日本の「常識」は世界の「非常識」 --- 岡本 裕明

2014年10月13日 17:11

日本で仕事をすると業者間でも「ホウレンソウ」(報告、連絡、相談)が行き届いていることを実感します。業者に「この件は私から担当の会社に連絡します」と言って担当に電話をすれば「(既に)伺っております」と先回り。仕事も早いし正確無比。これについては唖然とするレベルであります。台風の日も時間通りにきちんと配達に来るその域は誰も追いつけない世界一の水準であります。


では、これを世界レベルに水平展開できるかといえばまず難しいでしょう。理由はほとんどの外国の国民の常識水準がバラバラでAと言われたことに対する反応は1にも2にも3にもなるのです。つまり答えは一つではないという良い面、悪い面の話をすれば悪い面が出てしまうのです。そこでアメリカではマニュアル文化が発達しました。アメリカのどんなところに行っても同じ味のスターバックスが味わえる理由は技術のぶれがないように機械化を進め、あとは従業員をマニュアルで縛りこみ、社員教育を頻繁に行っているから維持できるサービスなのです。

北米で大企業に勤めていると「いいですね」と言われるとすればそれは社員教育が行き届いているという事もあるかもしれません。ところが日本水準であれば極論すれば社員教育などしなくても学校教育や日常生活を通じて基本ができているからちょっと教え込めば「一を聞いて十を知る」の流れで即戦力になりやすいのです。

ではマニュアルに書いていない意地悪を日本と北米でするとどうなるでしょうか? 北米の場合には従業員が応用力でなかなか気の利いたことをしてくれることがあります。それは個人的によく勉強しているという印象すら与えます。一方の日本は奥行きがないことがあります。一定レベルは完璧なのですが、そこから一歩でも外れると途端に訳が分からなくなるのです。まさに新幹線のようなものでレールの上なら世界最強の強さがあるけれど道なき道はダメなのでしょうか。

協調性という意味では「○○ハラ」がやけに多いのも日本です。セクハラ、パワハラ、逆ハラ、モラハラ(モラルハラスメント)、アルハラ(アルコールを飲ませること)…となんでもハラスメントになるのですが、最近、私の高校のクラスメート曰く「食ハラ」もあると。顧客と焼肉を食べた後、二軒目で飲みながらパスタを食べ、「ん、期待の味ではない」とすぐ出て別の店に行きそこでもパスタを一皿、更に別の店でも一皿食べさせられたという話を聞いて笑っていいものやら真剣に悩むべきか返事に窮してしまいました。彼は誰でも知っている世界最大級の某社の准役員。それでも顧客にNOと言えないその世界も日本独特なものなのでしょう。ちなみに半年前に比べて彼の下腹部は更に巨大化した気がします。

「○○ハラ」は私からすれば我慢をしていたらいつの間にか限界を超えていたという事かと思います。つまり、こんなこと言っちゃまずいよね、と耐えてしまうところが日本らしい問題のような気がします。ブラック企業が問題になりますが、ブラックの文化を作ったのも日本の文化であるともいえるのです。北米でブラックをしようとすれば第一歩目から社員の反発があり、公的機関に訴えられ、マスコミやSNSで発信され、存在することが不可能なのであります。つまり、白、グレー、黒とあれば日本はあいまいなグレーゾーンを雇用側、非雇用側ともある程度受け入れている文化ともいえるのです。

サービス残業は日本ではなくならない文化であります。北米ではサービスに対してタクシーのメーターのごとく課金されるのに対して日本の課金は「一式幾ら」が相変わらずはびこっているのです。そんなことはない、と反発する人もいるかもしれませんが、内訳をみるとなんとなく詳細が書いてありますが、項目だけでその金額の論理的組成は分からずじまいです。ですので値切るときはその細項目を指摘すれば案外敵の攻略は簡単であります。

日本は「一山いくら」の文化でもあると言えます。これだけの仕事をひっくるめて幾ら、という発想でしょうか? 大型案件だと最後トップ同士の交渉で担当がぎりぎりの攻防をしてきたのに社長があっさり降臨し、総額から1割引きで決まったよ、と言われた矢先には担当から「おいおい、どうするよ」という声が聞こえてくるのも日本らしさという事でしょうか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年10月13日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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