今さらながら頭痛がする英国王室史の複雑怪奇

2014年12月25日 09:10

欧州の王室の血統は、どうも複雑で錯綜していて西洋史を習っていてもなかなか頭に入ってきません。英国王室の血統もそうで、イングランドやスコットランド、ウェールズ、さらにドイツやオランダ、フランスの血が混じり合っています。現在のウィンザー朝(House of Windsor)という名前は、第2代のジョージ5世(1910~1917)が第一次世界大戦の敵国だったドイツの地域名をつけたそれまでのサクス=コバーグ=ゴータ朝(House of Saxe-Coburg-Gotha)を嫌い、1917年に変えたものです。このサクス=コバーグ=ゴータというのは、ドイツのザクセン=コーブルク=ゴータ公国のこと。

ハノーヴァー朝(1714~1901)にしてもドイツの名家から出ています。また、王亡き後の王妃と結婚した男性の息子が王になるなど、女系の血統も重要視されたことも興味深い。このように、現在の英国王室にはドイツ系や女系の血がかなり入っている、と言われています。


表題の記事に出てくるリチャード3世(Richard lll、在位1483~1485)は、薔薇戦争(1455~1485)を戦ったイングランド王です。薔薇戦争は、英国内のランカスター派とヨーク派の権力闘争。両派とも王家の血統からは傍流です。その彼のものとされる頭蓋骨を含む遺骨が、2012年に英国レスターの駐車場で発見され、DNA鑑定された。リチャード3世については、シェイクスピア(1564~1616)の小説『リチャード三世の悲劇』(The Tragedy of King Richard the Third)が有名です。この戯曲の中で、彼は傲岸不遜で残忍狡猾、醜い容貌の嫌われ者というキャラで描かれ、その後のイメージが固定されました。

リチャード3世は、薔薇戦争に終止符を打ったとされるボズワースの戦い(Battle of Bosworth、1485年8月22日)でランカスター派のリッチモンド伯ヘンリー・テューダー(後のイングランド王ヘンリー7世)と戦い、自ら斧を振るって奮戦したものの敗北して戦死します。その遺体は、丸裸にされて吊されたらしい。ヘンリーはイングランド王国であるテューダー朝(1485~1603)を樹立したため、エリザベス朝時代のシェイクスピアとしては、リチャード3世を悪く描く動機があった、とされています。

その後、英国ではリチャード3世の名誉回復が行われ、本人がいったいどういう人物だったのか、毀誉褒貶が相半ばする状態になっているようです。2012年にレスター市の駐車場で発見された遺骨は、頭蓋骨にひびが入り背骨に矢尻が刺さっていました。脊柱に強い脊椎側彎症が確認され、シェイクスピアが描いた背が曲がっているという醜い容貌を裏付けるもののようです。DNA調査にあたったレスター大学の考古学調査チームは、リチャード3世の姉アン・オブ・ヨーク(1439~1476)の女系の子孫を探し出し、女系のみ伝えられるミトコンドリアのDNAで鑑定を行いました。その結果、この遺骨がリチャード3世のもの、と断定しています。

また、リチャード3世の父系のDNAを知るため、男性の性染色体であるY染色体遺伝子を調査してみたそうです。すると、驚くべきことに彼の父系の血統をたどってみると、その後のイングランド王室の王位継承に疑義が生じることが判明したらしい。ようするに、父親の違う息子たちがたくさんいた、というわけで、エリザベス女王を含めたテューダー朝などの王位継承も疑わしいことになったようです。シェイクスピアもこれを聴いたらビックリでしょう。これだけ「不倫」が横行すれば、女系を重視したのもむべなるかな、というわけ。ちなみに、現在のウィンザー朝の場合、リチャード3世の系譜ではないため、この結果とは無関係だそうです。

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頭蓋骨から復元したリチャード3世の頭部。これを見るとそれほど醜かったわけではないようだ。Photo: Andrew Winning / REUTERS

FOX NEWS
England’s King Richard III identified with DNA


Obesity may shorten life expectancy up to 8 years
McGill University
カナダ最古の大学マギル大学の研究によれば、肥満は8年、寿命を縮める可能性があるそうです。当然とも言える研究結果ですが、これは健康的な体型の人より2倍から4倍もの長さだそうです。さらに、若い時期に肥満になると、その影響がより大きくなります。今後の研究は、よりパーソナルな分析へ進んでいくようです。

こどもの「爪噛み」とストレスの関係。
スズコ、考える。
ジクムント・フロイトの発達心理学では、乳児から幼児への発育の過程にヒトは5段階あるようです。最初が口唇期、次が肛門期、そして男根期、潜伏期、生殖期となる。嬰児が最初に探り当てようとするのは、自身の生命の糸をつなぐ母親の乳首です。そこに吸い付かないと死んでしまう。だから、嬰児は口唇部の感覚が発達する、というわけ。次にウンチに興味を持つ時期。今は、トイレの洗浄剤を食べてしまう幼児が問題になっていますが、これも彼らがトイレに興味を持つ時期だからこそでしょう。その後はいろいろ異論ありそうですが、ヒトが指をしゃぶるのは口唇期の記憶が残っている、という説は根強い。タバコが止められない理由に「唇が寂しい」というのがありますが、これも同じ理由なのかもしれません。自分の爪を噛みむしってしまう「爪噛み」も口唇期の影響でしょう。嬰児期の心理が残っているのには、何か理由があるはずで、このブログで紹介している番組では「ストレス」のせい、と言っている。この番組、当方も聴いていました。ストレスと無縁の状態というのは、どんな生物にもあり得ません。ストレスと上手につきあっていく、という発想が大事なのではと思います。

Would You Buy James Watson’s Tainted Nobel Prize Medal?
LABMATE Online
DNAの二重らせん構造を「発見」して1962年のノーベル生理学賞を受賞したのは、ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックとされています。しかし、真実は「発表」したのが彼ら二人だったわけで、発見者はほかにいた。それはともかく、ワトソンはその後、講演で訪れた英国ロンドンで人種差別的な発言をして学会から「干され」てしまいます。それが影響し、経済的に困窮してしまい、ノーベル賞メダルなどを売却しなければならなくなるまで追い詰められる。そのワトソンのノーベル賞メダルがクリスティで競売にかけられ、ロシア人の富豪が約5億7000万円で落札して話題になりました。さらに、その富豪はメダルをワトソンへ無償で返却。その理由が、ガンで亡くなった父親の治療にワトソンの発見が役だったからだそうです。どうも複雑な心境になる話ですが、ワトソンが二重らせん構造の重要性を「発見」して『nature』に発表したのは間違いありません。

UCLA study: To stop spread of HIV, African governments should target hot zones
UCLA
最近はエボラ出血熱の話題ばかりで、エイズ、HIVについてはあまり問題視されないようです。免疫系を破壊するウイルスですが、抗レトロウイルス薬の研究が進化発展した結果、治癒が早ければ「不治の病」というわけではなくなっている、というのがその理由の一つでしょう。しかし、エイズを完治させる薬はまだ出現していません。依然として人類を脅かす病であることは間違いなく、アフリカでは多くの人がエイズに苦しんでいる。この記事では、統計学などを駆使して効果的に抗レトロウイルス薬を配布すべき地域を選別する試みを紹介しています。この配布により、エイズの流行を効率的に阻止し、効果的な啓蒙活動ができるようになるようです。
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南アフリカでエイズが流行している地域別と男女別の地図。赤が高頻度で青くなるにつれて少なくなる。出典:David Gerberry


アゴラ編集部:石田 雅彦


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