朝日新聞の第三者委員会の現状

2014年10月21日 00:49


きのうの言論アリーナは、注目の朝日新聞の第三者委員会の委員になった田原総一朗さんの話。意外なのは、朝日の社内でまだ(社会部を中心に)徹底抗戦派が多数だという話だった。「強制連行はなかった」という点は彼らも認めるのだが、「強制性はあった」という。


それは強制性の定義しだいだが、吉見義明氏のように「植民地で行なわれたことはすべて強制だ」と定義すれば、それがあったことは自明だ。そういうトートロジーは人畜無害なので、言いたければ言えばいい(定義の注釈つきで)。その代わり広義の強制性については日本政府はすでに謝罪も賠償もしたという事実を、朝日新聞は世界に伝えるべきだ。

河野談話についても田原さんと私の意見は同じで、これを「強制連行を認めた」と解釈するのが間違いなので、朝日が強制連行を報じた植村記者の記事は誤りだったという事実を認めて謝罪し、それを世界に伝えるべきだ。それがきちんと伝われば、談話そのものを見直す必要はない。

厄介なのは、大誤報を書いてもみ消した清田治史氏までが「強制性はあったのだから朝日は間違っていない」と主張していることだ。では彼らは日本政府に何をしろというのか。田原さんも「わからない」という。「ここで謝罪すると朝日の名誉にかかわる」というプライドだけが空回りしているようだ。

これは意外に大きな論点である。NYTも含めて、世界のメディアはいまだに「軍による性奴隷制」があったと報じているからだ。この点で朝日の見解はNYTと違うことを明確にすべきだ(インドネシアの軍紀違反事件は問題外)。

付随的な論点としては、植村記者の1991年8月の記事は、もとの金学順の証言にない「連行された」という言葉が入っているので、単なる誤報ではなく捏造である。この点も植村氏にこれからヒアリングするそうなので、明らかにしてほしい。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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