ヘイトスピーチ問題の原点を再確認してみた

2014年09月03日 14:38

2012年8月、李明博大統領は竹島に上陸し、天皇陛下に対する侮辱発言を行い、野田総理の親書を突き返して、領土問題に対する外交的・平和的解決を自ら拒絶した。日本の領土(連合国も公式に認めている)を侵略し、民間人を虐殺する戦争犯罪を行った国の大統領が、被害国に対しこのような挑発行為に及んだのだ。


前回、『誅韓論』という本を紹介した記事の中で、この「李明博乱心事件」以後、日本の国民感情に火がつき、それまでの「単なる嫌韓」から「報復感情を伴った嫌韓」に移行したのではないか、という趣旨の推論を述べた。つまり、嫌韓というよりは、ほとんど「懲韓」や「誅韓」に近い感情である。そして、この大衆感情に呼応するかのように、同事件以後、質量ともに急激に勢いを増したのが「嫌韓デモ」である。

それに伴って浮上してきたのが、いわゆるヘイトスピーチ問題だ。国連のたくさんあるセクションの中の一委員会という形ではあるが、先日、人種差別撤廃委員会からの勧告が行われ、主要各紙の社説でも取り上げられて、いま議論の真っ最中だ。

さて、そもそもこの問題が真剣に提起されるようになったキッカケは何か。ご記憶の方もいると思うが、それが2013年2月に新大久保で行われた嫌韓デモの際に、「良い韓国人も悪い韓国人もどちらも殺せ」というプラカードが登場し、それが拡散したことだ。

はっきり言って、このような字句を引用することさえ嫌悪を覚えるが、それでも一応はわれわれの社会の、今ある現実として、たとえ醜くとも直視しなければならない。

いったい、公共の場でこのような物騒なプラカを平気で掲げる者とは、どんな馬鹿者なのか。私は改めて、そのツラをじっくりと拝んでやろうと思った。

ところがである。実際に動画を仔細に観察してみると、奇妙なことに気づいてしまった。なんと、同じデモ隊の中に、例のプラカを掲げた人物が二人いたのである。
嫌韓デモ関連1

ひとりはサファリ帽(?)を深く被り、常時目元を隠している「頬骨の張った男」だ。もう一人は、黒のジャンパーを着て、アイボリーのスラックスをはく「小太りの男」。こっちは顔の下半分を常にマスクで隠している。
嫌韓デモ関連2

この二人は同じデモ隊の中にいて、常に互いに離れたところに位置していた。とりわけ、この「小太りの男」は、沿道に向かってしきりとプラカを掲げてみせる。
嫌韓デモ関連3

嫌韓デモ関連4

このような“見せつける”行為が功を奏してか、直後からこのヘイト文句がメディアで取り上げられ、一躍世に広まった。2013年5月31日(金)、NHKは「“ヘイトスピーチ” 日韓友好の街で何が」と題して、この問題を取り上げた。
嫌韓デモ関連5

番組によると、在日3世の金展克(のぶかつ)さんは、インターネットでこの「殺せ」写真を見て衝撃を受け、デモの翌月(13年3月)に反対の署名活動を始めたという。
嫌韓デモ関連6

以上、この「殺せ」プラカは、今日のヘイトスピーチ問題の源流となる。

さて、このプラカが登場した嫌韓デモ動画を改めて観察してみて、当初の意図とは裏腹に、結果的に私は困惑してしまった。どうも不自然な仕草があるように思えてならないからだ。

ただし、動画には「殺せ」の類いのプラカードが、他にも複数登場する。また、別のデモなどで「殺すぞ」などと本当に演説している者もいる。個人名は明かさないが、日本人である。公共の場で「何々人を殺せ」などと主張する行為は、とうてい正気とは思えないが、そういう事実がある。

今の段階ではっきりしていることは「確証めいたことは言えない」ということだ。だから、疑念を払拭するためにも、改めて社会として、みんなでこのような動画を検証してみる必要はないだろうか。

前回記事も併せてどうぞ
「嫌韓の時代は終わった――『誅韓論』の感想」

(フリーランスライター 山田高明 yamadataka@mbr.nifty.com)

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