離島インターンで島の創生人材ゲット

2014年12月19日 16:30

※離島でのインターンに参加する大学生ら(提供写真)
141219島キャンヘッダー
どうも新田です。来年も高知に行かず東京で消耗いたします。
ところで選挙戦が終わって、ひさびさに企業マーケティングの取材に行ってきたのですが、島おこしインターン企画「島キャン」という催しに、今を時めく「地方創生」や「L型人材」の観点から実に興味深いと思った次第です。なお主催しているのはカケハシ スカイソリューションズさん。ぽっと出のLCCみたいな派手な社名ですけども、中小企業向けに人材関係のサービスを地道に展開されているそうですので念のため。


過疎化と高齢化に悩む地方の中でも離島の場合はインフラが不十分であること等、余計に深刻でして、内閣府の資料=下記の図=によれば1955年から半世紀余りで“ワニの口”がもう開きっぱなしという惨状のようです。若い人は高校や大学への進学を機に出て行きっ放しになってしまうそうですね。資料によると、近年は「社会減」と「自然減」の差が縮まっているものの、どうしても人材確保は本土の地方市街地よりも無理ゲー感が漂います。

141219離島人口グラフ
実はカケハシの社長さんは島根県出雲市出身。地元は、隠岐等の離島を抱えた地域のご出身なわけですが、地域活性に以前からご興味があり、鹿児島県の奄美群島の関係者と縁が出来たことで、「人材サービスを事業にしている私たちにできることは、若者と島のカケハシになることだ」と、この「島キャン」を企画されたそうです。今年春にスタートし、夏には奄美群島や隠岐諸島、北海道の礼文島など8カ所の離島にある計40か所の事業所で、大学生168人がインターンシップに参加。宿泊施設やマリンレジャー業者、あるいは農園や黒糖焼酎の製造会社などで働いてまいりました。

※島キャンのサイトでは就業から自然体験まで写真を掲載
141219島キャン真ん中
一夏限定とはいえ、地元の皆さんからは「単純作業にも対応頂いて感謝」、「店舗に対して学生視点でアドバイスもあり、勉強になった」等と好評だったらしく、受け入れ先の一部の自治体では来年度から学生の旅費などに対しては補助金を出せないか検討するくらい本気になり始めているようです。一方の学生はというと、来年春の島キャンの説明会が渋谷ヒカリエという意識高い空間で開催されたんですが、島での就業体験を戦略的に考えていらっしゃる。「就活のエントリーシートに書くネタを差別化するため」という正直な男子学生もいれば、音楽業界やマーケティング関係の仕事を志望している産能大2年の女子学生は「いま地方創生と言われている中で、地方を盛り上げる取り組みに興味がある」と語り、物事をプロデュースする体験をするための貴重な機会に位置付けているようです。大学2年生の頃の自分はといえば、早稲田の街を遊び歩いて徹夜カラオケ三昧だったわけですので、皆さんのお話を聞いていて「申し訳ございません」と心の中で呟いておりました。

※参加学生はPR動画も自主制作(沖永良部島PR動画より)

しかし、こういう意識高い系の学生さんたちと離島のタッチポイントが出来ることは地方創生の観点からも歓迎すべきことではないでしょうか。高度成長期、バブル期と日本全体の懐に余裕があった時期にコンクリート打ち込み型の振興策を散々やってきても、結果的には地域の衰退に歯止めがかからなかったわけですが、さすがに国の予算もひっ迫していますんで、コンクリート大好きな自民党政権も「使える人材」の地方配分を重要項目として打ち出し始めている。19日には日経にリークして一面は「地元就職なら奨学金」なんて記事が出ているくらいですしね。

私自身、去年から地方創生や東北復興に成果を出しているリーダー人材にお会いする機会が続いたのですが、徳島の山間部でお年寄りにIT機器を習熟させて葉っぱビジネスを展開する「いろどり」の横石社長や、RCF復興支援チーム代表の藤沢烈さんのご活躍を拝見すると、島の活性化に関してもいかに外部からビジネスの知見やコネクションを持った若い人材を引っ張ってくるかカギではないかと感じます。

あとは元文部科学副大臣の大先生が提言されるように、都市部とレンタルトレード的に人材を還流させるスキームができると面白いのですがね。「島キャン」でも現地とつながりの出来た学生が30歳前後で起業や経営ポジションでの転職先として、島に移住しマーケティングやブランディング等を担うケースが将来出てくると一つの成果ではないかと思います。

もっとも、ここで注意したいのは東京でビジネスのノウハウをちょっとかじったものの、出世や起業に「夢破れて」都落ちするような負け犬根性では通用するほど甘くはないということ。地方創生界隈には、「女帝」の異名でおなじみの奥田浩美さんというスゴイ経営者がおられますが、「地方でイノベーションを起こすことは生易しいことではありません。東京のIT業界での成功よりも難しくて複雑な課題に向き合うような気もします」と耳の痛い、しかし至極真っ当なご指摘をされております。これをお読みの方で、島おこしに興味のあるアナタ。間違っても「なんくるないさー」と漫然とビジネスをやったり、「まだ東京で消耗してるの?」と、やたらに煽りブログを現地で書いたりするのは(?)、辞めた方がよさそうです。ではでは。

新田 哲史
Q branch
ソーシャルアナリスト/企業広報アドバイザー
個人ブログ

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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