働くだけが能じゃない? 米所得内訳投資に異変アリ --- 安田 佐和子

2014年06月06日 15:50

真面目に働いてさえいれば叶ったアメリカン・ドリームのひとつこそ、マイホーム。今となっては、昔の話。お給料だけで生活していたら貯金すらままならない、という方も少なくはありません。

そんなアメリカの今を切り取る数字が、こちら。

ウェルズ・ファーゴのエコノミスト、ジョン・シルビア氏とサラ・ワット・ハウス氏の調査によると、所得に占める賃金・給与の割合は低下の一途をたどっています。1980年では59.3%だったところ、足元の12ヵ月間ではたったの50.5%。イエレン議長率いる米連邦公開市場委員会(FOMC)が賃金の伸び鈍化を懸念するはずです。なぜこうなってしまったのでしょう?

労働が担う所得のパイは低下トレンドに突入。

income

(出所:Business Insider/Wells Fargo)

両エコノミストいわく、理由は3つ。

1)引退するベビーブーマー世代
失業率および労働参加率の下押し要因とされるベビーブーマー世代(概して1946—1959年生まれ)が、ここでもキー・ファクター。同世代が引退に従い年金生活に入り、かつ高齢者向け医療保険(メディケア)の受給資格を得るため、必然的に移転所得(上記チャートではtransfersに相当)の割合が高まり賃金は低下する。

2)社会福祉受給者の拡大
景気後退を経て格差社会が浸透しつつあるなか、低所得者層向け医療保険(メディケイド、身体障害者も含む)の受給者が増加。2013年に支給額が削減されたものの、フード・スタンプ(食費補助)受給者も2013年度で約4750万世帯と高止まりを続け、移転所得を押し上げている。

フード・スタンプ受給者、一向に減少する気配なし。
foodstamp

(出所 : Governing.com

3)家賃収入の増加
2000年以降、家賃収入の増加が顕著に。リセッション以降は賃金の伸び鈍化もあって賃貸需要が高まり、家賃収入の拡大につながっている。

以上の3つの理由に加え、いわずもがな企業は採用や手控え中。設備投資より自社株買い・増配など株主還元策のほか、買収・合併(M&A)を通じた業績改善を進めており、フツーに働いているだけでは賃金が伸びる余地が狭いんです。家賃負担という重荷も重なり、所得に占める賃金・給与の割合が上昇に転じるまで「私、待ぁ~つぅ~わ♪」なんて歌ってられません。アメリカン・ドリーム実現を目指し所得を着実に増加させるためには特殊技能を習得するか、副収入を得るか、投資を始めるか——若い世代を中心に選択が迫られています。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年6月5日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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