アリババ、「独身の日」売上高は過去最高の1兆円突破 --- 安田 佐和子

アゴラ

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中国電子商取引最大手アリババが11日に実施した「光棍節(独身の日、シングルズ・デー)」のバーゲンセールで、売上高は571億元(93億4000万ドル、1兆970億円)に達しました。ニューヨーク市のGDPをやや下回る程度の規模といいますから、さすが人口13億人を誇るだけあります。もちろん2013年に記録した362億元を軽く突破し、過去最高を更新しました。携帯端末を通じた取引は、全体の42.6%。7-9月期決算での数字を格段に上回ります。出荷件数は、前年比85.3%増の2億7800万件に及びました。

1993年頃に南京大学の学生の間でアンチ・バレンタイン・デーとして始まった「独身の日」とは、1が4つ並び中国語で「葉のない枝」を意味するところに由来するのだとか。この「独身の日」に目を付けたアリババが傘下の仮想モールで2009年から大幅値引きを開始して、中国全土に根付くようになりました。2009年の開始時点で売上高が700万ドルだったことを踏まえると、その爆発的な成長ぶりに驚愕せざるを得ません。

CNBCは書き入れ時に合わせ、中国に渡りアリババ独占取材を敢行。ジャック・マー(馬雲)会長のインタビューにも成功しております。マ—会長は今後について「『独身の日』は、2019年までに全世界で浸透しているだろう」と自信をみなぎらせていました。

では、アメリカ人に受け入れる用意があるのでしょうか?CNBC調査ではNY時間の午後1時半過ぎで、以下のような回答に。
alibaba

日本では静観を決め込むなかアメリカ人の3割が「ノー」と回答しているところをみると、来年すぐにも導入する公算は低そうですね。

過去最高を達成した「独身の日」、電子決済システム「支付宝(アリペイ)」はピーク時には1分当たり285万回の売買を請け負ったといいます。そのアリペイに対し、マー会長は時期や規模など詳細には触れなかったものの「予想よりずっと早い段階で」新規株式公開(IPO)に踏み切ると豪語していました。上場の目的は「資金調達ではなく、より多くの人に共有してもらう」ためだと説きます。また、アップルの「アップル・ペイ」とも「協議を続けている」と明らかにしました。ジョセフ・ツァイ(蔡崇信)副会長によると、中国だけに絞って話し合いを続けておりアリペイ口座の現金を元にアップル・ペイを通じた支払いシステムを検討中。アップルとアリババが手を組む日は、そう遠くないようです。

「独身の日」に快挙を遂げたものの、アリババ株は少なくとも5営業日連続でザラ場最高値を更新した後に下落。アリペイのIPO見通しを嫌気したというより、セル・ザ・ファクトだったのでしょう。

奇しくもオバマ大統領は10日、中国の北京で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)企業幹部との会合にて、米中間の旅行者を対象にした観光・ビジネス用ビザの有効期限を10年間に延長することで合意したと明かしました。2013年の米国を訪れた中国観光客は180万人で経済効果は210億ドルとされているだけに、ホテル業界を中心に拍手喝采で迎えられています。

またオバマ米大統領やフロマン米通商代表部(USTR)代表は、中国とハイテク製品の関税撤廃に向けた世界貿易機関(WTO)の情報技術協定(ITA)をめぐる交渉で打開への道が拓けたと表明。関税ゼロ対象商品を拡大させる方向で、これまで反対していた中国がようやく歩み寄ったとされています。貿易効果は、年間1兆ドル(115兆円)へ膨れ上がる見通し。半導体メーカーや医療用画像診断装置メーカーなど、ハイテク企業への恩恵に期待が掛かります。

(文中・カバー写真:CNBC)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年11月11日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。