たかの友梨社長の謝罪とリリースは評価できるのか?

2014年10月05日 20:04
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個人的には「大変評価できる」と考えています。

2014年10月4日付けにて、大手エステサロン「たかの友梨ビューティクリニック」を経営する、高野友梨社長が、労働問題をめぐり女性従業員に「圧迫発言」をしていた問題で「不適切な発言」だったとして、従業員に謝罪したうえで、今後の取組みについて発表がされました。


本件は、8月21日、残業代未払いを労働基準監督署に申告した女性従業員に対して不適切発言があったことに端を発するものです。このときの音声の録音データが、女性従業員が加入している労働組合「エステ・ユニオン」によって公表され大きな問題としてクローズアップされました。

●連鎖を断つということ

今回のリリースについては、様々な意見があると思います。社長名での発表でなかったことから、気持ちがこもっていないという指摘がありますが、たかの友梨ビューティクリニックを運営しているのは、株式会社不二ビューティーですから、法人名としてリリースを出すことは当然といえます。

責任の取り方については経営責任を問うものがあるかも知れません。しかし、エステ業界のパイオニアである、たかの友梨社長の存在なしに、この危機を乗り越えて同社の事業が継続できるとは到底思えません。

実は社長を辞めることは難しくはありません。株式の過半数を取得していれば、誰が社長であろうと実体はかわらずに、院政をひくことも可能だからです。その点を鑑みれば、会社の社長に留まることのほうが大変です。今後、新たな問題が提起された際、社長であれば、すべての局面で矢面に立たなくてはいけません。

今回のリリースには重要な意味があると思います。謝罪と保証は前提だったとしても、会社経営を考えた場合「マイナスの連鎖をいち早く断つ」必要性がありました。一連の問題で会社には大きな痛手があったことが容易に推測できます。ところが経営者は会社を守らなければいけません。働いている労働者にとっては生活に関わる重要な問題です。だからこそ、経営をひっ迫させるであろうマイナスの連鎖を速やかに断つ必要性がありました。

●労働問題は時間がかかる?

ここで労働問題の解決方法として労働審判制度を例にとります。同制度であれば約3カ月、調停成立率は7割を超えています。ところが判決が確定しても異議申し立てをすれば通常訴訟に移行します。上訴率は約40%もあり、感情的対立が先鋭化すると判決を受け入れなくなる傾向が強くなります。

最高裁判所によれば、2010年に終結した労働事件の平均審理期間は11.8か月とあります。また過労死や難しい事案の場合には、さらに長期が避けられず、1年半~2年かかるものも少なくありません。判決後も、高裁に移行した場合、さらに1年を要することになります。

昨今、このような労働事件の長期化を隠れ蓑にした、違法行為をおこなう会社が後をたちません。訴訟を起こされても、地裁であれば判決までに2年程度の時間をかけることができます。判決内容に疑義があれば、高裁に移行してさらに1年。労働者は、裁判中に様々な制約を受けることになりますから、3年間もひたすら時間稼ぎをされたら、極めて甚大な不利益を被ることになります。

やろうと思えば同じことができたはずです。労働基準監督署が発する是正勧告には何ら法的効力はありません。是正勧告ですから、勧告を守らなかったとしても、法的に何ら影響を受けることはありません。是正勧告というのは「是正することを期待します」という意味だからです。

是正勧告を無視する会社はたくさん存在します。違反を指摘されながら居直る会社、違反行為で訴えられても平然としている会社、実はかなり多いのです。

●読者への示唆

ブラック企業だと特定の会社を安易に叩きまくることは危険です。内部告発者の真意は本人しかわかりません。そしてなによりも未だに多くの労働者が働いており、生活の糧としていることを忘れてはいけません。

最後に内部告発者が不利益を被らないことを希望したいと思います。2006年に施行された公益通報者保護法では、労働者が内部告発をしても不利益は被らないとされています。ところが内部告発という行為にネガティブな印象があることから、不利益をともなうことが少なくないからです。

労働問題に直面すると、ひたすらに時間を稼ぐ会社が多いなかで、同社の対応はスピーディーであり内容も極めて誠実なものと考えます。

一方、会社にとって不祥事の早期是正は利益につながるという考え方もあります。今後の同社の取組みと、ことの成りゆきを見守りたいと思います。

尾藤克之
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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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