学校を悪くしたのは、だれか 文科省でたらいまわしにあう

2014年11月09日 11:30

小学校教師になって、半年が過ぎた。民間企業と比べたときの違和感を、現場からお送りしたい。L型大学の議論も盛り上がっていることだし・・・

学校にとっての”お客さま”は、だれか
「お客さまは神さまだから、子どもとそのように接してはいけない。そんなものはただのサービス業で、われわれの施している教育はそんな卑小なものではない」と言う。おそらく、三波春夫の大ヒット曲の一節を信じているのだろう。大企業ならともかく、お客さまを神様にしては、会社は潰れるだろうが。だいたいサービス業のなんたるかを知ってるのかよ。

しかし、コンペティターもエグジットもない組織は、当人たちは努力しているつもりだが、目的がないため、外部から見たら、存在のために存在している組織にしか見えない。


サービス残業でものすごくがんばっているのだが・・・
近年は小学校でもサービス残業は多い(中高はいうまでもない)。残業代も、ない。それが教材研究や学級経営に関することならば、まあ仕方ない。しかし、実際は、調査や各種届け出といった事務仕事、増えすぎたが削れない行事、個々の学校のカリキュラムと関係のないイベントの設営だったり(自治体をあげての体育大会、文集の編集、美術展覧会の準備で終電、休日出勤)、いちばん大きいのは身内にむけた研究授業の準備だろう。つまり、外部がないのだ。サービス残業のほとんどのリソースが社内営業に費やされているのである。だれの虚栄心を満足させているのだろうか。

サービス残業は合法なのか
法的にどうなのか確認すべく、まず、労働基準監督署に電話をして聞いてみた。窓口の女性がしばらくしてから「公務員は労基所ではなく人事院の管轄ですのでそちらにお問いあわせください」と言われたので、人事院に電話してみた。

人事院の代表電話にかけ、教員の労務管理はどうなっているのか尋ねてみた。窓口の女性がしばらくしてから「こちらは国家公務員の管轄ですので、地方公務員は総務省にお問いあわせください」と言われたので、総務省に電話してみた。

総務省の代表電話にかけ、教員の労務管理はどうなっているのか伺ってみた。窓口の女性がしばらくしてから「こちらは地方公務員の管轄ですので、教育公務員は文科省にお問いあわせください」と言われたので、文科省に電話してみた。

文科省の代表電話にかけ、教員の労務管理はどうなっているのか回答を求めた。窓口の女性がしばらくしてから繋いでくれた。なぜか財務課に。

財務課の男性職員に、教員の労務管理はどうなっているのか聞いてみた。「こちらは財務課ですので、その件はとりあつかっておりません」といわれたので、さすがにイラっときて、「じゃぁどこにきけばいいのですか」ときいてみた。「教育公務員課です」というので、「電話番号をおしえてください」と言うと、さすがに取り次いでくれた。

ここまできて、ようやく教育公務員課の男性職員にたどりつくことができた。「例外4要件以外の残業は、違法です。文科省としても各自治体に是正を常々お願いしています」との回答。ちなみに残業ができる例外4要件は、①職員会議②生徒指導③宿泊学習④非常変災。もしこれらで残業した場合、振休を取れる。しかし現実には、これ以外の要件でほぼ全ての残業がおこなわれており、4要件に該当しないので振休もとらせなくてもよい、と現場では解釈され、多くの教員が80時間をゆうに超えるサービス残業をしている。

悪いのは教委か
しかし、教委もサービス残業という蜜の味をしれば、業務の軽重は考えずに、なんでもやらせておいたほうがいい、となる。そして、教員自身も波風を立てたくないから、唯々諾々と業務をこなすことになる。文科省の担当者の言うように、違法ではあるのだが。ようは隣の先輩がよくわからない事務作業をしているから帰れない、というチキンレースに陥るのである。

もう少し、ムラ社会を客観視した方がいいのでは
つまり、制度は厳然と整っているのである。それを個々人が行使しようとしないだけなのである。日教組はいろいろ権利を主張してばかりいると思われているが、よくも悪くももはや機能していない(政治的な悪影響は与えているが)。東洋経済2014/ 9/20号の特集「学校が危ない」は教師が被害者のように書かれている(ありがたいことだが)が、これはまちがい。学校を不毛にしているのは、教員自身の嫌われたくないというムラ意識でもあるのだ。必要なのは、「これは私の仕事ではありません」と言える嫌われる勇気なのだ。

教員のすべきことに優先順位をつけるべきでは
子どもを安全に学校で過ごしてもらい家まで帰す(身内の目が気になるから、あんなに危険な組体操が生き延びているのだ)。次に勉強(しかし現状はG型を目指して破綻している)。私見では、これらが最優先されるのがわれわれの使命なのだが、現状での優先順位は低いと言わざるを得ない。しかしこの元凶は、われわれ教員のムラ意識としかいいようがない。だれが改革できるのだろうか。

ビジネスのような実社会から、そもそも公教育に過剰な期待をしてはいけないのかもしれないが。

中沢 良平(小学校教師 初任者)

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