ロッテ里崎選手に脱サラが学ぶ「プロ魂」

2014年09月14日 07:50

どうも新田です。実は、言葉のキャッチボールは、あまり得意な方ではありません。ここのところの朝日新聞誤報問題の荒波にネット論壇がさらされておりましたので、この話を書くタイミングを見計らっておりましたが、秋口に入り、プロ野球の世界では長年活躍してきたスター選手の引退ニュースが流れております。そして、カモメ球団で2度の日本一、第1回WBCでは日本代表チームの正捕手として貢献した里崎智也選手の引退の報を聞いて胸に迫るものがございました。2009~10年、カモメのバンキシャだった私めは、時に言葉で、あるいは時に背中で「プロフェショナルとは?」を教わったアスリートとして今でも尊敬しております。


その思い出を語る前に、ちょっと話が横道に行きますが、今年の夏のアゴラの特別セミナーのテーマは「自由な働き方を考える」でした。恐れ多くも私ごときが、池田先生や石井さん、うさみんと共にフリーランスの体験談をお話する機会をいただいたのですが、やはり真打は田原さん。カギとして「企画力」をご指摘されていて、受講者の末席にいた私も大変勉強になりました。組織の後ろ盾がないフリーランスは、自分で仕事を見付ける、あるいは作らなければ食いっぱぐれます。「企画力」とは自分で仕事を作る能力であり、田原さんの若い頃の番組企画を振り返ると、そのあたりの重要性を再痛感します。あるいは生き残り方の知恵を絞ることも大事で、うさみんが最近書いていた「ブランド戦略」もポイントのように思います。

しかし、どんなに素晴らしい企画力や戦略があっても、それを実現するために地道に継続する努力、あるいはライバルとの競争に生き残るためのアピール力、人とのリレーション能力なんかもが「自由な働き方」の素地として必要と思います。私はこのあたりすごく苦手で、営業力が乏しいため、新規顧客の開拓にはまだまだ苦労しています。気おくれしていてチャンスを逃しがちなんですが、フリーランス同士が生き馬の目を抜く、プロスポーツの世界では、そんな「気弱」な選手は脱落するしかありません。

ちょうど里崎選手の引退の報が出る頃、現代ビジネスで“心が折れてしまったドラ1選手”の特集記事が上位ランキングに入っていました。去年1月の記事がなぜ浮上しているのか理由は分かりませんが、たとえば広島の元ドラ1右腕は、不本意なフォーム改造に失敗して故障して球界を去った時の思いを吐露しています。

その点、里崎選手のメンタルタフネスは、これぞプロというものがありました。
思い出は、いろいろとあるのですが、一番印象深いのは2010年のクライマックスシリーズ(CS)第1ステージの西武戦。この年、ロッテはシーズン最終戦でAクラスに滑り込み、CSを突破して3位から下剋上日本一を初めて達成したことは野球ファンの記憶に残るところですが、この間の展開も山あり谷ありのシーズンを象徴するような展開でした。里崎選手は初戦、2点ビハインドの九回に同点の2点タイムリーを放ち、翌日も九回に1点リードで追い詰められていた中で、左越えの同点ソロ弾を放つ等、際立った勝負強さを発揮します。結果、ロッテは延長戦で逆転勝利をつかんで第1ステージを突破。里崎選手の打撃が、日本一へと駆け上がる奇跡の快進撃のきっかけになりました。

実は里崎選手は、ペナントレースの終盤はケガで二軍にいました。たしか二軍戦での調整も無かったと記憶しています。まさに「ぶっつけ本番」。後日、日本シリーズに向けた宮崎でのキャンプで本人が話してくれたのは、2カ月間、打撃マシン相手に黙々と打ち込む日々を過ごしていたということでした。

ただ、ここまでならステレオタイプな「影の努力」系美談です。私もそう思っていて、“真相”を知らないまま、記者を辞めてしまいました。ところがその翌年、サブロー選手が当時の球団首脳との確執で、一時巨人に放出される「事件」があったのを機に知ったのですが、実は里崎選手も高年俸などの理由から「リストラ」の対象として目を付けられていて、すでにケガが癒えていたのに一軍に上げてもらえていなかった状況だったそうなのです。実力やコンディションとは違うところの「チーム事情」で不安定な立場に置かれていたのに、それでも自分の気持ちを切らさず、黙々と一人練習をしてチャンスに備えていたのです。前述の現代ビジネスの記事に出ていた“心が折れたドラ1”と実に対照的です。

プロ野球も一般社会と同じ、理不尽なことも時に起こります。しかし、そこを乗り越えられるかどうか。そういえば、最近ベンチャー業界の注目起業家として数々の新人賞を受賞している大学時代の私の同級生は、前述の現代ビジネスの記事を、Facebookでシェアする際、「どんなに天賦の才能があっても、貫き通す精神力が無ければ、結果を出せないということがわかる良記事。最後はしつこい、執念がある奴が残る」と付記していました。

まだまだ、弱小フリーランスのワタクシメですが、サバイバルできるプロ野球選手の本当の凄みの片りんだけでも、ようやく実感する日々でございます。脱サラを考えている方は特にアスリートに学ぶことは多いと思います。

それは、ともかく、里崎選手、本当におつかれさまでした。
社会派ドラマとかいつも流行チェックに余念がないところがあって、野球以外の雑談もよくされていた思い出があります。引退後は解説者の仕事のほか、野球以外にも幅広い活躍ができるのではないかと期待しています。

新田 哲史
Q branch
ソーシャルアナリスト/企業広報アドバイザー
個人ブログ

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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