我々はどんな「世界通貨」を求めているのか --- 岡本 裕明

2014年06月18日 11:06

世界共通のマネーの代名詞といえば米ドルで疑う人はまずいないでしょう。しかし、この基軸通貨と言われる共通マネーも歴史と共に推移してきました。

金融、投資の専門誌バロンズによると1450年のポルトガル通貨から始まり、スペイン、オランダ、フランス、イギリス、そしてアメリカへと基軸のバトンは渡されていったと紹介されているようです。実際にはその間、金や銀本位などという仕組みも絡ませながら、基軸通貨は長い歴史の中で姿かたちを変えていったとも言えます。米ドル不信論はこの数年出ては消え、出ては消え、を繰り返していますが、米ドルに代わるなにかを求める動きは常について回りました。


ユーロの創生は米ドルへの過剰な傾注を和らげるには役立っているでしょう。あるいはローカルカレンシーによる直接取引が取りざたされたのはBRICs諸国でした。中国元をもっと流通させるという動きはあちらこちらにあるようで例えばカナダは中国元の取引を積極的に行っていくことを表明し、バンクーバーにそのステーションを持ってくるという案も出ています。勿論、日本円についても貿易決済での円建て取引はじわじわと増えているのも事実です。

しかしながら、通貨の歴史を穿った目で見る限り、米ドルの次はあるのだろうかという疑問が無きにしも非ずです。それは歴史のバトンはキリスト教を主体とする世界でのお話であり、地球儀ベースで西にどんどん流れていくということになるのか、太平洋には大きなハードルがあるように見えるのです。

ご承知の通り、「街は西に延びる」という論理は日本でも世界でもあちらこちらで見て取ることができます。経済についてもイギリスからアメリカ、日本の時代を過ぎて今、中国となっています。これは順当な動きでありますが、通貨だけはどうもすっきりしないのです。

ビットコインはもう終わったと思っている人がいたらそれは勘違いです。日本のマウントゴックス社が破産しましたがあのテレビに映っていたフランス人のオタク社長、カルプレイス氏はもともとマウントゴックスの仕組みを作り上げた人物からビットコイン取引を通じて知り合った中であの会社を引き継いだだけであります。つまり、一銀行がつぶれただけでその通貨の運命が終わる訳がないのと同様、ビットコインは増々進化する様相すらあるのです。

しかし、私はビットコインそのものはごく一部の人たちに愛されるローカル仮想通貨に留まると考えています。理由は流通量が圧倒的に足りないからです。米ドルにしろ、ユーロにしろ、円にしろ、なぜ、世界規模で流通できるかといえば輪転機を回せばいくらでも刷れるからです。ビットコインも金(ゴールド)も採掘を通じて限られた産出量しかなく市場規模の成長に合わせて流通量を増やす柔軟性に欠けるのです。

ところで、なぜ、人々は世界通貨を求めるのでしょうか? 私がソ連や戒厳令下のポーランドに行った際、必ず、ドルショップにドルへの強制両替、闇ドルの横行でした。今でも国によってはそうでしょう。理由はローカルカレンシーはその政府の自己都合で価値が遺棄しやすいからであります。つまり、何十年にも渡り安定した価値を維持できる軽くて扱いがよくて、どこでも通用するものが欲しいのです。

そういう意味ではビットコインは米ドルなどの通貨が抱える多くの問題を解決することができます。理由は手軽さや流通のしやすさもそうですが、最大の特徴は政府を介在しないということでしょう。50年、100年後もビットコインが流通し、市場価値を維持できるのならこの仕組みを作り上げたナカモトサトシなる人物は通貨のスティーブ・ジョブズなのかもしれません。

考えて見れば輪転機を廻すといっても電子決済が進む中で財布の紙幣がなかなか減らない時代になってきました。実はクレジットカード一枚で世界中どこででも決済できるその仕組みに案外、世界通貨のヒントがあったりしませんか? VisaMoneyとかMasterMoneyなるものができて世界どこでも両替知らずなんていうサービスができたら世界の金融が変わるほどの画期的事象になるでしょうね。

今日はこのぐらにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年6月18日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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