イエレン議長の「6ヵ月」発言、グリーンスパン時代のオマージュ? --- 安田 佐和子

2014年07月30日 08:12

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イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長による、記者会見デビュー戦での「6ヵ月」発言。あれってやっぱりうっかりミスだったんでしょうね。

バーナンキ前FRB議長も就任早々、晩餐で遭遇した経済金融専門局CNBCの名物美人司会者マリア・バリチェロモに利上げの方針をポロっちゃったことがありましたし。

モルガン・スタンレーのビンセント・ラインハート米国担当主席エコノミストによる金融政策見通しを拝読して、合点がいきました。

今後の金融政策を見据える上でのキーワードは、もちろん「長きにわたる期間(considerable time)」という文言。低金利政策に掛かるフォワード・ガイダンスです。

ラインハート氏は、2004年6月に利上げを開始した経験則を踏まえ「長きにわたる」という文言の削除は「6ヵ月後の利上げ」を意味すると注意を投げかけていました。

なぜか。

ITバブル崩壊と同時多発テロ事件で傷んだ経済を立ち直らせるため、グリーンスパンFRB議長率いるFOMCは2001年1月に当時6.5%だったFF金利の引き下げを開始します。2003年6月に1%まで利下げしてから、一連の利下げを収束。2003年8月の声明文では、「緩和政策は長きにわたって維持される(policy accommodation can be maintained for a considerable period )」との文言を挿入させました。このキーワードは、2013年12月まで繰り返し登場していたのです。

最後に文言を確認したのは、2003年12月。

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しかし、2004年1月FOMCに「緩和政策の解除に忍耐強くなれる(patient in removing its policy accommodation )」へ変更。2004年5月FOMCで「忍耐強くなれる(patient)」を削除し、「緩和政策は、ゆっくりとしたペースで解除できる(policy accommodation can be removed at a pace that is likely to be measured)」に修正したのです。その翌月の2004年6月、ついに利上げに踏み切りました。

そう、2013年に「長きにわたる期間(considerable period)」を削除してから、ちょうど「6ヵ月後」に利下げしたことになります。

あの時、質問に応じるイエレンさんの頭の中で共通の趣味をもつマエストロ時代の記憶が甦ったのでしょう。ちなみにイエレン氏がFOMCにサンフランシスコ連銀総裁として戻って来たのは、奇しくも2004年でした。

(画像すべて : FRB)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年7月29日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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