政治家と国民との相互理解のためにすべきこと --- 西村 健

2014年12月20日 16:31

衆議院選挙が終わった。自民党・公明党の与党で3分の2を超えてしまったこの選挙、定数削減、社会保障、地方創生と都市への集中解消、秘密保護法、沖縄の基地問題、そして原発などの政策が争点化しないまま、なんとなく結果が出てしまった感じだ。これが日本社会の現実である。

投票率の低さやこの結果に失望するのはまだ早い。なぜなら、政治家との接点を選挙で終わらせてしまってはもったいない。それどころか、今後、政治家へ積極的かつ気軽にアプローチをしていく必要がある。選挙が終わったところからが、民主主義の本番なのだ。


さすがに直接、政治家の事務所に連絡するのはなんだかおそれ多いし、知り合いでない赤の他人であることが多いため相当の勇気と配慮と思い切りの良さが必要だろう。なかなか政治家に連絡するというのは精神的にエネルギーがいる。しかし、政治家との接点はたくさんある。というか増えた。ホームページのメールアドレス、ツイッター、フェースブックのメッセージ機能など、簡単に意見を伝えられる。前提として人間関係を構築し、信頼を得ておく必要もない。何が政治家に伝えたいときのハードルは以前より格段に下がっている。
 
なぜ政治家へのアプローチを奨励するのか。現状では、有権者は政治家との接点があまりにも少なすぎるからだ。政治家が友人や知人であるか、所属組織が政治に関係があるか、そうでない限りほとんどの人は政治家と接点を持たない。そのため、政治家の能力、資質や実績を慎重に分析することなく、印象重視で簡単に決めつけてしまう傾向があるのだ。

接点が増えればどうなるか。自分が出した意見や要望に対していかに回答するか、いかに対応するかを自分の目で見ることができる、確かめることができる。「思ったほど考えているのだなあ」、「丁寧な対応だし、人柄を感じるなあ」、「真面目に真摯に答えているなあ」、「この問題は難しい問題なのだなあ」、「そういう視点もあるのか」と思う経験も出てくるだろう。逆に、「とっても無礼な人だ」、「このレベルか」と思うこともあるかもしれないが(笑)。さらに、人間としての対応を通して、政治家や主張する政策に関心・興味を持つこともあるだろう。

国民が政治家に連絡することで政治家個々人と向き合うことができる一方、政治家にとっても、これまで接点のない人の意見を聞けるチャンスにもなる。うまく説得できたら強力な支持者になってもらえるかもしれない。そういった意味で、チャレンジングな機会になる。うまくいけば相互の理解の場になる。コミュニケーションの過程でそれぞれの考えが深まり、視野も広がる。
 
今回の総選挙、投票率が低かったのも仕方ない。テレビでは多くの著名な党首や有力政治家を目にする。他方、地元ではほとんど2~4人の候補者から選択しないといけない。そのため、選択肢を制限された我々の満足度も低くなりがちである。「ここから選ぶのか……」となると自然と足は遠のく。しかし、候補者は多くの人から選ばれたわけであるから、それなりの人が候補者になっていることが多い。人から信頼される、何か能力がある、知識がある、リーダーシップがある、人間性があるといった部分は外からだとなかなか見えてこない。身近にいればリスペクトをする存在なのだが、そこはとても残念だ。厳しいことを言うと、我々が政治家をリスペクトする気持ちを持っていないのは、政治を理解し、政治家を知る努力を怠った自分を(無意識的に)正当化しようとしていることなのかもしれないと思った。

自分はこうすべきと思っているのならそれを誰かに伝えるべきだし、特に自分の力ではどうしようもないと思ったときに政治家に頼ってもいいだろう。政治家は代弁者、代理人だ。主権者は国民である。しかし、国民は知識がない領域になると感情的になってしまう生き物でもある(私もその1人だが)。

「政治不信」などといつまで言っているべきなのだろうか。そんな言葉は聞き飽きた。我々の社会を一歩進めるためにも、この「アプローチ運動」を広げていきたい。こうして偉そうなことを書いている私は選挙期間中facebookで多くの政治家と友達になることができた(自分の言ったことに責任を取らないといけないからね。「いいね!」を頂戴~)。国民として政治家に是非気軽にアプローチをして欲しい。政治家と国民相互が成長するためには「この道しかない」のだから。

西村 健
日本公共利益研究所 代表

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