バロンズ誌 : LAクリッパーズ買収は高リターンを約束? --- 安田 佐和子

2014年06月02日 09:04

バロンズ誌、今週号の特集はビッグ・ブルーすなわちIBMの再建に焦点を当てています。

アップ・アンド・ダウン・ウォールストリートは、マイクロソフト前最高経営責任者(CEO)によるLAクリッパーズ


買収について。20億ドルという買収額は当初予想の2倍に相当したものの、同氏が2013年8月にCEO辞任を発表してからマイクロソフト株は34.75ドルからドルと17%以上も急伸していました。買収提示額20億ドルのうち13.6億ドルはマイクロソフト株で賄え、ウェスト・カンファレンス準決勝に進出したチームの買収はいわばマーケットに支えられたと説きます。

バルマー氏、サクラメント・キングスをシアトルへ招致する運動に参加したことも。

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(出所 : Time)

S&P500やダウ平均が最高値を更新するなかでLAクリッパーズを買収する利点は、それだけではありません。米国債だけでなく欧州債の金利が軒並み低下し「日本化(Japanification)」が進行中。ボラティリティも低下中でVIX指数は2007年2月以来のサブプライム・イブの水準へ落ち込んでいました。(2007年3月に住宅ローン貸出会社ニュー・センチュリー・フィナンシャルが新規貸出を停止、銀行からローン債権の買い戻しを請求された経緯を受けニューヨーク証券取引所が上場停止を決定。またモーゲージ・レンダーズ・ネットワークなど、約20社が資金繰りの行き詰まりで業務停止を余儀なくされた)。

低金利、低ボラティリティ、出来高減少では、伝統的な金融機関のポートフォリオ(債券6割、株式4割)では4%のリターンを獲得する程度。利益を確保するには極端なレバレッジを掛ける必要があり、バルマー前CEOのLAクリッパーズ買収は妥当な選択と言えるのかもしれません。

「日本化」に伴う低ボラ・出来高減少を迎えつつ、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BOAML)のマイケル・ハートネット主席投資ストラテジストは、相場が方向性を失うとは考えていません。これまで、投資家が「日本化」についていけなかっただけと指摘。リターンを取るためのポジションが形成できていなかったと示唆しています。BOAMLの投資家調査をみると、S&P500とラッセル2000のショートが過去2年間で最高、ナスダックのロングも1年ぶり低水準。キャッシュを選ぶ傾向が強まっていました。ハートネット氏は、こうした背景を踏まえ夏には高い流動性を伴った「根拠なき熱狂(irrational exuberance)」を迎える可能性を予想しています。

ストリート・ワイズは、今年の夏に株式市場で大ヒットするセクターこそ他ならぬ「銀行」と指摘します。足元の傾向としてマーケットでは割安銘柄に人気が集まるなか、S&P500の株価収益率(PER)が16.1倍に対し銀行セクターは12.1倍に過ぎません。

ファンダメンタルズも、銀行セクターに味方しています。1-3月期国内総生産(GDP)こそ1.0%減でしたが、4-6月期に大幅回復する見通し。米新規失業保険申請件数のサービス部門も2012年3月以来の水準へ減少し、貸出もようやく成長率に沿った伸びを示して始めています。ドイツ銀行のデビッド・ビアンコ米株ストラテジストいわく収入・利益に幸先の良い兆しが現れているんですよね。

増配・自社株買いへの期待も膨らみます。米当局は足元、資本積み増しを優先させ株主還元策を抑制させてきました。MKMパートナーズのアナリスト、デビッド・トロン氏いわく例えばJPモルガンの場合2015年3月末までに余剰資本を358億ドル積み増す一方、米当局が承認する配当・自社株買い額は68億ドルにとどまる見通し。シティグループも522億ドル積み増しましたが、米当局は3月のストレス・テスト結果を受け増配を承認しませんでした。

3月時点の配当・自社株買い動向。

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(出所 : WSJ)

とはいえすでに株主還元策の扉は開かれており、増配・自社株買いを通じた銀行セクターの株価上昇も時間の問題でしょう。今年は冷夏の見通しですが、相場は各中央銀行の低金利政策継続に欧州中央銀行(ECB)の追加緩和も重なり、相場自体はヒートアップしてくる?


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年6月1日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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