バロンズ誌:Fedや指数にほだされず、銘柄選好で勝負! --- 安田 佐和子

2014年08月25日 10:28

今週のバロンズ誌は、ペプシコを特集しスナック部門の事業分割の可能性を探ります。物言う投資家のネルソン・ペルツ氏率いるトライアン・パートナーズは2013年からスピンオフを提唱。分割後の株価は、現状の92ドル付近から「144ドルへ上昇すると」と力説しています。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、テーマはFedの金融政策と市場の反応です。ジャクソン・ホールでの会合を「物見遊山=junket」と揶揄しつつ、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演は労働市場の改善が構造的か循環的かのテクニカル的な議論に終始し、利上げの方向性を示すに十分ではなかったと指摘。FF金利先物も、講演後の織り込み度は第1弾の利上げが2015年6月、2015年9月に第2弾を実施し0.5%、2015年末あるいは2016年初めに0.75%と変わらずと伝えていました。1%に到達するには、2016年まで待たねばならない見通しです。

風光明媚なジャクソン・ホール、プライベート・ジェットで訪れる有名人も。
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(出所 : jacksonhole.locale)

ジャクソン・ホール会合といえば2005年は、イエレンFRB議長の2代前であるマエストロの送別会と化しました。グリーンスパン元議長への「贈る言葉」として講演した男の1人こそ、国際通貨基金(IMF)主任エコノミストおよびシカゴ大学経営大学院の教授と務めていたラグラム・ラジャン氏。現在のインド準備銀行(RBI)総裁です。マエストロの下で金融市場の発展がいかに安定をもたらしたかを論じるはずが、「金融の発展は世界のリスクを強めたのか」と疑問を呈し猛反発を招いてしまいました。

ラジャン氏の不吉な予想は2005年から3年後に的中したのは、ご存知の通りです。

翻って現在、ラジャン総裁は7月に新たに警鐘を鳴らしました。問題は信用の増大ではなく、「リスク嗜好の高まりに伴う資産価格の上昇」と的を絞ります。

奇しくも8月20日週の投資信託フローをみると、個人投資家は株式ファンドを180億ドル買い越し10週間で最大の流入額を記録しました。S&P500も週足では1.7%上昇し、4ヵ月ぶりの高値で引けています。リスク選好の強まりを見せると同時に、アメリカ個人投資家協会(AAII)もブル派は46.1%と前週から6.3%も上向き、長期平均の39.0%を大きく超えていました。

しかし、アップ・アンド・ダウン・ウォールストリートでルイーズ・ヤマダ・テクニカル・アドバイザーズのルイーズ・ヤマダ氏は、今こそ銘柄選びを重視すべきと指摘しています。ダウ平均を見るとボーイングやユナイテッド・テクノロジーズが指数をアンダーパフォームし、ナスダックが14年半ぶりの高値を更新し続けるなかでもアマゾンは弱含み。その上でアップル、ギリアド・サイエンシズ、ホーム・デポといった優良銘柄に投資すべきと主張していました。

マーケット全体に勢いがあるとは言えない状況だからこそ、見極めが必要というワケです。地政学的リスク?Fedが労働市場の評価に忙しく金利正常化に慎重なら、株式市場は寛容さにあぐらを掻くでしょう——というのが同コラムの見立てです。

ストリートワイズはやっぱりこのネタ、S&P500めざせ2000!ではなくて2300p!!

スタイフェル・ニコラウスのストラテジスト、バリー・バニスター氏はまるで聖パウロがダマスカスへの道のりで光に打たれキリスト教に改心したように、弱気見通しから一転しウォールストリートで最も強気派に転向しました。2000pの大台突破まで約10pに迫るなか年末の目標を従来の1850pから上方修正し、2300pへ掲げています。22日終値から、約16%の上昇を見込んでいるんですね。

同氏はこれまで量的緩和(QE)の縮小が米金利上昇を招き、投資家は利益拡大に伴う株式投資を躊躇すると同時に株価収益率(PER)は低下し、株価が下がるというシナリオを見込んでいました。しかし現状は景気はぬるま湯状態でインフレも加速せず、米金利は低水準を維持。Fedが利上げに急ぐ必要はなく、株式市場にポジティブな環境が続く公算です。

2012年に強気派に転じウォールストリートを驚かせたグラスキン・シェフの主席エコノミスト、デビッド・ローゼンバーグ氏は米新規失業保険申請件数、米7月中古住宅販売件数、米8月フィラデルフィア連銀製造業景況指数など好調な経済指標がいつまで続くかに疑問符を打ちます。一方、2013年8月以来の貯蓄率の高さに反映されるように、消費が低迷中で「過熱を示さず」、逆に心強いと判断していました。国内総生産(GDP)の7割を占める消費が緩慢なペースなら、経済が急速に拡大することもなくリセッションへ落ち込むリスクを後退させ、年内に2300p超えもありうる?ストリートワイズは、気持ちがいいほど強気です。

ちなみにバロンズ誌と同じくニューズコープ傘下のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、年末のS&P500につき2500pを予想するフェデレーテッド・インベスターズの株式部門の最高投資責任者(CIO)のスティーブン・オース氏を紹介していました。上には上がいるものです。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年8月24日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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