S&P500は5営業日続落、アノ人の発言も売りに拍車 --- 安田 佐和子

アゴラ

本日もまた、原油先物が足を引っ張っています。サウジアラビアのアブドラ国王が原油安でも減産を示唆せず、WTI原油先物は2009年4月以来の48ドル割れ(47.93ドルで引け、2.11ドル安、4.2%安)で取引を終え、ブレント原油も51.10ドル(2.01ドル安、3.8%安)と約5年半ぶりの安値で引け。オランダの経済紙ヘット・フィナンシェラ・ダグブラッドが欧州中央銀行(ECB)は3つの国債買い入れ手段を検討中と報じ序盤の上昇を誘ったものの、うたかたの夢と消えました。

米12月ISM非製造業景況指数など予想以下に終わった米経済指標はもとより、債券王の異名を持つジャナス・キャピタルのビル・グロス氏の2015年投資見通しも材料視されました。2015年投資見通しにて「良いときは終わった(The good times are over)」と宣言 。2015年はあらゆる資産価格が下落すると予想したほか、ブル・マーケット終幕時期を指摘することは困難としつつ向こう12ヵ月間に転換点を迎えるとの見通しを示しています。 奇しくも、新債券王ジェフリー・ガンドラック氏の予想と通じているんですね。

ジャナスの運用資産、11月にはグロス氏移籍の恩恵で7.7億ドルの資金流入を記録。
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(出所:Bloomberg)

米10年債利回りが2014年10月以来の1.9%割れを示す陰で、S&P500は2014年12月17日以来の2000p割れを示現し一時1992.44pまで下落。ダウ平均も2014年12月17日以来初めて17300ドルを割り込み、一時239.28ドル安の17262.37ドルまで下げ幅を広げました。ダウ平均は終値ベースで、2014年12月17日以来の安値に。S&P500とナスダックは5 営業日続落し、終値ベースでそれぞれ2014年12月16日以来の安値を迎えています。

S&P500の続落基調は、サンタ・ラリーの引き金を引いた12月16-17日開催のFOMC議事録で止められるのか。当時のFOMC声明文などがハト派寄りだったので買い戻し期待が膨らむものの、来週に決算シーズンの開幕を控えることもあり過度な楽観は禁物でしょう。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年1月6日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。