「シンプルライフ」のトレンド --- 岡本 裕明

2014年11月30日 21:31

ひっそりとしたブームなのがシンプルライフ。家のリビングやキッチンにはごちゃごちゃとした生活感があるモノはほとんど何もなく、洗練された清潔感すら漂います。商売柄、北米などのインテリアデザインや住宅の販売センター、モックアップルーム(ショールーム)をよく見るのですが、すっきり感を強調しているものが目立ちます。


先日、日本のテレビである高校生の部屋が紹介されていましたがベッドと勉強机、本棚という標準的なモノは変わらないのですが、机の上にはほとんど何もなく、本棚はスカスカです。部屋の主曰く、「本は図書館で借りる」「机の上のものは全部引き出しに効率的に入れる」「ノートは使い終わったら全部捨てる」そうです。素晴らしい!

私は冷蔵庫の中がぐちゃぐちゃなのが大嫌いであります。半年以上も前にふたを開けた瓶製品が偉そうに鎮座しているのを見るとゴミ箱にポイ、です。多くの家庭の冷蔵庫はそういうわけにはいきません。手前からどんどん押し込むので「あれ、これ封開いている」という発見は必ずあるはずです。

私がシェアハウスの事業を日本で始めた一つの理由はシンプルライフがこれからの大きなトレンドになるとみているからです。それは所有しないスタイルです。

実は私は5年とか10年といったうちにある大きな変化があると思っています。それは衣料やファッションです。

今はファストファッションで流行の最新のものを安くゲットする、というスタイルが主流であります。これは特に女性の流行にあやかりたい、ほかの人と同じ流れに乗っていたいという安心感があるのだろうと思います。ところが日本人も少しずつ変わってきて「個」の時代から「自己追求」の世界に入ってきていると考えています。

マーケティングの神様、フィリップ・コトラー氏が心理学者のアブラハムマズローの5段階要求の中で消費者はその最終ステージである「自己実現欲求」に入りつつあり、企業はそれに備えなくてはいけないと指摘していることにも十分耳を傾ける価値があるでしょう。

これはファストファッションでワンシーズン着たら壊れるような縫製は悪く、見るからに安物だけど流行に左右される時代の終焉を指摘しているとも言えます。事実、一部若者は古着をネットなどで売買するし、鞄などのアクセサリーもごく普通に中古市場で流通しています。これはCDや本で中古のイメージを取り払ったブックオフの貢献も大きいと思いますが、今後、持たない、欲しい時だけ使う、中古OKが主流になると思っています。

それでも新品でないといや、という人もいます。そういう人のシンプルライフとはモノの所有を極端に絞り込むということが考えられます。下着や靴下は週7日分のみ、ワイシャツは5枚にTシャツ2枚、トレーナー1枚にパーカー1着というギリギリの数しか持たないライフです。これは80年代の大量消費をした世代にはなかなか理解できない発想かと思います。そういう私はこれに近いギリギリしか所有していません。新しく買うのは前のがダメになって捨てた時のみです。だから新しく買ったときは嬉しくてそればっかり着ることになります。(笑)

テレビのビフォーアフターで家の改修する際の古家にはびっくりするほどのお宝が潜んでいます。中には空箱を大事に仕舞っていることもあるでしょう。私は最小限のものしか持たず、すっきりさせています。キッチンの上には調味料もコップも皿もありません。全部収納です。料理なんでしないのだろう、と思われるかと思いますが、私は会社と家が近いのでお昼はお客さんと食事がなければ家で食べます。夜もしかり。

すっきりすると部屋が広く見えます。家具の一つ、二つ無くしてみたらその実感はよくわかるはずです。

こんなこと書くとアパレル業界からお叱りを受けると思いますが、毎年流行にとらわれて安物の洋服ばかり買い続けることが不思議な消費活動であると思っている人にはある程度は納得いただけると思います。世の中、シェア、レンタルの時代になりつつあるのは中古でも十分な価値があるから、ともいえるのでしょう。この認識の変化は将来、重要なポイントになると思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年11月30日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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