安全確保に万全を期するよう要請しているようなんだが、そもそもの「AKBビジネスモデル」からすれば、それを続けるのはなかなか難しいんじゃないでしょうか。これ、一部ファストフードチェーンの「深夜ワンオペ」に通じるものがある。いずれにせよ、メンバーらの心のケアも含めた傷の回復を祈っています。

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「英語なんか絶対に理解するものか」
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IRORIO
今でも生産が続けられている「スーパーカブ(Super Cub)」は、日本のモノ作りを象徴するような製品でしょう。このバイク、2014年3月までに世界中で8700万台以上が作られているらしい。「カブ(Cub)」というのは、クマなどの子どものことで、小排気量でも力強い、というイメージでつけられたそうです。そもそもは自転車に補助的につけるエンジンキットの商品名。今の電動自転車みたいなもんです。本田宗一郎が作った、と誤解されているんだが、「スーパーカブ」のコンセプトは彼の懐刀とも名参謀とも言われた藤沢武夫のアイディアです。


アゴラ編集部:石田 雅彦