羽田アクセス問題に立ちふさがる「東京駅」中心主義 --- 岡本 裕明

2014年07月16日 10:29

羽田、成田と東京のアクセスの話題については数回このブログでも取り上げさせていただきました。その中、7月15日の日経一面トップは「羽田─東京、18分に短縮 JR東、新線で訪日便利に 20年代半ば開通 事業費3000億円」という見出しとなっています。この計画自体はさほど新しいものではなく、JR東が現在使用していない貨物線を利用して新線を作るとしていました。ただ、その時点では国交省が主導する成田-東京─羽田新線が中心的話題でしたので意図的にその後ろに隠されていた気配も無きにしも非ずです。


しかもこのプランで行けば羽田から東京駅方面のみならず、渋谷、新宿、池袋方面に直通が出せるほか、京葉線への乗り入れも可能で首都圏内の直通カバーエリアが圧倒的に広がるというメリットがあります。

いま改めてこの計画を見る限り、国交省案の京成線から都営浅草線経由で新線を東京駅に引っ張り込み、更に京浜急行につなげるという案が陳腐化して見えてきました。国交省のアイディアは石原都知事の時代に金がかかりすぎるとして石原元知事に「却下」された経緯があります。が、うるさ型の都知事が交代して国交省の案が復活したというのがシナリオではないでしょうか?

私は当初から国交省案には不賛成でした。それは東京都の中心を東京駅と見据えた典型的な官僚の過ちであります。東京の街づくりは今やどんどん西にむかっていくベクトルが働いています。その第一弾は汐留開発で、その後品川地区の開発もありました。また、田町操車場跡地の再開発が控え、山手線の新駅が田町と品川の間にできることになります。つまり街は動くという発想のもと50年後を見据えた計画ではなくてはいけないということなのです。

今後、東京の中心は東京駅から品川方面に移っていくことは確実です。これをさらに支えるのがリニアの始発駅が品川になるということであります。もっと言えば、来年開通の上野─東京間の新線開通で東京駅は通過駅になります。これを快く思わないのは誰でしょう。多分、三菱村の村長ではないかと思います。

東京駅の下に3000億円も使ってなぜ、新駅を持ってこなくてはいけないのか、ここにずっと疑問があったのです。もしかしたら政治力なのかもしれません。以前も書きましたように成田と羽田を直通で結ぶという点については既に京成から浅草線経由羽田まで乗り入れていますので物理的には存在します。但し、実質的には乗り換えがあり、時間も恐ろしくかかります。一番早いのは成田エキスプレスで品川から京浜急行に乗り換えるルートでしょう。

ただ、一番の疑問は今後、羽田発着の便が圧倒的に増える中、成田と羽田を移動しなくてはいけない人がどれぐらいいるかであります。個人的には成田は北米とアジアの乗り換えを中心としたハブ空港、羽田は国内線の乗り替えを中心とする路線といったすみわけで対処した方がよいのではないかと思います。

国交省案の新線案はJR案の新線構想が圧倒的に優っていることもあり、この税金投入は意味がない結果となると思います。

政府の目は成田より羽田に向いていることは明白です。それは空港から18分で東京に到着するというアジアの主要空港との比較論争であり、絶対に勝ち抜かなくてはいけない勝負なのです。

一方で外国人からの不満の一つに東京の電車路線が複雑すぎてさっぱり理解できないというものがあります。利便性とは数を増やせばよいばかりではなりません。JRが湘南新宿ラインを作っただけでどれだけ人の流れが変わったでしょう。いま東京に求められるのは既存のインフラをいかに上手に利用するかではないでしょうか?

この後、この話題がどう展開するか、楽しみにしておきます。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年7月16日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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