共和党勝利で米国の政治は変わるのか

アゴラ編集部

米国の中間選挙は、ほぼ共和党が勝利して幕を閉じたようです。選挙前から多数派だった下院はもちろん、上院でも過半数を取って、野党の共和党が議会のイニシアティブを握ることになりました。

今回の選挙は、反オバマという世論の潮流が共和党を後押ししたものの、積極的に支持を集めたわけではなく、消去法で共和党が地滑り的に勝利した、というのが大方の見立てです。どこか日本の前回の衆議院選挙と似ているような気がします。

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オバマ政権は、まだ2年以上も任期を残しているんだが、議会が上下とも共和党が多数派になったことで、批判されている外交軍事政策にブレが出てくることが懸念されます。反オバマの世論は結局、中東や対ロシアでの弱腰を批判しているわけで、それに迎合することになれば、米国は再びオフショアで戦争をすることになりかねません。

ただ、表題の記事に書かれているように、今回の中間選挙で勝利した共和党も以前のようにゴリゴリの保守派が主導したり、国民へ過度な自己責任を求めたり、世界の警察を標榜する米国、という政策を採っていくことになるわけではないようです。共和党の中にはいわゆる「ティーパーティ」と呼ばれる勢力が伸長し、リバタリアン的な意見も強い。

表題の記事によれば、共和党は貧困層や人種的マイノリティにも手厚い政策や経済的な格差を縮小するような政策を提案するようになっているようです。中間選挙で民主党に勝つために、是々非々で政策論争をするうちに、民主共和両党共通の政治的課題に取り組まざるを得なくなっているのでしょう。

オバマ政権は、米国をこれまでの軍事的なプレゼンスばかり主張する国家から、まず経済や財政を立て直して国内の問題を解決してから、再び米国が新たな国際的な存在感を創造するための過渡的な政権なのかもしれません。民主党が共和党より「ハト派」とも限らない。今回の中間選挙の結果は、大きな流れが進んでいく中の「揺らぎ」とも言えます。

Slate
A Victory for the Left


Maple syrup production declines after big seed year
PHYS.ORG
ホットケーキに欠かせないメープルシロップが減産、という記事です。カエデの樹液、メープルシロップは、カエデの樹木の幹に蛇口を取り付けて採取します。カエデも植物なので、子孫を残すために種子を作る。去年、北米のカエデは大量の種子を作り出したので、今年はあまり樹液を出さなくなっている、というわけです。ホットケーキが楽しめなくなるほどの減産ではない、とのことなので安心ですな。

China Lowers Expectations For Xi-Abe Talks at Apec Amid Strained Relations
INTERNATIONAL BUSINESS TIMES
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Taylor Swift has taken all of her music off of Spotify
Vox
米国のアーティスト、テイラー・スイフトが、無料音楽配信サイト「Spotify」から自身の全ての音源を引き上げた、という記事です。ちょうど新しいアルバムが発売されるタイミングでもあり、ネット上で「消費」されるのを防ぎつつ、売るだけ売ったらプロモーションのために再びネット上へ配信するんでしょう。押したり引いたり、ネット時代のアーティストの戦術、というわけです。

Over A Dozen Mysterious Drones Have Flown Over French Nuclear Sites In The Past Month
BUSINESS INSIDER
10月からフランス各地の原発の周囲を、未確認のドローン(無線無人飛行機)が12機以上も飛び回っていた、という記事です。原発セキュリティの脆弱性を指摘してきたグリーンピースは関与を否定しているらしい。日本が原発を止めている間、フランスは全世界の2/3以上の原発由来の発電量を誇示している。ちょっと心配なドローン騒動です。


アゴラ編集部:石田 雅彦