ライフネットジャーナルオンラインVS弁護士ドットコム

新田 哲史

どうも新田です。高学歴、高収入、イケメン、バツイチな岩瀬大輔さんを見ていると、「天は二物を与えず」という格言が嘘っぱちだということを痛感する日々です。ちなみに私は出口派です。先日もBCC同報による儀礼と分かっているのに残暑見舞いメールをいただいて無駄に感激しました。ところで、そのライフネット生命がおととい、ライフネットジャーナルオンラインという新しいサイトを立ち上げたそうです。


※佐々木紀彦さんへのインタビュー記事で華々しくスタート(ライフネットジャーナルより)
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ワタクシめは外資生保カスタマーなので知らなかったのですが、ライフネットジャーナルという紙の情報誌が元々あって、この度、めでたくオンライン版を始めたということらしいです。初っ端の記事は岩瀬さんの元上司が出ていて早くも出口・岩瀬ブランドを発揮するのかと思いきや、東洋経済オンラインを脱藩した佐々木さんを捕まえてインタビュー記事を掲載して意識高い系の集客に余念がありません。ちなみに、旅ラボスキャンダルで編集長としての権威が微妙にヒビ割れした佐々木さんとは別人です。念のため。

私が注目するのは、今後どういうコンテンツを出すのかな、というところです。まー、ツートップの絡みのネタは鉄板として、「『人生』『仕事』『お金』の切り口で参考になる情報やインタビュー記事」(サイトより)を中心にちょっと硬派な生活&マネー情報サイトの位置づけとなるんでしょうが、そこから更にステップアップした打ち出しがあるのかどうか。その展開によって、日本でもブランドジャーナリズム(BJ)サイトの有力な旗手が出現したのかと意識高く期待値を設定していいのか決まってきます。

ついでながらBJは基本的に企業発のコンテンツであること、つまりオウンドメディアからの発信と考えていいでしょう。一方、似たような名称、東洋経済オンラインがウリにしているブランドコンテンツ(BC)は企業プレゼンツ記事という点では共通しますが、発信媒体は、アーンドメディアに位置付けられるものと思います。なお、BJの本場メリケンのほうでは「BrandJournalists.com」という専門サイトがあるそうで、BJの定義についてこう位置付けているようです。

ジャーナリズム形式で、ブランドについてのマーケティングや宣伝文句とは違った物語を共有することで、読者の関心を高めること。これはお客様に対しての宣伝や情報の箇条書きリストをばら撒くことではなく、共感できるリアルで興味深いストーリーを提供する事でお客様と会話をすることである。(邦訳は「Benchmark」ブランドジャーナリズムが効果的な6つの理由より)

佐々木紀彦さんを擁した記事は、まさに「ブランドについてのマーケティングや宣伝文句とは違った物語を共有することで、読者の関心を高める」効果があります。その意味では、たとえば出口さんが野中郁次郎大先生と「失敗の本質」を巡って対談した記事なんかを載せたら、マネジメントに関心のあるアラフォー世代なんか胸キュンでしょうね。ついでに軍オタも漏れなくオマケでついてきますけど、加入者増につながれば幸いです。

ただですね、企業発のジャーナリズムサイトとして、エッジを利かせたコンテンツを作れるかどうかは作り手のバックボーンも大きいのではと思います。その点、私がBJの理想に一番近いと思うのが弁護士ドットコム。ご存じのように、弁護士が時事問題を法的に解説して集客につなげるというスタイルで、BLOGOSからヤフトピまで席巻してきたわけですが、ここのところ亀松編集長の“暴走”が面白くてネットメディアが国会記者会館を使えない問題について突撃取材を敢行したりしています。

※法律相談や弁護士検索以外に充実した読み物記事で存在感を高めた弁護士ドットコム
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つまり、単なる企業サイトからBJに脱皮できるかは、作り手に「塀際の魔術師」がいて、時折企業的にはリスキーなエリアに落っこちそうに見せて観客を興奮させながらも、一流の編集・取材力でうまくセーフティゾーンに着地させて胴元を安心させる職人芸がマストスキルになっているわけです。その意味では、朝日新聞からニコニコと新旧メディアを渡り歩いた亀松さんは数少ない宴会芸の持ち主ですね。一方、ライフネットジャーナルの岩田慎一編集長はテレビや出版業界も経験されているので、写真にあるようなすまし顔に似合わず、金融やネット業界生え抜きのスタッフが絶対にやらない腹芸をするのか、大いに期待したいところです。

そういうわけで、私も一角の新聞社で育ち、今はアゴラや東洋経済オンラインなどネットメディアでの経験もそれなりに積んでいるわけで、どっかの企業さんがBJサイトをやりたいと手を挙げて編集の方を仕切らせてくれたら、面白いものができますよ、と微妙に秋波を送るこの頃です(手もみ)。ここのところサラリーマン時代の月商を超えることが増えてきたワタクシメではございますが、そろそろメディアイノベーションのほうで新しい展開も目指したいと思っております。どこかBJにご興味のある企業の方、いらっしゃいませんか?良ければご連絡ください。ではでは。

新田 哲史
Q branch
ソーシャルアナリスト/企業広報アドバイザー
個人ブログ