米10月CPI、ディスインフレ懸念を払拭 --- 安田 佐和子

アゴラ

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米10月消費者物価指数(CPI)は前月比±0%となり、前月の0.1%を下回った。ただし、エコノミスト平均の0.1%の低下ほど物価減速を示さず。エネルギーが1.9%と4ヵ月連続でマイナスへ沈み、引き続き全体を押し下げた。一方で食品・飲料は0.1%の上昇と4ヵ月連続で上向き、ヘッドラインに寄与した。


CPIコアは前月比0.2%の上昇となり、市場予想および前月の0.1%を上回った。シェアの大きい帰属家賃は3ヵ月連続で0.2%上昇したほか、住宅も前月に続き0.2%の上昇となった。家賃も0.2%上昇を示し、前月の低下分を打ち消している。医療費は0.2%と、2ヵ月連続で上昇。娯楽も0.2%となり、前月の横ばいから上向きに転じた。航空運賃は2.4%上昇、マレ—シア航空機撃墜事件の影響で3ヵ月連続で低下を経てようやくプラス圏を回復した。

ただし、その他は軟調。服飾は0.2%低下し、前月の横ばいからマイナスに転じた。教育も0.2%と低下に転じ、パソコンが0.6%と押し下げている。輸送はガソリン価格の下落を背景に0.7%の低下を示し、4ヵ月連続でマイナスに落ち込んだ。

前年比のCPIは、3ヵ月連続で前年比で1.7%の上昇。2012年10月以来の高水準だった6月の2.1%、および7月の2.0%から鈍化した水準を維持している。CPIコアの前年比は1.8%と前月の1.7%を超えたが、7月の2.0%を下回ったままだ。

JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、今回の結果を受け「Fedの政策を変更させる内容ではない」と断りつつ、「足元のディスインフレ懸念を払拭させる内容」と評価した。その上で、米10月個人消費支出デフレーター(PCE)の前年比を1.4%、コアPCEを1.5%と見込む。それぞれ前月と同じ数字を見込み、さらなる低下を免れる見通しだ。

——米11月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値でインフレ期待は下方トレンドへ向かう兆候をみせていただけに、今回のCPIはFedメンバーを安堵させる内容でした。現時点で、ディスインフレへの警戒をにじませた10月FOMC議事録より悲観的なトーンを強める可能性は消滅したといっても、過言ではありません。出口政策への地ならしを進めるFedには、朗報となったことでしょう。

(カバー写真:AP)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年11月20日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。