バロンズ誌:新債券王、ガンドラック氏の2015年ビックリ予想とは? --- 安田 佐和子

2015年01月05日 15:22

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記念すべき新年第1号、特集は「2015年の投資所得アイデア」。利上げが確実視される2015年において債券、配当株、不動産投資信託(REIT)、マスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP、Master Limited Partners)、優先株、クローズ型投信、事業開発会社(BDC、Business Development Companies)などを採点しております。今年は配当株に注目する一方、米債については辛口評価を与えておりました。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週もジョナサン・レイン氏の執筆です。テーマは・・・バイロン・ウィーン氏のビックリ10大予想ならぬ、新債券王ジェフリー・ガンドラック氏のビックリ予想。運用資産640億ドルを抱えるダブルライン・キャピタルの創立者は、どんなシナリオを描いているのでしょうか。

ガンドラック氏も、もちろんFedが利上げに踏み切ると考えています。マーケットの大勢と違う点は、そのインパクトの捉え方。長期金利の上昇より「低下」を見込んでおり、イールドカーブのフラットニングを予想しているんです。

米10年債利回りは2014年、2.17%で取引を終えました。2015年末の予想はというと、ブルームバーグがまとめた市場予想の中央値で3.24%。ところが、ガンドラック氏は2012年に示現した1.38%を割り込むと読んでいます。原油相場が2014年末の55ドルからさらに下落し40ドルに到達した場合、デフレ圧力が強まるためです。ガンドラック氏は、原油相場に対しこう指摘します——「90ドルを継続して超える異例なほどの安定相場を5年も保った後は、足元のように激しい急落を経験することがあり、人々が考えるより大きく長く下落し続ける」。

また、海外勢の米債買い圧力にも注目。日銀や欧州中央銀行(ECB)が異例な緩和政策に踏み切るなか、日欧の投資家が利回りの観点から日本やユーロ圏の債券に投資する妙味は低い。逆に、米債利回りは日欧を上回る水準であるため「海外勢こそ、Fedに代わる米債の買い手となる」というわけです。利回り格差だけでなく「今後も続くと考えられるドル高は、海外投資家にとってポジティブ要因」であり、結果的に米金利は比較的低い水準に抑えられると見込んでおります。

米10年債利回り、QE終了でも低推移を維持。
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(出所:Yahoo! Finance)

ガンドラック氏、米株に対しては慎重なスタンスで臨んでおります。年初には株式から債券の資金シフト、いわゆる「グレート・ローテーション」が起こると予想。米成長率にも、楽観的ではありません。米7-9月期国内総生産(GDP)確報値は11年ぶり高水準の5%を達成したとはいえ、2015年から2016年は「3%以下」を見込んでいるためです。デフレ圧力が潮流が世界経済を鈍化させ、過剰流動性が米国市場から引いていき、ドル高が競争性を奪うと考えております。

原油安自体、雇用をはじめ設備投資に打撃を与え、ローン担保価値を損ないエネルギー関連のバランスシートを悪化させ、ジャンク債市場に混乱を招きかねません。消費者にとっては実質所得の増加あるいは減税効果が期待される半面、ネガティブな二次的効果が表面化するのに時間が掛かることも念頭に入れて置きたい。

エマージング国の経済減速も、見逃せません。中国は足元の株価急伸を謳歌するものの経済と金融市場の基盤は脆弱であり、ロシアやイランでは原油安よる経済悪化で自暴自棄になり地政学的リスクを高めかねず。日銀の異次元緩和は、世界各国で為替戦争を再燃させるリスクをはらみます。

ガンドラック氏が示す70以上のチャートも、株式相場と経済成長に黄信号を点灯させています。そのひとつが、CRB指数先物。ガンドラック氏いわく「金融危機が襲った2009年当時の水準近くまで下落しているということは、明らかに世界経済が変調をきたしつつある証左」と解釈しています。

もうひとつは、ユーロ圏各国の2年債利回り。2014年9月以降、興味深いかい離が生じているというのです。注目は、独2年債利回り。イタリア2年債やスペイン2年債の利回りを大幅に下回りマイナスに突っ込みました。ガンドラック氏は「資金を退避させる見返りに金利を支払っても良いという、欧州投資家のユーロ圏に対する自信喪失を表す」と分析していました。

——さすが「新債券王」との称号を欲しいままにするガンドラック氏なだけあって債券に強気、株式に弱気というスタンスなんですね。2014年、ガンドラック氏は米債利回りの低下に賭け逆張りで成功しましたが、今年はどうなるでしょうか。

ストリートワイズは、困難に直面する資産運用会社がテーマ。2014年末にかけ米株が最高値を更新した割に、資産運用会社の株価はさえませんでした。エバーコアISIによると、同セクターの株価はたった7%と全セクターの11%を下回ったといいます。債券王のビル・グロス氏がPIMCOから移籍したジャナス・キャピタル・グループこそ30%も急伸しましたが、最大手ブラックロックは13%とS%P500のリターンを小幅に上回る程度。フランクリン・リソーシズにいたっては、4%の下落だったんです。信託銀行セクターが2桁の上昇を謳歌し証券会社セクターも18%上昇していたことと、対照的ですね。

背景に、米株でのアクティブ運用の失敗が横たわります。モーニングスターによると2014年、米株アクティブ運用ファンドの80%がベンチマークを割り込むリターンに終わりました。個人投資家における上場投資信託(ETF)の普及も、資産運用会社の株価にダメージを及ぼしています。こうした理由からアナリストの多くは資産運用セクターの投資判断を「中立」で維持しており、2015年も順風満帆とはいきそうにありません。

(カバー写真:Advisor analyst)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年1月4日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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