ロシアGDP変遷に見る原油価格の政治的影響

2014年12月24日 18:20

サウジアラビア主導のOPEC(Organization of the Petroleum Exporting Countries)が原油価格操作からしばらく降りてしまったため、原油価格が下落し続けています。1バレル60ドルという価格まで下げ、原油輸出でしか外貨を稼げない国々が大打撃をくらっている。これまでは、原油価格が下げればOPECが減産し、量を調整しつつ価格を操作してきました。しかし最近では、米国のいわゆるシェールガスの登場でOPECのオペレーションがうまくいかなくなっています。


OPECが原油を減産せず、価格の下落を放置しているのは、生産コストの高いシェールガスへの締め付けと同時にロシアなどのOPEC非加盟国の原油へ打撃を与えるため、という見立てがあります。サウジアラビアなど、体力のあるOPEC加盟国はいいけれど、この「チキンレース」ではOPEC内でも疲弊する国が出てくるかもしれません。サウジアラビアはどこまでこの不毛なレースを続けるんでしょうか。

一方、こうした原油価格の下落で直接的に大きな打撃を受けているロシアでは、今日はちょっと落ち着いているようですが、ルーブルが暴落し、ロシアへ投資している欧米の投資家や企業なども影響を受け始めています。ウクライナ情勢と対ロシア経済制裁もあり、ロシア経済はすでに背水の陣になっている。不安定なギリシャが再び発火の予兆を見せ、こうした不安要素の余波は、ドル買いや米国のダウ高、円安や日本の株高へ飛び火し、2014年も終わりになる中で世界経済の混迷が加速しつつあります。

表題の記事では、帝政ロシア時代、ソビエト連邦、そして今のロシア共和国にいたる1860年から2012年までの同国のGDPと原油価格を比較しています。グラフもあり、これをみるとソ連崩壊の前の10年間、原油価格は下がり続け、10年程度のタイムラグでGDPも急落しています。ロシア共和国になってもしばらく原油価格は下がったまま。しかし、ロシアのGDPの伸びと歩調を合わせるように、原油価格が1979~1980年の第二次オイルショック時と同じ水準にまで戻していきます。

このグラフで興味深いのは、ロシア共和国になってからロシアのGDPは原油価格と連動するように上下していることでしょう。ところが、第二次世界大戦後から第一次オイルショックまでの間、ソ連のGDPは原油価格に影響を受けず、ほぼ順調に伸びている。オイルショック後の下落の影響が出るのに10年を要した、というわけです。

「冷戦」が世界の経済構造をどう変えていったのか、どんな影響を与えたのか。日本の政界も冷戦構造の崩壊により、自民党と社会党が分裂再編され、様々な変化を遂げて今がある。そして、冷戦構造を終わらせた一因のようにみえる1973年と1979年の原油価格の乱高下が、いったいどういう意図で恣意的に行われたのか、一概には言えないものの何かが背景にあるような気もします。

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Goldman SachsSource: Barro-Ursua data set, IMF, Goldman Sachs Global Investment Research.

今日の覚書、集めてみました
ロシア、ルーブル暴落阻止のために17%まで利上げ


The Interview: Sony’s North Korea film to be screened in US
BBC NEWS
北朝鮮、金正恩第一書記の暗殺計画をテーマにしたコメディ映画『ザ・インタビュー(The Interview)』は、北朝鮮のハッカー攻撃やテロ予告などで公開劇場側が尻込みし、制作配給会社のソニー・ピクチャーズも一時は公開を延期する、と発表していました。これに対し、オバマ米大統領まで「テロに屈服する誤った判断」と批判し、ソニー側は対応に苦慮していたわけです。しかし、12月25日、ソニーは一転して、一部の劇場ながら公開する、と発表。米国大統領からの批判も大きかったと思いますが、公開を求める嘆願署名も集まり、さらに北朝鮮自体へのハッカー攻撃も何らかの影響を与えたんでしょう。テキサス州やジョージア州、ロサンゼルスの映画館など200館が対象になるらしい。しかし、本当にテロが起きたらどうなるのか。杞憂かもしれませんが、ちょっと心配です。
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映画『ザ・インタビュー』の一コマ。提供:ソニー・ピクチャーズ

Fossilized In Brazil: The Impact From Dinosaur Urine On Sand
POPULAR SCIENCE
化石には生物がそこに「いた」痕跡が残ったものがあります。フットプリント、と呼ばれる足跡化石や糞、つまりウンコ化石などですが、この記事では恐竜の「おしっこ」の放尿痕化石を紹介しています。ブラジルで発見されたこの石に穿たれた凹みは、恐竜が排尿したあとらしい。そのへんの石にも過去の生物が尿をした痕跡が残されているかもしれません。
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写真:P.R.F Souto, M.A. Fernandes, CC by NC-SA-3.0

Dubai police arrest suspects in $3.2m diamonds, gold robbery
arabian business.com
アラブ首長国連邦のドバイで約3億8000万円相当のダイヤモンドや金塊を盗んだ泥棒が逮捕された、という記事です。彼らは東欧に拠点を置く犯罪組織のメンバーで、盗品を売りに来たところ、おとり捜査とパリの被害者の証言などで、慎重に調査を進め、通報から72時間以内に逮捕に結びつけ、盗品は無事に持ち主の元へ戻ったそうです。この逮捕劇には、国際的な連携捜査も有効に作用したようです。

NASA tests gecko tech to pick up and recycle space trash
gizmag
サンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーが出演した映画『ゼロ・グラビティ』というのがあります。邦題は「ゼロ・グラビティ」ですが、原題は単に「グラビティ」つまり「重力」です。この映画のラストシーンを観ればわかりますが、原題の意味が重要。彼らが宇宙で遭難する原因が、宇宙空間の「ゴミ」です。宇宙空間には過去に地球から打ち上げられた膨大なゴミが漂い、または地球軌道を周回している。この記事では「Gecko(ヤモリ)Grippers」と呼ばれる技術で宇宙空間へなるべくゴミを出さないようにする試みを紹介。ヤモリはツルツルの壁面もよじ登ることができる。この技術は、ヤモリの指先の吸着力を再現したもののようです。
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模擬宇宙空間の実験設備内で検証中の「Gecko Grippers」(Photo: NASA)。


アゴラ編集部:石田 雅彦


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