さらなる原油安はサウジ国王の声明が逆効果

アゴラ編集部

米国シェールオイルの損益分岐点は、せいぜい低くても1バーレル60ドルと言われています。1割弱の油井が80ドルとも言われ、昨年2014年10月に80ドルのハードルを越えようとした際に大きな話題になりました。その原油価格が、今年に入ってもさらに下落を続けています。


1月5日には、約6年ぶりに50ドルを割り込み、もっと下がるのでは、という見立てもあります。今日7日の東京株式市場は、5日ぶりに反発したものの前日までに1000円近く下げていました。これは、ギリシャ情勢など不透明な世界経済はもちろん、原油安が影響しているせいでしょう。東京市場は今年2万円台もうかがう、という見立てをしていたアナリストも年頭にはいたようですが、原油安が続けば、さてどうなるかこればかりは予想できません。

この「牛さん熊さんブログ」では、原油安の要因の一つとして、サウジアラビアの米国シェールオイル対策がある、と書いています。また、EUや中国をはじめ、世界経済が減速している状況で石油需要も減る、という予想も大きいようです。ただ、サウジアラビアの石油戦略は、現在のアブドラ国王からサルマン皇太子への禅譲によって変わるかもしれないらしい。

表題の記事では、そのアブドラ国王が国営テレビで「石油市場には賢明に対処する」と声明を発表した、と書いています。アブドラ国王は昨年末に病気入院中のため、サルマン皇太子が代読したもの。しかし、この声明では、原油の生産量を減らす、ということは言明せず、さらなる原油安に拍車を掛けたただけになりました。サウジアラビアとしては、現在の原油安は世界経済が低迷しているせいであり、OPECの生産調整は無関係、という立場のようで当事者意識はまるでありません。

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在日サウジアラビア大使館のHPより。右がアブドラ国王、左がサルマン皇太子。

arabian business.com
King says Saudi Arabia to deal with oil challenge with ‘firm will’


This router can power your devices wirelessly from 15 feet away
engadget
約4m57センチ離れた場所のデバイスへ遠隔充電できる装置を紹介している記事です。ワイヤレス充電の技術は、国際規格の「Qi」など、すでに実用製品がたくさん出ています。こうした「非接触電力伝送」は、かなり昔から研究開発が続けられてきた分野。韓国には、地下の架線から電力を供給する電気自動車(Online Electric Vehicle、OLEV)が実用化されています。この記事の技術はベンチャー企業のものでBluetooth LEを利用するらしい。電力は無線LANと同じ帯域で送られるそうです。ちなみに日本では、今年2015年にワイヤレス送電の使用電波帯域について取り決める予定です。

Parental Suicide Boosts Offspring Suicide By 500 Percent
Counsel&Heal
米国ピッツバーグ大学の研究によると、親が自殺するとその子どもへの自殺リスクを50倍も高める、とのことです。自殺行為が家族内へ広がる、というのはよく知られているらしい。しかし、その原因は遺伝的な特質に限らず、多種多様でしょう。

“ヘルメット型の超個人用モニター”で飛行機内の過ごし方が変わる?!
Social News Network
エアバス社が特許申請した技術について紹介している記事です。その技術とは、航空機内で乗客が使用するヘルメット。ヘルメットをかぶると前面にモニターがあり、閉塞環境のように集中して映画などの画像を楽しむことができるようです。また、リラクゼーション作用のある香料も発生させることができるらしい。保安上で大丈夫なのか、このあたりが不安です。
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A Href=”http://google.com/patents/US8814266″ Target=”_blank”>エアバス社の「Headrest for a passenger seat for an aircraft」より。

The Real Politics Behind the US War on IS
ALTERNET
いわゆるイスラム国(IS)と米国の戦いの裏には、米国内の政治的な理由と軍事官僚システムの要請がある、という記事です。本格的な参戦をしない代わり、911以降の戦略的な延長線上にある戦い、というわけ。一方で、石油価格の下落でイラン経済が打撃を受けているように、石油に依存しているISにも同じような影響があるはず。このあたり、肉を切らせて骨を断つような、したたかな米国の動きが垣間見えるようです。


アゴラ編集部:石田 雅彦