バロンズ誌:原油安局面、Fedはどこまで「忍耐強く」なれるのか --- 安田 佐和子

2014年12月14日 12:22

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バロンズ誌、今週は2015年見通し特集号です。ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカ、モルガン・スタンレーなど著名な米株ストラテジスト10名の2015年S&P500見通しは2100—2350pに及び、中央値は2208pでした。2015年半ばに2006年以来初めての利上げに転じる見通しながら、12日時点の終値2002pから約10%の上昇を見込んでいます。2009年に始まったラリーは、6年目を迎えると読んでいます。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリートのコラムは、もちろん16-17日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)がテーマ。

2008年12月にゼロ近辺政策を導入してから、ちょうど6年目に当たる今回。Fedが2015年半ばの第1弾の利上げを見据え「相当な期間(considerable time)」を削除し、「(利上げに)忍耐強くなれる」という文言へ差し替える、との予想がマーケットの大勢を占めています。

2010年6月に米連邦準備制度理事会(FRB)副議長を退任したドナルド・コーン氏も、ポトマック・リサーチ・グループの顧客向けブリーフィングで「Fedは2015年半ばの利上げ路線を維持しており、『相当な期間』の文言も削除する」との認識を明らかにしたといいます。では、死角はないのか。コーン氏はこう付け加えています——「経済指標次第で柔軟な政策運営を目指し、利上げを暫定的かつ緩やかに進めていく」。

コーン氏はインフレと原油安こそ、かく乱要因と指摘。原油安はコアインフレをじわじわ浸食し、インフレ期待を押し下げかねない。失業率が改善したとしても政策の足を引っ張るリスクすら潜み、Fedとして見捨てておけないというわけです。

カンザスシティ連銀を皮切りにFedひと筋40年、金融政策を支えてきた男。
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(出所:Price Chambers/Reuters)

原油安はガソリン価格の下落につながり、消費を刺激し成長に寄与するとの楽観的な見方もあります。ただしマクロマーベンズのステファニー・ポンボイ氏は、強含んだ米11月小売売上高に疑問を投げかける1人。過剰な季節調整が下駄を履かせたといい、本来であれば0.3%の減少を示すと試算しています。

インフレ見通しも、消費拡大で景気改善を織り込んでいるようにはみえません。5年物インフレ連動債(TIPS)の動向を踏まえ、リオリエント・キャピタルの米国ヘッドを務めるデビッド・P・ゴールドマン氏(香港在住)は、「引き締め策より緩和策を見込んでいるようだ」と評しています。米債利回りとTIPSの利回り格差であるブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物を中心に全般的に低下中。米30年債利回りも3%を割り込み、利上げ前の段階にも関わらず過去最低に迫る状態です。

FF先物も、2015年末に0.75—1.0%の利上げを織り込む程度。9月FOMC時点の1.375%を下回っています。12日までの週に米株は急落し、時価総額を8750億ドルと過去3年間で最大の減少幅を示現しました。フォワード・ガイダンスを変更し、経済・金利見通しを調整する以外に、Fedはどんな手段を講じてくるのでしょうか。

——当ブログでは、マーケットが1月当時と同じ間違いを犯さないよ12月FOMCに迫っているかのようだと指摘させて頂きましたが、アップ・アンド・ダウン・ウォールストリートも非常に慎重な視点でFOMCを見つめています。

ストリートワイズは、敗戦続きのアクティブ運用者に弱々しくも一筋の光りが射してきたといいます。アクティブ運用が最後にS&P500を上回ったのは2009年でわすか1.7%でしたが、救いは金利の上昇にあると指摘。ノムラのストラテジスト、ジョー・メズリッチ氏によると、米10年債利回りが1962年から1981年にかけ3.65-15.8%へ上昇した当時、アクティブ運用がアウトパフォームしていました。年間リターンをみても利回り上昇局面では1.5%のマイナスと、利回り低下局面のマイナス2%より小幅にとどまります。

アクティブ運用者の命運は、利回りが握る。つまりはFed次第というわけです。

(カバー写真:J. David Ake/AP)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年12月13日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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