バロンズ誌:低金利時代で光る、クローズ型債券ファンド --- 安田 佐和子

2014年10月05日 19:20

00001

バロンズ誌、今週の特集は投信大手フィデリティのスター・ファンドマネージャーを取り上げています。ジョエル・ティリンガースト氏とウィル・ダノフ氏の両氏が運用するファンドは、まもなく25周年を迎えるロングセラーなんです。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリートのテーマは、低金利時代の債券ファンド投資術。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は、欧州中央銀行(ECB)や日銀を始めとする他の中銀と袂を分かち、量的緩和(QE)の終了と第1弾の利上げへ向かっています。米9月雇用統計をはじめ経済指標が堅調で市場も織り込みつつあるかのようですが、気になるのは商品相場。金先物は2010年8月以来初めて1200ドルを割り込んで引けたように、インフレ・ヘッジの買いで上昇するどころか下落の一途をたどります。他中銀が緩和政策を継続するなかドル独歩高なせいもあって、ディスインフレ環境を織り込んでいるかのごとくです。

米雇用統計が調子良かったとはいえ、賃金が伸び悩みをみせたことも一因でしょう。米債相場で10年債利回りが2.50%付近にとどまっているため、米株もダウ平均で200ドルの大幅反発を演じました。Fedの量的緩和(QE)が終了間近で出口政策入りに向かおうが、お構いなし。低金利環境が続く可能性を示しています。

金利が低水準を維持するなかで、フロリダ州フォートローダーデールに拠点を置くサウスウエスト・セキュリティーズのマネージング・ディレクター、マーク・グラント氏が注目するクローズ型債券投資ファンドは、以下の通り。

フォート・ローダーデール、中東の王子やセレブが居を構える富裕層エリア。

fort-lauderdale
(出所:Sothebys Realty)

▽ドレイファス・ハイイールド・ストラテジーズ(Dreyfus High Yield Strategies 、DHF)

10月2日時点でディスカウントは5.60%と、プレミアムだった春から反転。利回りは9.38%で、レバレッジ30%のほか、スプリントやHCAなど高利回り社債でイールドが押し上げられている。グラント氏いわく、構成する債券は2018—21年に償還が集中しており、最終的に起こりうる長期金利の上昇リスクを回避する期待が高い。

▽ベーブソン・キャピタル・グローバル・ショートデュレーション・ハイイールド・ファンド(Babson Capital Global Short Duration High Yield Fund 、BGH)

利回り8.98%のところ、一時は8.86%までディスカウントが進んだ。レバレッジは25%で、名前通り2018—2020年に償還を迎える社債が中心。

▽ブルックフィールド・モーゲージ・オポチュニティ・インカム(Brookfield Mortgage Opportunity Income 、BOI)

ディスカウントは 11.77%、利回りは9.08%.。不動産大手の名前を冠するように住宅および商業不動産のローン担保証券が80%を占める。

▽ブラックロック・ムニシパル・インカム・トラストII(BlackRock Municipal Income Trust II 、BLE)

非課税ファンドでディスカウントは6.56%へ拡大したが、これは市場価格が横ばいな一方で基準価額が安定的に上昇したためで理想的な運用を証明づける。利回りは6.77%で、これは所得税率35%以上の枠が利回り10.42%の課税ファンドを保有することに相当する。レバレッジは30%以上だが、プエルトリコ債を含まない。

ストリートワイズは、マーケットでなく世間も大注目のドル高がテーマ。7-9月にドル実効相場は7.7%も上昇し、リーマン・ショックが吹き荒れた2008年どころか1992年以来の水準までドル高が進んだことになります。

かつてドル高が進んだ当時を振り返ると、米株相場はドル高に比例するかのように高リターンを挙げていました。例えば1995—2001年にドルが46%も上昇した当時、S&P500は好景気にも煽られ2倍に膨らんだのです。ボルカーFRB議長がインフレ征伐に大幅利上げを断行した1980-84年にドルは78%も急伸し、S&P500の上げ幅は46%に達しました。

現状は成長率からインフレ率、構造的にも確かに当時と異なります。S&P500はドル高を嫌気し、足元1ヵ月間で2.8%下落。構成する企業が利益の3分の1を海外に依存する状況では、ドル高がマイナス要因ですから仕方ありません。2014年利益見通しを下方修正したフォードをはじめGMなど、業績にはネガティブに作用するでしょう。バークレイズのストラテジスト、ジョナサン・グリオナ氏はドル高が急激に進行したため「売上を0.5%ポイント押し下げ、多くの企業の見通しは予想以下にとどまる」と慎重な見通しを示します。

その一方で、ドル高により恩恵を受ける企業も忘れてはなりません。ウェルズ・ファーゴのアナリスト、ジーナ・マーティン・アダムス氏はドル高を通じた素材、原料、輸送価格の下落を見込んだ上で塗装業のシャーウィン・ウィリアムズ(SHW)のほか、防犯アラーム製造のADT(ADT)、医薬品のアムジェン(AMGN)をセレクト。ウォルマート(WMT)も、期待できるといいます。

ドル高プルーフ銘柄は、8日引け後にアルコアで幕を開ける決算・見通し発表で吟味しておきたいところですね。

(カバー写真:Stock Signal)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年10月4日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑