独立記念日前、米6月雇用統計を支えにダウは大台突破 --- 安田 佐和子

2014年07月04日 11:05

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米雇用統計は、ADP全国雇用者数の通り文句なしに労働市場の改善を示す内容でした。3度目の正直で、ようやくダウ平均は17000ドルを突破して引け。あとはS&P500の2000p乗せ、ナスダックの4500p超えが達成できれば、万々歳といったところでしょう。

以下は、雇用統計レビューです。よろしくご笑覧下さい。

米6月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比28.8万人増となり、市場予想の21.5万人増より強い結果となった。前月の22.4万人増(21.7万人増から上方修正)を超え、2012年1月以来の高水準を達成した4月の30.4万人増に次ぐ高水準。6ヵ月平均の23.1万人増と、労働市場のさらなる改善を示す。過去2ヵ月分は2.9万人分、上方修正された。なお3ヵ月平均は27.2万人増と2012年3月以来、12ヵ月平均は20.8万人増と2006年5月以来の高水準を記録している。

NFPの内訳をみると、民間就労者数が26.2万人増となり市場予想の21.5万人増を上回った。前月の22.4万人増(21.6万人増から上方修正)を超え、2012年1月以来の強い伸びを達成した4月の27.0万人増に近い水準となる。特にサービスが23.6万人増と、前月の20.2万人増を上回り、足元で最高を遂げた。

(サービスの主な内訳)

・貿易/輸送 7.2万人増>前月は3.8万人増で足元最大、増加トレンドを維持

そのうち小売は4.0万人増>前月は1.1万人増、4ヵ月連続で増加

・ビジネス・サービス 6.7万人増>前月は5.8万人増、増加トレンドを維持

そのうち派遣は1.0万人増<前月は1.6万人増、増加トレンドを維持

・娯楽/宿泊 3.9万人増<前月は4.5万人増、増加トレンドを維持

・教育/健康 3.8万人増<前月は6.2万人増、増加トレンドを維持

・金融 1.7万人増<前月は0.8万人増、3ヵ月連続で増加したなかで最大

・情報 0.9万人増>前月は1.2万人減、前月から増加に反転

・政府 2.6万人増>前月は±0万人、前月から増加に反転

連邦政府が0.2万人増と7ヵ月ぶりに増加し、地方政府とともに支えた

財政産業は2.6万人増となり、前月の2.2万人増を上回った。6ヵ月連続で増加している。

(財政産業の内訳)

・製造業 1.6万人増>1.1万人増、増加トレンドを維持

・建築 0.6万人増<0.9万人増、6ヵ月連続で増加

全セクターを通じ、雇用の増加を確認。

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(出所 : Marketwatch)

時間当たり平均労働賃金は、市場予想および前月値と一致し0.2%の上昇の24.45ドルだった。前年比は市場予想の1.9%を上回る2.0%の上昇。ただし前月の2.1%を下回った。週当たりの平均労働時間は4ヵ月連続で34.5時間となり、市場予想とも一致。製造業の平均労働時間は、前月通り41.1時間と2007年以来の高水準を保った。

失業率は、市場予想および前月の6.3%を下回る6.1%。2ヵ月連続で6.3%を経て、2008年9月以来の低水準となる。失業者数は前月比32.5万人減と前月の4.6万人増から減少に転じている。雇用者数も40.7万人増と前月の14.5万人増に続き2桁の伸びを達成。またマーケットが注目する労働参加率は62.8%と、2013年10月、12月、14年4月~5月に続き1978年3月以来の最低を迎え失業率の低下に寄与した。雇用率は、前月まで3ヵ月連続で58.9%を経て、今回は59.0%と2009年8月以来の59%乗せを達成した。経済的要因でパートタイム労働を余儀なくされている不完全雇用率は12.1%と、前月の12.2%から低下。2008年10月以来の12%割れが近づいた。平均失業期間は前月の34.5週から33.5週へ短縮。2010年9月以来でもっとも短くなった。失期間の中央値も、前月の14.6週から13.1週へ大幅短縮。2009年4月以来の水準に並んだ。

JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、結果を受け「NFPの6ヵ月平均は23.1万人増と景気回復サイクル期で最高」と評価した。家庭調査における失業者の減少も、「32.5万人減のうち長期失業者が29.3万人と大多数を占めた」という。好結果に加えPCEデフレーターの上向きもあり、米連邦公開市場委員会(FOMC)が第1弾の利上げを行う時期を従来の2015年10~12月期から「同年7~9月期」へ前倒し修正した。2015年末のFF金利は1.0%、2016年末は2.5%、2017年末は3.5%を見込む。

バークレイズのディーン・マキ主席エコノミストは、逆にFOMCの第1弾利上げ予想を「2015年6月」で据え置いた。ただ失業率が6月時点のFOMCメンバーの2014年末見通しレンジ6.0~6.1%を早々に下回れば、「FOMCが当方の予想より早く行動する可能性がある」とも付け加えた。

イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が労働市場のたるみとして挙げた1)不完全失業率(フルタイム勤務を望むもののパートタイムを余儀なくされている人々)、2)賃金の伸び、3)失業者に占める高い長期失業者の割合、4)労働参加率──の項目別採点票は、以下の通り。

1)不完全失業率 採点─△

6月は12.1%、前月の12.2%から低下。2008年10月以来の12%割れが近づいた。一方でパートタイム就業者は27.5万人増の754.4万人となっている。

2)長期失業者 採点─○

6月は308.1万人、前月の337.4万人から減少。失期間の中央値も、前月の14.6週から13.1週へ大幅短縮。2009年4月以来の水準に並ぶ。

3)賃金 採点─△

6月は前年同月比2.0%、前月と変わらず足元2.0~2.1%のレンジを維持。

4)労働参加率 採点×

6月は62.8%、3ヵ月連続で1975年以来の低水準。6月の非軍人労働人口は1億5569万4000人と、前月比0.05%増に過ぎない。

マーケットが注目するフルタイムとパートタイム動向をみると、フルタイムは前月比52.3万人減の1億1820万4000人だった。2013年10月以来、初めての減少となる。パートタイムは逆に79.9万人増の2801万8000人。増加幅は実に1993年以来で最大を記録した。

パートタイム(赤)VSフルタイム(青)、今回は見事に勝敗が分かれました。

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(出所 : Zerohedge

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、米雇用統計後に「6月に就業者が大幅増加、JPモルガンは利上げ予想を前倒し(Robust June Hiring Moves Forward Likely Fed Rate Hike, J.P. Morgan Says)」との記事を配信。JPモルガンのフェローリ主席エコノミストの見方を紹介したほか、他の専門家の見方を紹介しFOMCメンバーの間で利上げへ向けた協議が活発化する可能性を挙げた。同記事によると、キャピタル・エコノミクスのポール・アシュワース米主席エコノミストは、「強い米雇用統計こそFedが市場関係者の予想より前倒しで利上げを決断する理由」と指摘。その上で、第1弾の利上げ時期を「2015年3月」と予想した。バンク・オブ・アメリカのグローバル・エコノミクス・リサーチのイーサン・ハリス共同ヘッドも、「早期利上げのリスクが高まった」と指摘。ただし「Fedは評価にあたって時間を掛けるだろう」とも付け加えていた。

──Fedはもちろん、単月の数字でスタンスを変更することはないでしょう。イエレンFRB議長が2日、バブルの芽を摘む目的で利上げを前倒する可能性を否定したのも、米6月雇用統計の強含みをけん制する意図があったのかもしれません。また賃金の伸びをはじめ質的な部分でも疑問が残るため、タカ派以外のメンバーは忍耐強い姿勢を維持するのではないかと考えます。

(カバー写真 : CNN Money)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年7月3日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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