バロンズ誌:日銀の追加緩和、影響は小説より奇なり? --- 安田 佐和子

2014年11月03日 11:22

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バロンズ誌、今週の特集は「エマージング株式市場」。成長率はBRICsこそ伸びが鈍化したとはいえ他各国では2桁に乗せ、MSCIエマージング・マーケット指数の株価収益率(P/Eレシオ)は12.7倍と、過去10年平均の13.7倍を下回ります。さらにインドをはじめ改革路線へ舵を切っており、収益機会が膨らみつつある?オッペンハイマーやインターナショナル・オポチュニティーズ・ファンズなど、4人の専門家に意見を聞いていました。


当サイトが定点観測しているアップ・アンド・ダウン・ウォールストリートでは、異次元緩和拡大というバズーカ砲第2弾を放った黒田総裁率いる日銀がテーマ。ダウ平均やS&P500を過去最高値へ押し上げるなど、世界株高に導いた栄えある貢献者ですからね。金融サスペンスの名著「ザ・ディレクティブ(The Directive)」よろしくNY連銀から秘密を引き出し大金を稼ぎ上げるより、確実かつ簡単に株式投資家に実りをもたらせました。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が資産127兆円の運用指針見直しを発表したことも、ヘッドラインを大いに賑わせました。各メディアで「債券の投資比率を60%から35%へ引き下げ」、「国内株式を12%から15%へ引き上げ」、「外国株式を12%から25%へ引き上げ」、「外国債券は11%から15%へ引き上げ」とデカデカ伝えられたものです。

CNBCでも連日、運用方針見直し内容を報道。
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(出所:My Big Apple NY/CNBC)

反対にFedは、日銀がサプライズの政策を発表する2日前に「相当な低金利」を維持した声明文を公表。その裏で労働市場の文言を上方修正したほか、ディスインフレの懸念をにじませながら経済指標次第では早期の利上げもありうると腕まくりし、タカ派路線を打ち出しました。対照的な政策に反応しドル円が109円台から112円台へ急伸したのは、ご案内の通り。おかげで、6万ドル(677万円)の「レクサス」や「アキュラ」といったトヨタやホンダの高級車は、円安の恩恵で1500ドル(16万8750円)相当の値引きされる計算になります。

しかしすでに日本車メーカーは円高時代の荒波をくぐり抜けるため、海を超えて工場を設置していきました。従って円安はさほどGMの「キャデラック」、BMWやダイムラーなどより競争力が強まる気配は一向にありません。

何より、バズーカ砲第2弾はまさに「消費税10%」への狼煙です。円安による輸入品価格の上昇に加え消費税増税第2弾という負担が加われば、日本の成長率に影響が及ぶはず。10年債利回りが0.462%へ低下してしまった現状では、株式市場への資金流入が加速するでしょう。

教科書では「円安は輸出競争力を強化し、経常赤字を縮小し、成長を押し上げ、価格上昇期待は消費を促進する」——と説いてきました。しかし現状では、金融サスペンス小説のネタになるほどゾクゾク感をはらみます。

——以上バロンズ誌、世界株高でも平常運転。慎重トーンをたたえておりました。

ストリートワイズは逆に、強気路線まっしぐらです。

消費セクターは年初から、負け組でした。裁量消費財は年初来でわずか1.9%の上昇と、2013年の42%から大いに失速しております。とはいえ、悪いことばかりではありません。予想P/Eレシオは18.4倍と過去5年平均の16.2倍を上回る理由に、消費拡大期待が挙げられるからです。

ファンダメンタルズも、好転の明るい兆しがみえてきました。米7-9月期雇用コスト指数の賃金・給与は2008年4-6月期以来、リーマン・ショック以前の高さまで戻しています。全米平均ガソリン価格は2010年12月以来の3ドル割れを試し、米10月消費者信頼感指数も、約7年ぶり高水準を遂げました。

そうはいっても、アマゾンでお手頃にお買い物ができる現状、どんな消費セクターが狙い目になってくるのでしょう?例えばゴールドマン・サックスのアナリストであるマシュー・ファスラー氏は、品揃えと独自路線からアマゾンが脅威とならない住宅修繕関連小売ロウズや卸売大手コストコに注目しています。BMOキャピタル・マーケッツのアナリスト、ブライアン・ベルスキ氏は成長期待、割安感、過去に高水準で推移した株価を踏まえ、百貨店ノードストローム(JWN)とターゲット(TGT)を選好していました。他に自動車買い替えの時期が後ろ倒しになっているトレンドを踏まえ自動車部品関連に目を向け、グッドイヤー・タイヤ(GT)、ジョンソン・コントロールズ(JCI)などを挙げています。

消費にいくら希望が出て来たとはいえ、賢く買い物しなければいけないというワケですね。

(カバー写真:Corbis)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年11月1日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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