インターナショナル株式という誤謬

2014年12月09日 11:30

もはや、自国の株式と、自国以外の外国の株式、即ちインターナショナル株式という資産分類は古い。国境を取り払って統合したグローバル株式の時代である。背景には、もちろん、グローバル経済の一体化があり、また、企業の多国籍化、あるいは無国籍化がある。


ロンドンの株式市場は、必ずしも英国企業の株式が取引される市場ではない。ロンドンを主たる上場地にしている多国籍企業の株式が取引される市場である。国が意味を失いつつあるなかで、全世界の産業を横に貫いて銘柄選択を行うことの重要性が高まっている以上、グローバル株式への移行は、不可避なのである。

しかし、グローバル株式という考え方は、急速に普及はしてきているが、まだ完全には国という制約を破壊できていない。日本でも、依然として、日本株式と外国株式という分類が、有力なものとして、残っている。米国でも、英国でも、事情は同じであろう。故に、資産運用業界でも、グローバル株式運用が拡大する一方で、各国それぞれのインターナショナル株式運用が大きな地位を保っているのだ。

ところで、世界の資産運用業界のなかで、圧倒的に大きいのは、米国である。当然に、国の数だけあるインターナショナル株式運用の残高のなかで、圧倒的に大きいのも、米国から見た外国である。

少し前、グローバル株式運用が珍しかったころに、日本の投資家が日本から見た外国株式の運用会社を選ぼうとしたとする。ところが、そのような運用を行っている運用会社の数自体が極端に少ない。また、グローバル株式の運用実績もほとんどない。参考になるのは、米国から見た外国の運用実績である。さて、そのような実績情報は、日本から見た外国株式の運用会社の選択に際して、どの程度有効なのか。

1980年台の、いわゆるバブルの時代の日本株式の扱いは、日本以外の国にとっては、悩ましい問題であった。特に、米国から見た外国の場合は、日本の比重があまりにも大きくなってしまったのである。当時は、多くの運用会社が、日本株式についての割高感をもっていたので、日本の実際の比重に比して、大幅に組み入れ比率を引き下げていたと思われる。

そして、バブル崩壊。それで、多くの運用会社が、日本株式の比重という一つの大きな要因のために、市場指数に勝ってしまうことになった。さて、このような実績が、日本を含まない日本から見た外国株式の運用委託に際して、どのような価値をもつのか。

また、一つの世界的な規模で活動する運用会社があって、日本の顧客向けには、日本を含まない外国の株式運用を、米国の顧客向けには、米国を含まない外国株式の運用を、それぞれ提供しているとする。この場合、日本を含まない外国は不振を極める一方で、米国を含まない外国は好調、というようなことは、ごく普通に起きてしまう。例えば、米国株式部分の銘柄選択が振るわないようなときは、それを含むか含まないかで、結果が違ってしまうからである。

グローバル株式運用の場合は、こうしたインターナショナル株式運用に起き得るような、おかしなことは起きない。グローバルは一つしかないから、統一的に比較可能なのである。この点も、技術的なことではあるが、グローバル株式運用の一つの利点なわけである。

森本紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
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