「!」の多いプレスリリースは御社の品位を損ねます

2014年08月04日 06:30

どうも新田です。いつも余計なひと言をついつい書いてしまうために、読み手の心に「!」の波紋を広げております。東京で消耗し続けるセミプロブロガーとして一部の奇特なファンも増えている模様で、ありがたいこの頃ですが、収入の過半は企業広報やマーケティング関連です。で、たまには珍しく本職に絡んだことも書いてみましょうか。本日は講座系の内容なので、文面は内藤忍スタイルで穏やかに、あなたの心に聞こえるナレーションは谷原章介にしてお送りいたします(⇒すでに読み上げる声はノーブルです)。


先日、岐阜・愛知を拠点に活動する社会起業家で、最近はブロガーとしても知られている秋元祥治さんが面白いことを書いていました。ご存じない方に簡単に紹介しておきますと、10年以上前に故郷の岐阜でゼロから人材育成と町おこしのNPOを起業し、数年で経済産業省の「チャレンジ・コミュニティ創成事業」に最年少で選出。近年は地元の金融機関や自治体とのコラボレーション、NHK中部地区の番組審議委員など多方面で活躍されています。早稲田大学在学中は、慶応SFC助教授時代の鈴木寛・元文部科学副大臣のインカレゼミでプロジェクト・ベースト・ラーニングを学びました。子育て問題の論客、フローレンスの駒崎弘樹さんの同期にあたります。それでエントリーはこちらです。

「!」の多いメールは、バカそうに見えると思う。
わりと前から思っているんですが、ぼんやり朝からメールを見ながら思ったので。メールで意気込みとか、思いを表すときに「!」を使う事ってあるじゃないですか。エクスクラメーションマーク、ですよね(もしくはびっくりマークとも言うか)これ、多用しているメールって、なんかバカっぽく見えるよなぁと思うのです。…(中略)…もちろん、書くのは自由だしいろんな見方があるんだと思いますけれど、ぼくだけでなく少なくない人が同じような違和感を持っているんだなぁ、と。カジュアルな相手・タイミングで、そして強調したいって時にしぼって活用した方が良さそうです。「!」の多いメールは、バカそうに見えると思う。(秋元祥治(岐阜・G-net・OKa-Biz)の活動日記 2014年07月31日)

私もコミュニケーションを生業にしていますので興味深く拝読しました。“ヤンキー論客”でおなじみの斎藤環先生が指摘されるように、経営者や政治家の方でもアゲと気合の精神でコミュニケーションを取る方もしばしばお見かけします。ただ、TPOをわきまえずに空回りしているシーンも散見されます。

もう一つ私が本業周りで連想したことがありました。それはプレスリリースの見出しです。秋元さんにも申し上げたことですが、「!」をみだりに使っているリリースが少なくありません。注目度を無理に高めたり、読み手の高揚感を煽ったりしているのですが、これが特に知名度の少ない会社ですと、貰った側の記者やディレクターの目には空回りしているように見えかねません。もし、あなたが道端で顔の知らない中年男性が道端で叫んでいるのを見て近付きたいと思うでしょうか?それと同じことなのです。

具体的に見てみましょう。さすがに本物の企業リリースを使った事例は控えたいので、先日、西武信用金庫さんが主催する商店街向けセミナーで登壇した際に準備したサンプルを活用してみました。セミナーでは、京都の商店街が百周年記念で地元の大学生とのコラボでお化け屋敷をプロデュースした実例を使い、参加者の方に仮想のプレスリリースの見出しを考案いただきました。まず、お化け屋敷の概要を朝日新聞京都版の記事から。

京都)三条会商店街100年記念お化け屋敷 学生が企画
創立100周年の三条会商店街(中京区)に若者を呼び込もうと、大学生らがお化け屋敷を企画した。美術や建築、映像など学んでいることを生かした。映像を学ぶ立命館大2年の杉浦悠介さん(19)が「教室での学びが役に立つのか試したい」と企画。インターネットで約60人のメンバーを集め、商店街に提案した。(14年7月10日朝日新聞)

このプロジェクトのプレスリリースを商店街が出すと仮定してみて、私の方で用意した模範回答はこちら。
140804Aパターン

テレビのスタッフは見出し以外は読みませんので、コツは赤枠の中を読んだだけでニュースのポイントと概要が伝わるように作ることです。では、これが「!」をやたらに使った場合はこちらです。
140804Bパターン

どうでしょうか?私の回答は少し控えめのトーンなので、主見出しに「!」を付けるくらいはあっても良かったかもしれません。セミナーに参加した5つのグループのなかには、私よりもバランスが取れている回答もありました。ただ、中には「!」を多用するものも見られ、いくつかアドバイスを差し上げました。

報道機関でも企業リリースを多数受け取る部署によっては、わずか1日で宅配便サイズの段ボールの半分が埋まることも珍しくありません。私も社会部の都内版記者時代、それに近い経験がありました。当然、送る企業側としては、競合がひしめく中で目立つことは必要です。しかし、だからといって、「!」をみだりに使うと、それが裏目に出て、もらった側の記者やディレクターは引いてしまいます。記者時代に見た中小の某ネット企業のリリースで品位を疑ったこともありますので、「!」の使い方は用法・用量を守ることも必要です。

平日のお仕事モードに入る折、ご参考になれば幸いです。それにしても、「脳内・内藤忍&谷原章介」モードという爽やかインテリの演技は早朝なのに脂汗が額ににじみ出ますね。性に合わないことはしないほうがいいかもしれません。本日はこれくらいにしておきましょう、と岡本スタイルで締めてみます。ではでは。

新田 哲史
Q branch
広報コンサルタント/コラムニスト
個人ブログ

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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