解雇規制緩和にセーフティーネットは必要か?

2014年11月13日 14:32

整理解雇の四要件を始めとして日本では解雇がしづらい、だから解雇規制を緩和しようという話が良く出てきます。自由主義やビジネスマンほど賛成の人は多く、労働組合に加盟している人やいわゆるリベラルと言われている人ほど反対をしています。

そして反対はしないまでも解雇規制の緩和をするときには「セーフティネットを同時に拡充しなければならない」という条件付き賛成を出す人もいます。多分、こういう人はかなり多いと思うんですが、解雇規制の緩和をするときにセーフティネットの拡充は果たして本当に必要なのでしょうか。


例えば解雇規制緩和をされていない今でも、セーフティネットは未熟であると言われています。生活保護にしても額が少ないという声もあるくらいですし、生活保護やホームレスにすべり台のように滑って落ちたあとに戻ってくることが難しいとも言われています。トランポリン型の雇用の柔軟性が必要と言われながらも、それも実現できていません。職業訓練も必要な知識や経験を身につけることは会社でしかできない場合が多く、実務経験ゼロだと雇用されにくい現実があります。

もちろん全くセーフティネットがないというわけではありませんが、今でも十分セーフティネットが機能していないという声があり、かつ福祉の手をすり抜けて落ちていっている人たちも少なくありません。ですからセーフティネットを拡充して、最低限の生活ができるようにする必要性はあります。意欲次第で雇用を得られるよう、更に職業訓練なども充実させないといけないでしょう。

ですのでセーフティーネット自体は必要ですし、もっと効果的なものにしていく必要はあるでしょう。しかしセーフティネットは解雇規制緩和とバーターである必要はないのではないかと思います。まるで解雇規制緩和でクビになった人たちだけ特別なセーフティネットが必要と言わんばかりですが、解雇規制緩和でクビになる人が出てくるからと、その人達のためにセーフティネットをかくじゅうする被つようはないでしょう。

つまりセーフティネットの拡充と解雇規制の緩和というのは別問題である、と思うのです。もちろん解雇規制の緩和がなければセーフティネットでいくら職業訓練などをしても、チャンスが与えられないという問題もありますから関連している部分はあります。しかし今のセーフティネットの状況であっても解雇規制の緩和をしたところで別段問題はないでしょう。すでにセーフティネットに引っかからず上に行けない若者・弱者は存在しており、特別扱いをする必要はどこにあるのでしょうか。。

仮に今、解雇規制が緩和されてクビになる人が多く出てくるとしましょう。主に給料は高いけれどもそれだけの働きをしていない人、部下なしの役職に付いている人、年齢が定年間近の人などがクビになる可能性が高いと思われます。おそらく金銭を支払った解雇(金銭解雇)になるかと思いますが、彼らはクビになれば人脈があったり運がいい人は正社員として転職できるでしょう。そうでない人はコンビニや工場などでフリーターとして働くかと思います。最近は梅田のマクドナルドでも50代以上のスタッフがいますから、アルバイトなら就職は可能です。

少なくともアルバイトで就職できる人が大半でしょうし、さらに退職時に金銭をもらっているので、それなりにお金を持っています。一方ずっとフリーターをしている人は貯金もなければスキルもないし、退職の際に金銭をもらったことがある人なんていません。今、社会のセーフティネット(企業が負担する社会保障も含む)から外れている人よりも、解雇規制の緩和でクビになった人は確実に豊かであることは間違いありません

私もこの解雇規制の緩和をするならセーフティネットの拡充と同時じゃないとダメだと思っていました。ですが、今でも解雇規制の緩和に関係なく、再就職に困っていたり福祉の網の目からすり抜けて落ちてしまった人たちは存在しています。もちろん再就職のための職業支援や効果的な職業斡旋なども必要でしょうが、それは解雇規制の緩和があろうがなかろうが行われなければならないことです。

ですので、セーフティネットの拡充を待って解雇規制の緩和を行う必要はないのではないでしょうか。それとはまた別にセーフティネットの拡充は粛々と行うべきで、バーター取引にする必要もないと思います。仮にセーフティネットの拡充がなければ解雇規制の緩和でクビになった人にどういうマイナスがあるんでしょうか?それは現在フリーターや低賃金で生活している非正規雇用の人たちよりも、困った状況になるのでしょうか。誰か教えてもらえると幸いです。

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松本 孝行
株式会社セカンドチャンス 代表取締役

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