ネット大手続々参入「遺伝子検査サービス」の法整備急げ

2014年08月18日 10:52

「STAP細胞」騒動のように、遺伝子関連の発見や記事がメディアに出ない日はありません。小さな子どもまで遺伝子という言葉を気軽に使うようになっています。我々の遺伝子は一人ひとり微妙に違っていて、それが「多様性」になり、有性生殖による種内の免疫系強化にもつながっている。

こうした個々人の遺伝子の違いにより、ある病気にかかりにくさ、かかりやすさもわかるようになっているんだが、マラリアへの耐性がある鎌形赤血球貧血症のように、特定の遺伝的特質が必ずしも欠点にはなるとは限りません。生活習慣病にかかりやすい人は、飢餓に瀕した場合、そうでない人より生きのびる可能性が高いかもしれない。遺伝子の違いによる是非を、我々が一概には判断できない、というわけです。


しかし、遺伝子テクノロジーが発展してきた過程で、こうした遺伝的な違いにより、保険料が高くなったり社会的に差別を受けたりする危険性が叫ばれていました。最近では、遺伝子解析技術のコストも下がり、誰でも手軽に自分の遺伝子情報を検査してもらうことができるようになっています。危険性が叫ばれつつも技術の進歩のほうが先んじ、議論が後回しになっている面も否めません。

ある東京大学発ベンチャーの遺伝子検査サービスを使えば、5万円ほどの費用で約200項目の遺伝的な情報を得ることができるようです。中には、がん関係遺伝子だけを調べる1万円ほどの簡易キットを用意しているサービスもある。これらのサービスでは、口腔内の粘膜や唾液などを送付すれば、一カ月ほどで遺伝子による疾病リスクなどについて教えてくれるようです。

もちろん、現在の生活で飢餓に陥る危険性もなければマラリアにかかるリスクも低いわけで、自分の遺伝的特質とそれ以外の別の病気にかかりやすいリスクを知り、それによって転ばぬ先の杖とすることは重要でしょう。ただ、前段で述べたように遺伝子の多様性は、それだけではポジティブやネガティブなものではありません。ある病気になりやすい人は、逆に別の病気にかかりにくいかもしれない。また、一般に行われている簡易な遺伝子検査サービスでは、卵巣がん、乳がんなど診断の範疇に入る検査はしていません。

こうした情報で思い悩み、かえってストレスに感じたり、遺伝情報が一人歩きし、保険に入れなかったり、婚姻の際に情報を求められ、それによって「差別」されるようになってしまってはまったくの逆効果です。米国などでは、いち早く「遺伝情報差別禁止法」を制定し、こうした「差別」に対し、策を講じています。この「MIT Technology Review」によれば、Googleが出資している「23andMe」というサービスは、米国食品医薬品局(FDA)により販売停止させられました。
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米国における遺伝子検査サービス価格の推移。MIT Technology Reviewより。

しかし、日本では、まだ情報の漏洩に対しても不正競争防止法などの別の法律で対応せざるを得ないなど、遺伝子情報に限らず「差別」自体を禁止する法律がそもそも整備されていないのが現状です。また、遺伝子情報のより有効な活用には、個々人のみならず、より多くのサンプルを集めたデータベース化が必須です。そのため、各サービス会社は、こうした情報を集めようと躍起になっている。我々の遺伝子情報は、個人情報の最たるものなのに関わらず、日本ではその流出に有効な法的な歯止めはまだ作られていません。

先日、ゲーム会社のディー・エヌ・エー(DeNA)が、東大の医科学研究所と共同で個人向け遺伝子検査サービス「MYCODE(マイコード)」を、またネット検索大手のヤフーもこの10月から同じようなサービスを始めるようです。こうした検査結果はきわめて重要な個人情報であり、情報によってはその人の人生に大きな影響を与えかねません。医療機関の場合、検査する際に、その前後に受検者にカウンセリングを実施するなど、適切な対応をしているところが多い。こうしたネット系大手が、強力な資金力を背景に遺伝子検査サービス市場へ出てくるわけで、情報管理のみならず、サービスの質の維持や保証も重要になってくるでしょう。

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【検証】ポータブル ハイレゾ リスニングの救世主か、iUSBport HD
act2 ブログ
こうなると最早ポータブルとは言えないんじゃないかと思うんだが、それにしても猫も杓子も「ハイレゾ」という時代になりつつあるようです。記録メディアの大容量化がそれに拍車をかける。音源の追加が追いついていかない、といった状況です。一方、人間の聴覚は加齢とともに劣化する、と言われている。けっこう導入に金のかかるハイレゾ音源を楽しんでいる年齢層に、果たして音源を充分に楽しめる能力があるかどうか、ちょっと疑問です。いずれにせよ、これからの音楽は、手軽なMP3とハイレゾに二極化していくんでしょうか。

Ten things you never knew about Ophelia
The Telegraph
世紀末芸術、ラファエル前派の代表作「オフィーリア」については、以前の当コーナーでも書いたんだが、オフィーリアとは戯曲『ハムレット』に出ている悲劇的女性です。ハムレットに父親を殺されたせいで、いつしかおかしな言動を始め、やがて野原で花を摘んだりするうち、川に落ちて死んでしまう。この記事では、絵のほうの「オフィーリア」について10のトリビアを紹介している。この絵がどうやって描かれたのか興味深い逸話ばかりです。
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Ophelia (1851~2) by John Everett Millais、Photo: c Tate

Rolls-Royce Confirms New Car, 1965 GT40 Prototype, McLaren Special Ops At Pebble
MOTOR AUTHORITY
ロールスロイスが、あたらしいマクラーレンの高級車に関与していることを認めた、という記事です。ロールスロイスとマクラーレンと言えば、マクラーレン・メルセデスのF1ドライバー、ジェンソン・バトンがロールスロイスのイメージキャラクターになった、という話がありました。しかし、ロールスロイスはメルセデスとライバルのBMW傘下。このあたりの合従連衡は何やら臭います。これがマクラーレンの紹介ページ。米国カリフォルニアのゴルフコースで有名なペブルビーチでお披露目した、と書いています。
17マクラーレンHPより。

“バイラル”の次にくるもの/「分散型 BuzzFeed」構想の衝撃
藤村厚夫 Media Disruption
日本ではまだあまりなじみのない「BuzzFeeD」なんだが、SNS、特にFacebookでの影響力は他を抜きん出ています。ウイルスのように広がる、というとエボラ出血熱を思い出して何やら嫌な感じがする「バイラル」メディアとしてBuzzFeeDは支配的な位置を占めるようになっている。Twitterを含めたSNSで広がりを持たせる、というのはネットメディアに当初からあったアイディア。しかし、SNSで広がりをもった情報のみに特化した、という点でBuzzFeeDは徹底している。情報の内容や質は問わない。とにかく、SNSで話題になったものだけを紹介し、相乗効果でアクセスを集める、というモデル。「他人のふんどしで相撲を取る」わけなんだが、このブログでは、こうしたバイラルメディアはネイティブ広告に新たな価値を生み出すのでは、と書いています。


アゴラ編集部:石田 雅彦


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