「争点」とか「大義」ではなく、それ以前の問題である件

2014年11月19日 04:47
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衆議院が解散になります。ジャーナリストや政治評論家の方々が諸説を述べられていますが、経済評論家である池田信夫氏の「間違いだらけの首相会見」はマクロ経済と財政の視点から分かりやすくポイントが整理されています。


さて、今回の選挙ですが、「争点」とか「大義」ではなく、それ以前の問題と考えています。2011年以降、一票の格差の問題が顕在化しました。衆議院を例にとるなら総務省に「選挙区画定審議会」が設置されており格差が2倍を超さないことが目標とされています。ところが、基礎配分方式と最大剰余方式を組み合わせているため、格差是正を非常に難しくしている問題が存在します。

政治学者で、神戸大学大学院法学研究科教授の品田裕氏は政策科学の論文のなかで、一人別枠を維持しドント式を組み合わせる方法が望ましいとしています。また、比例代表制は選挙区の設定のみならず、衆参両院で各党への議席配分に用いられている重要な方法であるともしています(注1)。

2011年3月の最高裁判決を受けて「0増5減」の選挙区見直しを定めた法案が国会で成立しました。前回の衆議院選挙は、新たな区分けが間に合わないため、違憲状態のまま行われた結果、広島県(1区・2区)、岡山県2区については選挙無効判決が出ました。その後、最高裁は「違憲状態」としながらも選挙自体は有効である判決を下しています。

これらの状況を勘案すれば、衆議院総選挙を行うためには「一票の格差」を是正しなければいけないことが分かります。ところが「0増5減」の法案さえ通しておけば「努力をしたから問題なし」という身勝手な解釈が見て取れます。これは、司法判断を立法府である政治(国会)が蔑ろにしていることと同じです。

憲法では、最高裁判決はどのように解釈されているのでしょうか?

憲法第81条
最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

ところが、憲法第99条では、憲法第10章最高法規にある条文で、憲法尊重擁護の義務について次のように規定されています。

憲法第99条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

国会議員は、憲法を尊重して守らなければいけない旨が記載されています。ですが、強制性を伴いません。努力義務によって定められているからです。

結局、議員の当落のみが優先されるという状況に何ら変化は見られません。司法の判断を無視しても強制性が伴わないため罰則規定はありません。また、選挙制度は自らを律する制度ですが、議員自身が自らを律する制度を決められるのかという論点があります。その点には、一抹の不合理さが存在します。

三権分立のもと、司法は法令が違憲かどうかを審査する権限を持ち、既に是正を促しています。ところが、一票の格差の問題は解決していません。故に今回の選挙は「争点」とか「大義」ではなく、それ以前の問題だと思うわけです。

(注1)政策科学19 - 3,Mar. 2012
衆議院選挙区の都道府県間の配分について

尾藤克之
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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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