ひなげしの花と単純所持の胡散臭さ --- 山城 良雄

2014年06月11日 20:27

正義を振りかざしながら、どうも胡散臭く見えるものがある。児童ポルノ規制の話や。最大の論点とされる単純所持の禁止について、もっとも熱くなっている一人にアグネスチャンがいる。はっきり言う、あんたが主張したら逆効果や。


若い人のために解説しておくが、アグネスチャン。今でこそオバハンやが、生まれた時からオバハンやったわけやない。少女アイドルの草分けのような存在や。1972年「ひなげしの花」でデビューしたとき17歳や。当時の写真を見ると、もっと幼く見える。

Target=”_blank”>当初の衣裳はロングであったが、翌年ミニスカートに変えて人気が急上昇した。【ウィキペディア】当時のファンがどんなことを考えておったか丸わかりや。どう考えたって、男性の幼女に対する「性的好奇心」に依存してデビューした人やないか。

今のAKBに繋がるアイドル文化の萌芽。それに乗じて世間に出てきた人間が、児童ポルノに関して発言するなら「18歳未満がセックスアピールをすることについて」どう考えているのか、一言あってしかるべきや。

この原稿を書くのにアグネスについて調べてみたが、不思議な事実がいくつか出てくる。まず、ヒットらしいヒットは「ひねげしの花」と翌年売の「草原の輝き」のみなのに、2012年まで、年1のペースで50本以上のシングルを出している。膨大な根強いファンがいるという話も聞いたことがないのにな。

40年以上日本で芸能活動、配偶者は日本人。でも決して日本人にはならん。そのくせ日本ユニセフ協会大使として世界中で活動。ただし、祖国中国の女性や子供の人権について目立った発言はなし。いったいどんな人なんや。どんな連中がバックにおるんやろう。

2008年、このアグネスが「児童ポルノの単純所持禁止」という声明を発表。政府、国会に意見を求めている。そして現在の国会審議、いったい、どんな勢力が、何を目的にこの話をすすめているのか、大変、気色悪い。

国としての法案の目的。「人権に関することは国際標準で」てなキレイな話な訳がない。代用監獄問題やら、刑務所での処遇、死刑……簡単に国際水準に改められる国内の人権侵害はいっぱいある。要は、取り締まる方向へは国際水準、ゆるめる方向へ独自水準、というのが法務関係者の思想や。

さて、この法案。ザル法になるのは目に見えている。ザル法とは「誰にでも簡単に破ることができる法」のことを言う。物理的に児童ポルノとは何か。現状では大部分がデジタルデータや。数字の0と1。だれでも簡単に秘密裏に複製、所持、送受信ができる。

おまけに、現存するコンテンツを駆逐したところで、児童1人とデジカメ一台あれば、いつでもどこでも、新しいコンテンツが作成できるがな。日本では生殖器や性行為の写真の流通は今でも違法やが、ほとんどの日本人が「性行為」の産物であり、現物の「生殖器」を持っている。だから、ポルノの規制は必ずザル法になる。いわゆる無修正画像など高校生でも簡単に入手している。

運用上もわからんことが多い。被写体の年齢をどうやって調べる。刑事裁判になれば、被写体の年齢が必ず争点になるやろが、証拠物件自体が人権侵害の産物で、みだりに開示できないと来れば、法務関係者のズレた判断の検証のしようがない。裁判員もたまったもんやない。

技術的な疑問もある。ハードディスクに残っている画像を完全に消すには、ディスク自体をフォーマットでもせんことには難しいが、どうするのか。中古のハードディスクは? 傷のあるCDロムなど、ツールを使えば読めるものもあるがどうするのか。海外サーバーは? ……グレーゾーンてんこ盛りや。

考えてみれば、デジタルデータの所持自体を(他の犯罪の証拠としてではなく)国家がチェックできるというのは、極めて危険なことや。これでうれしいのは警察関係者やろう。恣意的な取り調べがいくらでも可能になる。

なにしろ、個人のデジタル記憶装置を、いくらでも調査することができる。痴漢えん罪か機密保護法違反でも仕掛けて、捜査令状を取ればいい。出入りの飲み屋のホステスに強制わいせつの被害届けを出させる、という古典的な手口も生きてくる。

でっち上げも簡単や。凛の会事件で大阪地検がかなり拙い証拠改ざんに使ったのはフロッピーディスクやった。同様に、押収されたハードディスクに、タイムスタンプの残らん形で画像の断片を書き込んでおかれたら。反証の出しようがない。

そもそも、児童ポルノの全てが人権侵害とは言えん。仮に、15歳で初ヌードになったのがきっかけでAV女優になる、というキャリアパスを納得の上で歩む女性がいたとして、倫理的な善悪、違法合法は別として、それを人権侵害と言えるかどうかや。

15歳では判断能力がないというなら、その画像を本人が成人後に公開したらどうなるんやろう。15歳の撮影時点で人権侵害というなら、セルフフォトはどうなる。女性が自分の15歳の時のヌードを保持する権利は、認められないということになるが。

「面倒臭い、全部禁止や」というのは、「人権侵害」ではなく、「少女に対して性欲を持つこと自体」を禁止すると言う発想になる。「公共の安全のために、犯罪に繋がりやすい指向には一定の歯止めをかける」という考え方も理解できんわけではない。性の商品化は良くないという思想も、アグネスが言うのでなければ、一定の説得力がある。

しかし、単純保持禁止賛成派がこういう正面からの議論をするのを見たことが無い。子供の人権のためと言えば反論しにくいのを利用して、個人への権力の介入を増やそうとしているようにしか見えん。権力が絶対悪とは言わんが、ルールやシステムを変えたいなら正面から議論すべきやろ。

「何のかんの言っても、これで児童ポルノは激減して、世界中の子供達の人権が守られる」というオメデタイ反論には、「そうとも言い切れんで」と答えておく、こいらへんの議論は次の「児童ポルノとのつきあい方」を待って欲しい。

今日はこれぐらいにしといたるわ。

帰ってきたサイエンティスト
山城 良雄

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