バロンズ誌:プエルトリコ、デフォルト回避狙い苦肉の策 --- 安田 佐和子

2014年06月30日 11:35

00002

バロンズ誌、今週号は「世界でもっとも尊敬に値する企業」。1位はアップルで前年の3位から王座を地位を射止めました。2位はバークシャー・ハサウェイで、アップルに1位の座を明け渡しています。3位はボーイングで、前年の26位から急浮上。4位はグーグル、5位はジョンソン・アンド・ジョンソンでした。基準が違いますからフォーブス誌が選ぶ「もっとも働きやすい会社」、グラスドアが集計した「従業員が選ぶ給与・福利厚生で魅力的な企業」とは異なる名前が並びます。

アップ・アンド・ダウン・ウォールストリートのテーマは、プエルトリコ。3月に35億ドルの一般財源債を発行、デトロイトが直面したデフォルト危機を回避しアメリカ人投資家の不安要因から消えたかと思いきや……。前週、公社に債務再編の権利を与える法案「公社債務再編施行・回復法案」を通過させ再び脚光を浴びています。対象は、プエルトリコ・電力機関(Prepa)を初め鉄道公社、水道公社など数社。デフォルトしたデトロイト市の債務が180億ドルだったところ、Prepaだけで88億ドルに達するだけに米国が反応しないはずがありません。

プエルトリコのセレブといえば、J-Lo。
Jennifer Shows Off Some Puerto Rican Pride
(出所 : commons.wikimedia)

プエルトリコ債は金利が非課税であるため、アメリカ人投資家の間で人気が高かった。従って債務は約730億ドルに膨らみ地方債発行だかではカリフォルニア州、ニューヨーク州に次いで3位。忘れてならないのは人口がニューヨーク市の半分以下の380万人で、人口減少・高齢化も著しい。支払い能力に疑問符がつく材料に事欠かないのです。

だからこそ、今回の法案に噛み付いたのが米運用会社でした。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、フランクリン・テンプルトン・インベストメントとオッペンハイマーファンズがプエルトリコ地裁に「米国憲法に対する違反」との申し立てを行ったのです。債務再編の必要性を承知しつつ、公社の都合の良いように再編されては困るというワケ。ロシアがキプロスに目をつけたように、プエルトリコが第2のマイアミとして繁栄を謳歌する期待がありますが、1年先の100円より今日の10円を確実に得たいという本音がにじみ出ています。

プエルトリコが米国自治領とはいえ、デトロイト市のように破産申請もできず米国に組み込まれているわけでもありません。運用会社が主張する「米国憲法に対する違反」がどこまで通用するのか、試されることになります。

ストリートワイズは、米1-3月期国内総生産(GDP)に注目。速報値0.1%増→改定値1.0%減→確報値2.9%減とみるみる悪化し、2009年1—3月期以来で最大のマイナス成長という体たらくでしたね。とはいえ、米新規失業保険申請件数は2007年5月以来の30万件割れ近くを維持し、米6月消費者信頼感指数は2008年1月以来の高水準、米5月ISM製造業景況指数も年初来で最高と、景気後退入りする見通しにはありません。しかも、大寒波要因に加え医療保険制度改革(オバマケア)に絡む医療保険の寄与が当初の米経済分析局より小規模にとどまったという特殊要因もあります。従ってグラスキン・シェフのチーフ・エコノミストであるデビッド・ローゼンバーグ氏は、「今年一番のイカサマ」と切り捨てていました。同エコノミストは、「4—6月期以降は3%ペースの成長が続く」と予想しています。

では、3%成長ならばさらなる上昇が見込めるのでしょうか?S&P500の年初来リターンが6.1%のところ、インターナショナル・ストラテジー・アンド・インベストメント・グループのストラテジストであるデニス・デブシュアー氏は、このままの上昇を保つために必要なポイントが2つあるといいます。1つは、株価収益率(PER)が19.3倍でも投資家が構わず買い続けること。2つ目に、2014年の1株当たり利益見通し118ドルを超えること——いずれも、可能性は低そうです。

成長が高ければ株価もつれて上昇するとは限りません。1994年には成長率が4%だったものの、S&P500のリターンはわずか1.3%でした。米1-3月期GDPは弱気派が息を吹き返す材料になりそうもありませんが、強気が勢いづくにも決定打不足といえそうす。

(カバー写真 : Treehugger)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年6月29日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑