朝日新聞、慰安婦問題は「女性の人権」? 嘘つくな

2014年08月10日 00:01
p24t

 攻撃準備をするベトナムでの韓国海兵隊1966年(米陸軍軍事史センター資料より)

戦争で女性の被害は頻出する

朝日新聞が慰安婦問題の検証記事を執筆した。自社の誤りを認めたが、「女性の人権が慰安婦問題の本質だ」と、記事で説教を始めた。さっそく多くの批判を集めている。逃げの論法であろう。


戦争における性犯罪とそれによる女性の人権侵害について、私は最大限の憎しみを抱くし、その行為を批判する。しかし残念ながら、戦史を読めば、どの戦争でもこうしたことは普遍的に観察されるものだ。そして韓国も軍と性をめぐる数多くの問題を起こした。

いわゆる「日本軍の従軍慰安婦」の問題は、戦時の売春制度の問題である。朝鮮は日本帝国の一部で戦場ではなかった。ところが、韓国政府と日韓の同調者はなぜか「戦争での性犯罪」「女性の人権侵害」と騒ぐ。

「女性の権利を守る」のは勝手だが、そんな重い問題を引き受けられるのだろうか。とんでもないことを韓国はしているのだ。

韓国と戦時の性暴力-ベトナムでの蛮行

私は夕刊フジで、各国の戦史文献から「戦争と性犯罪」をまとめる短期連載をした。(第一回「犯罪認めぬ韓国政府・韓国兵とベトナム」)

私は韓国に感情的に反発する極右の人間ではない。しかし連載のため、簡単な文献調査をしたが韓国はとんでもないことを繰り返していた。いくつか拾ってみよう。

「韓国兵は恐れられていた。残忍なやり方で女性をレイプして殺す例が多かったからだ」。

米誌ニューズウィークは2000年4月12日号で、韓国軍のベトナム戦争参戦をめぐる記事を掲載し、現地の人々の恐怖と怒りをこう伝えた。韓国軍は民間人を8000人以上殺害した可能性があるという。

米ジャーナリスト、ディヴィド・コンデ著『朝鮮』(新時代社)には、「(1966年に)韓国軍が昼日中に結婚行列を襲い、花嫁を含め7人の女性を強姦。結婚式に呼ばれた客の宝石を残らず奪ったうえ3人の女性を川へ投げ込んだ」(要約)などと、凄惨な描写があった。

ベトナム戦争で、韓国は1964年から72年まで、延べ32万人の兵士を送り込み、北ベトナム政府軍、南ベトナムの共産勢力と戦った。そして、5099人が戦死した。米国が払った韓国兵の給料の一部は貧しかった国庫に入り、韓国の経済成長「漢江(ハンガン)の奇跡」のために使われた。兵士たちは英雄としてたたえられた。

しかしベトナムでは韓国人に対する憎しみが今だに根強い。民間人の大量虐殺を含む、韓国兵の掃討作戦の過酷さに加え、現地女性の間に生まれた「ライダイハン」と呼ばれる子供の問題もある。

韓国政府は戦争犯罪を認めていない。前出のニューズウィーク誌で、韓国軍司令官だった蔡命新(チェ・ミョンシン)中将(退役)は「償いは必要ない」「生き残るために兵士は相手を殺した」「これは戦争だ」と語った。南ベトナムの共産勢力はゲリラ戦術を使い、民間人を装って攻撃を繰り返したので、蔡中将の指摘は当てはまる面がある。ただ韓国軍の作戦行動は過剰な面、または必要のない「人を殺すだけ」のものがあった。

歴史の直視は韓国でも難しいが、建前と違って兵士は苦しんでいる。当時の韓国の兵は主に農民からの徴兵。世界を知らず、国内には緊張が続き、朝鮮戦争での経験から共産勢力への憎しみだけがあった。

韓国の作家、金賢娥(キム・ヒョナ)氏が書いた『戦争の記憶 記憶の戦争-韓国人のベトナム戦争』(三元社)では、犠牲者と加害者の双方の言葉を伝える。参戦した兵士は次のように語る。

「一度だけでも民間人を殺してはならない、強姦してはならないと聞いていたら、しなかった。私が戦う理由がどこにある。しかし生き残らなければならないと考えるようになると、婦女子もベトコン(注・共産兵の蔑称)に見えた」(要約)

金大中大統領(当時)の2001年のベトナム訪問で、謝罪し、補償を約束したが、賠償はほとんど行われていない。

韓国軍と平時の性暴力- 国内で行われた軍向け売春制度

韓国政府は国内では、軍隊と性の関係でさまざまな関与をしている。

韓国軍は54年まで「特殊慰安隊」の名目で自ら慰安所を運営した。売春婦は「補給品」と書類上書かれた。ソウル地区では同年ごろに89人の女性がおり1日平均6人の相手をした記録が残る。戦功を上げた兵に報償として優先利用させたという。軍が自ら売春を運営する例はかなり珍しい。

朝鮮戦争終了後も、韓国政府の関与による軍人相手の売春は残った。『軍隊と性暴力 朝鮮半島の20世紀』(現代史料出版)という本では、日韓の研究者が、朝鮮半島での日米韓各軍の売春利用を批判的に調査している。米軍政下の1947年、韓国では国家が認めた売春制度である公娼制度を廃止し、売春を禁止した。ただし運用はあいまいだった。

韓国政府は二重基準の政策を行った。売春を一般向けには取り締まったが、特定区域を設置して、民間業者の売春を放置した。特に、米軍兵士の慰安、また外貨獲得のために外国人向けの売春目的の「妓生(キーセン)観光」を奨励した。

80年代以降の経済成長と民主化による女性の人権保護運動で、売春業は以前よりは目立たなくなったが、今でも残る。経済的、家庭的に恵まれない女性が働くという。

70年代には、米軍の取り締まり要請を受け、当時の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が大統領府に事務局を置き、自ら指揮して「基地村浄化運動」を行い、米軍基地周辺の売春街での暴力団排除、治安回復、性病管理などを行った。売春活動を民間にやらせ、国が管理する。旧日本軍の制度とよく似ている。

慰安婦問題は「人権」ではなく「日本たたきの道具」

「女性の人権を守れ」とキレイゴトを言うなら、朝日新聞や、その支持者の人々は朝鮮半島で売春に従事している女性、また被害を受けたベトナムなどの気の毒な女性たちを報道し、伝え、救済してほしい。日本人も、第二次世界大戦後に追われるときに、女性などが朝鮮半島で性暴力の被害にあったとされる。

また韓国の国民は日本を「従軍慰安婦」という嘘で批判する前に、自国の歴史に、犯罪行為であっても、真剣に向き合ってほしい。日本を批判できるのだろうか。

しかし、しないだろう。メディアの商品として「他国の気の毒な女性」の話など、1回のルポの題材になっても、連載で伝え続けるニュース価値のあるものではないからだ。

だとしたら朝日新聞の「女性の人権」といういいわけは、嘘だと分かる。答えはこの問題に関心を向ける人なら誰もが知っている。

従軍慰安婦問題は、日本をおとしめようとする人々にとっては、女性の人権の問題ではない。道具としてセンセーショナルで有効であるために使われてきたのだ。

私は20年前、この問題で福島みずほ代議士が、売春婦だった女性を、メディアに連れ回し、一緒にテレビに写っていたことを覚えている。売名が透けて見え、とても嫌な感じがした。

そして、関心の向け方にもばかばかしさを感じる。太平洋戦争中、売春目的で日本軍に同行した1-2万人の女性のうち、2-3割程度が朝鮮出身者という。(秦郁彦『慰安婦と戦場の性』(新潮社))自ら進んで売春などする人はいないはずで、この職業についた女性に筆者は同情する。しかし、彼女らだけを尊重するのはおかしい。

「昭和の戦争」で、日本人は軍民あわせて約300万人が亡くなった。歴史を考える場合に、こうした人々の慰霊、顕彰、そして死の意味を問い続けることが、今の日本人にとって最優先の課題である。それをせずに、70年前の外国人売春婦に過度に関心を向け、権利を守れと騒ぐ人の思考は、明らかに変だ。

20年前の発生から嘘だったこの問題が、今でも虚構と嘘、言い逃れにまみれていることに私はうんざりする。

石井孝明
ジャーナリスト

@ishiitakaaki
メール:ishii.takaaki1@gmail.com

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑