意外で想定外のビジネスチャレンジも「アベノミクス」の成果 --- 岡本 裕明

2014年07月06日 12:07

消費が上向いてきたと言われても日本のように競合相手がこれだけいればそう簡単にビジネスの果実をものにすることは出来ません。日銀は総需要が上向き、需給バランスが改善してきたと言っておりますが、それは数字の世界で実際のビジネスシーンでは果てしない戦いが繰り広げられています。

ビジネスで勝ち抜くには新しい商品を開発する、価格を下げる、サービスを向上するといった教科書的な発想がありますが最近、目にするのが想定外のサービス提供でしょうか?


イオンの格安スマホ第二弾。なんと月1980円。この価格にはスマホ本体の2年間の分割払い及び通信費用が含まれています。私はイオンが第一弾を2980円、ビックカメラが2830円で格安スマホを提供した際に格安スマホ激戦時代の到来で近いうちに2500円もあり得ると記させてもらったのですが、1980円とは本当にあり得ない価格設定となってしまいました。ヤフーがイーモバイル買収を諦めた要因の一つに激安スマホの登場でヤフーが描いたビジネスプランがワークしなくなったこともあったようです。

この格安スマホの仕組みは大手三社のほぼ独占状態の市場を斬ったとも言えます。ついこの前まで携帯選択のポイントはこだわりの機種、繋がりやすさ、評判といった大手のマーケティングの手のひらの上でコロコロされていた状態でありました。選択肢がなかったのではなく、大手の戦略で選択肢を作らせず、消費者を洗脳する戦略であったわけです。イオンの常識破りとはまずスーパーのイオンが携帯という予期せぬアプローチ、そして端末は日本製ながら全く無名の会社が作っていること、そして第一弾も第二弾も数量限定勝負に出ているところでしょう。

全く予期せぬアプローチとしては富士フィルムの育毛シャンプーとか楽天のLCC参入といったケースもあります。これは異業種からの殴り込みで成功例としてはHISの長崎ハウステンボスの再生が記憶に新しいところでしょうか?

かつての大手企業は「頭が固い」と言われ、王道をさらに強固なものにする戦略が主流でありました。また、失われた20年の間には本業から外れたビジネス展開は銀行などから評価されず、発想の応用に限界がありました。が、ここにきてアベノミクスで岩盤規制を壊すことがいわれ始め、企業も今までのやり方が自社の永続安定的な繁栄を約束しない危機を持ち始めたとみています。これこそ相乗効果ともいえる点であります。アベノミクスが一部でボロクソに言われておりますが、それはその直接的な政策の是非や効果を指摘するものですが日本には「雰囲気に押される」国風のようなものがあります。私はこれがアベノミクスの最大の成果になると考えています。

例えばあのJR東日本が新幹線車両を改造し足湯や畳のいすに居酒屋風社内を作り上げたケースもあり得ない発想でした。かつては在来線でそのようなリゾート仕様はありましたがこれは更に3歩ぐらい踏み込んだ好例ではないでしょうか? それは改造列車の代名詞であるJR九州が満を持して投入した「ななつ星in九州」に触発されたものもあるのでしょう。なにせ3泊4日で最高95万円というお値段ですから。

以前にも何度も書かせていただきましたが日本を含め先進国ではモノは溢れています。つまり原則的には欲しいものはないのです。経済の発展と共に中流層が底上げをする時代にはほぼ全ての人がその商品を買います。テレビやクーラー、洗濯機がそうでした。自動車やパソコン、携帯もある意味そうなのです。ところが市場が成熟してくると人はこだわりによりお金の使い方に濃淡をつけることになります。好きなものには徹底的にこだわり、あればよいものは使えればよいぐらいの感覚でしょう。

イオンの格安スマホや楽天のLCCは濃淡の「淡」のほうですし、JR九州の「ななつ星in九州」や富士フィルムの育毛シャンプーは「濃」の方なのです。つまり、これから先、中途半端は生き抜けず、どちらかを目指すことになるのでしょう。重要な点は「淡」に向かう場合今までのデフレ経済下における人件費などのコスト削減を通じた「格安」ではなく仕組みそのものを根本的に変える格安である点で誰でも簡単にできるものではないということが特徴です。

そして「濃」も異業種の持つユニークなアイディアが今までにない商品を生み出す点で大きく変わってきています。

日本の経営はかなり進化していると思います。というより世界でも唯一の独創性を持ちつつあると思います。今後大いに期待しましょう。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年7月6日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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