解散・総選挙は合理的である

2014年11月11日 16:41

急に解散風が吹いてきた。政治部の記者は、政策はアマチュアだが政局はプロなので、彼らの解説は信用できる。12月2日解散で14日投開票というスケジュールが有力らしい。その理由は消費税ではない。内閣支持率である。政治家が使うNHKの世論調査で、支持率は8%落ちて44%になった(社会実情データ図録)。

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これはアベノミクスへの期待が消えてきたことを反映していると思われる。このままでは、来年はもっと悪くなる。4月の統一地方選挙と同時という説もあるが、それより今のほうがいい。秋の総裁選の後という説もあるが、来年後半以降になると、経済がボロボロの状態で解散に追い込まれる麻生内閣のパターンになる。

経験則によれば、自民党の得票率は内閣支持率にほぼ比例する。麻生首相のように15%という末期的な状態で解散すると、惨敗する。今のうちなら、44%という支持率は2005年の郵政選挙のときの小泉内閣に近い。2012年の294議席ほどの圧勝にはならないにしても、自公で2/3を守れば、首相の念願の憲法改正も視野に入る。

この判断は、自民党の議席最大化行動としては合理的である。消費税の是非は、それを正当化する手段にすぎない。まず来年10月の増税を見送るという意思表示をして「これは2012年の三党合意の見直しなので、民意を問う」という大義名分で解散する。原発再稼動などの支持率低下要因も避けられる。

ハバードなども指摘するように、政治家の最大のインセンティブは自分が再選されることだから、いま解散することで生存確率が上がるなら、自民党内の支持は得られるだろう。増税の是非を問う選挙になると、民主党は苦しい戦いを強いられる。野党はバラバラだから、やるなら今のうちだ。

私は、この選挙は悪くないと思う。増税延期か否かは、短期的な「景気対策」で負担を将来世代に先送りするか、長期的な財政再建を重視するかという世代間の所得分配の選択である。自民党内でも先送りに批判的な人は多い。民主党は態度がはっきりしていないが、三党合意を守るのが当然だろう。他の党も増税に賛成か反対かを打ち出し、経済政策の基本的な考え方を争ってほしい。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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